[modeling] "恐竜少女カプア" 表情モデリング工程の紹介
概要
みんなさんこにちは!VolcaでモデリングTAを担当しているHakuです!
この記事では前回紹介した、恐竜少女"Kapua"表情の制作紹介となります。
どうぞよろしくお願いいたします!
1. 観察と分析
ーー デザイン図の解析
表情デザイン図を観察すると、今回はすべての表情が左右対称であることがわかります。
対称的な表情の制作は難易度が低いです。
また今回必要な多くの表情には類似点があるように見えます。
たとえば、口を開けた表情と半開きの表情などです。表情制作時には、似た表情をコピーして調整することができ、これにより制作時間を短縮できます。
しかし、デザイン図にない表情も作成する必要があります。たとえば、目を閉じる表情や口を開ける動作などです。
特に目を閉じる表情は、左右の目を個別に制作する必要があります。
もちろん、クライアントの要求に応じて、すべての対称的な表情の目を個別に制作し、アニメーション制作時に表情の変化がより柔軟になるようにします。
2. 表情制作の工程とポイント
今回はZBrushを使用して表情を制作しました。
この方法は、より迅速かつ便利で、各表情に柔軟な変更が可能です。
ーー 注意点
ZBrushで表情を制作する前に、ZBrushにインポートするモデルがMAYAのモデルと完全に一致しているか確認する必要があります。
ここで言う「一致」とは、モデルのすべての面、エッジ、頂点の位置が完全に同じであることを意味します。
モデルが完全に一致して初めて、ZBrushで制作した表情モデルをスムーズにインポートすることができます。
ーー 制作の流れ
表情を制作する前に、モデルを新しく作成したレイヤーにコピーし、次に各表情を個別のレイヤーで制作する必要があります。似た表情については、そのレイヤーをコピーし、新しいレイヤーで変更を加えるだけで済みます。ここで注意すべきは、レイヤー名を表情の名前に対応させることです。これにより、MAYAにインポートした際にShape Editorに表示される名前が決まります。
表情を作成する際、まず最初にレイヤーを作成します。このとき、レイヤーの数値が必ず1であること、録画状態がアクティブであることを確認してください。
もし作成する表情が左右対称の場合は、ミラーブラシ機能を使用することをお勧めします。
ショートカットキーは「X」で、対称軸はメニューから設定できます。
表情の作成が終わったら、必ずレイヤーの録画状態をオフにしてください。
ーー 選択範囲について
Ctrlキーを押すと、MaskPenブラシが有効になります。
MaskPenを使って、調整したい部分を選択できます。Lassoモードを使用すると、より柔軟に選択範囲を設定できます。
選択範囲が決まったら、マウスを空白部分に移動させ、Ctrlキーを押しながら左クリックすることで選択範囲を反転できます。選択範囲の境界でCtrlキーを押しながら左クリックすると、選択範囲の境界をぼかすことができます。
モデルの調整が終わったら、空白部分でCtrlキーを押しながら左クリックしてドラッグすることで、モデル上の選択範囲を解除できます。
以下は、表情を作成する際によく使用するブラシです。注意すべき点として、表情を調整する際には、モデルのエッジフローが均一であること、モデルの変化が自然で滑らかであることに注意してください。あまりにも顕著な三角面が現れないようにしましょう。
ここで特に大事なのがSmoothブラシです。 このブラシはモデルを平滑化し、柔らかくする効果がありますが、強度が強すぎたり、頻繁に使用すると、モデルの基本構造が変化したり、輪郭が弱くなったり、構造が崩れて不自然になることがあります。そのため、Smoothブラシを使用する際には、ブラシの強度と使用回数に十分注意してください。
表情を作成したら、レイヤーのスライダーを動かして問題がないか確認します。
問題がなければ、次にMAYAにインポートします。ZBrushの上部メニューから「Zプラグイン」を選び、「Maya Blend Shapes」を選択し、「Blend Shapes」をクリックします。
ZBrushが自動的にMAYAを起動し、新しいファイルを作成します。
エクスポートされた表情モデルを、元のキャラクターのMAYAファイルにインポートし、表情編集を行ってください。
MAYAでの作業
表情のインポートについて
まず、表情モデルを選択し、その後、頭部本体のモデルを選択して、メニューの「Deform」にある「Blend Shape」右側の四角いアイコンをクリックします。
そのまま「Apply」をクリックすると、選択された表情がインポートされます。
タイムラインを動かして、表情のインポートに問題がないか確認してください。
表情を追加について
注意点として、後から表情アニメーションを追加する場合、表情モデルを選択してから頭部本体モデルを選択する際、再び「Blend Shape」をクリックすることはできません。
代わりに、「Deform」の「Edit」下にある「Blend Shape」右側の「Add」を選択し、同じように右側の四角いアイコンをクリックします。
設定内の「Existing nodes」は、頭部に対して以前作成したグループを必ず選択し、「Apply」をクリックしてください。
新しく追加された表情アニメーションが表示され、タイムラインを動かして、問題がないか確認します。
モデル間での表情の連動について
前述の手順に従い、まつ毛、歯、舌などの部分を順に作成した後、連動作業を行います。
「Windows」内の「General Editors」の「Connection Editor」機能を使用します。
まず、頭部モデルを選択して「Connection Editor」をクリックします。この時、頭部モデルの情報が左側に表示されます。
「INPUTS」内の「head1」(各部位を区別しやすくするために、デフォルト名の「blendShape1」を「head1」に変更しています)を選択し、
「Connection Editor」の左側の上にある「Reload Left」をクリックします。
すると、情報の表に「weight」のグループが表示され、それを開くと様々な表情が現れます。
同じ手順で、連動させたい部分、例えばまつ毛を選択し、右側の「Reload Right」をクリックします。同様に「weight」のグループを開きます。
次に、頭部の表情から連動させたい表情、例えば「sleep」をクリックし、その後、右側のまつ毛の表情「sleep」をクリックします。
フォントが変化し、「Shape Editor」内のまつ毛のアニメーションパラメータ部分が黄色に表示されるので、これで連動が成功したことを示します!
このようにして、顔の各部分のアニメーションをインポートし、それらを連動させます。
⚠注意点⚠
インポートと連動作業が完了した後は、履歴をクリアしないでください。
もし作業後に「Ctrl + Shift + D」などで履歴をクリアしてしまうと、これまでの作業を再びやり直す必要があります!!!
3. 表情の完成
表情の制作がすべて完了した後、一部の表情に満足できなかったり、他のアイデアがある場合は、
デザイン以外のバージョンを試しに作成し、提出するレポートに自分の提案を記載してみてください。
これにより比較が明確になり、クライアントもより直感的に理解できるようになります。
最後までご覧にいただき、ありがとうございました!