EURO2020優勝サッカーイタリア代表の底力とは?
本日は欧州サッカー中でもEURO2020をテーマにしたいと思います。
イタリア対イングランドの 決勝戦は7月12日の深夜から早朝に行われて、この熱戦に釘つけになったというリスナーの方は多いのではないでしょうか?
最終的には延長戦でも決着がつかず、PK戦の末にイタリアが優勝で締めくくりました。
イタリアといえばサッカーの強豪ではあるのですが、2018年ロシアW杯のヨーロッパ予選で敗退してしまい、当時は暗黒期に突入してしまうのではとも囁かれました。
しかしそこから、マンチーニ監督が就任してからV字回復、そして今回のEuro2020の決勝も制したことから、34試合連続無敗記録も達成しました。
今日は、イタリア代表のV字回復の決め手、”スタイルの変更とスター選手に頼らない団結力”について取り上げたいと思います。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
EURO2020のおさらい 優勝国のイタリアはW杯では低迷していた?
まず、簡単に今回のEuro2020についておさらいします。
1960年の第1回大会から60周年を迎えた欧州の伝統的なサッカーの大会で、欧州の強豪国が多く出場することから、W杯よりもレベルが高いとも言われます。
コロナ禍によって1年延期されて開催された今年は、予選を勝ち進んだ24チームが6つのグループに分かれて、リーグ戦が行われました。
戦前では、フランス、ベルギー、イングランド、この辺りが戦力が充実しており優勝候補筆頭。イタリア代表は2番手グループという位置付けだったかと思います。
今回優勝したイタリア代表はAグループを3戦全勝、そのうち2つは3対0で圧倒的な攻撃力で勝ち上がります。
決勝トーナメントでは1回戦のオーストリア戦で延長戦で勝利、準々決勝のスイス、準決勝のスペイン戦でもPK戦で勝利、決勝のイングランドとの対戦では先制されますが、PK戦の末に辛くも勝利しました。
また、イタリア以外のチームに目を向けると、今大会は中堅どころで結束力のあるチームが大健闘した大会でもありました。
例えば決勝トーナメント1回戦で、スイスがフランスに勝利するとか、チェコ代表がオランダに勝利するなど、下馬評を覆す番狂わせが起きた大会ともいえます。
さて、ここからはイタリア代表についてさらに掘り下げます。
まず、イタリア代表は通称アッズーリとも呼ばれます。
サッカーの強豪であり、W杯の優勝回数は4回を誇り、ブラジルに次いで2番目に多いです。
古くから多くの優れたディフェンダーやゴールキーパーを輩出しており、カテナチオ(日本語で言うとかんぬき)とも呼ばれ、1対0で守り勝つというスタイルでした。
2000年のユーロでは準優勝、2006年のW杯でも優勝。
当時の代表に目を通すと、ディフェンスにはマルディーニ、ネスタ、カンナバーロ、ゴールキーパーにはブッフォンといった、世界を代表するディフェンス陣で鉄壁を誇っていました。
2012年のユーロでは決勝進出、2016年のユーロではベスト8とヨーロッパでは一定の成果を納めるのですが、2010年、2014年のW杯では予選リーグ敗退と不安定な成績を残します。
ついには、2018年のW杯でヨーロッパ予選で敗退してしまいW杯出場を逃してしまいました。
こちらは、ナンバーweb、ユーロ2020の決勝戦後に書かれた記事の引用です。
アッズーリはこれで無敗記録を34試合に、連勝記録を15試合に延ばし、今大会を全勝で優勝。これ以上ないほどの成績だ。ただし3年前にロベルト・マンチーニ監督が就任した際、こんな未来を予想できた人はほとんどいなかっただろう。
なにしろその半年前には、ロシアW杯の出場を懸けたプレーオフでスウェーデンに敗れ、1958年以来となる屈辱を味わったのだ。
カルチョの暗黒時代の到来さえ囁かれていた当時、次の主要大会で頂点を極めるなんて口にしたら、失笑を買ったに違いない。
だが、当事者たちは自分たちを信じ続けて、偉業を成し遂げた。
このように2018年当時のイタリア代表はどん底にあったといえますが、この低迷の要因は2000年代後半から2015年ごろにかけてあったといえます。
こちらは自国のリーグ、セリエAの弱体化について、2014年の記事を抜粋します。
まず、90年代後半から2000年代前半は「世界最強リーグ セリエA」と言われており、ヨーロッパサッカーといえばセリエA。
ローマにはトッティやバティストゥータ、ミランにはマルディーニやシェフチェンコ、ユヴェントスにはデル・ピエロやジダン、インテルにはヴィエリやレコバが在籍。
ただ、2006年には審判買収事件、カルチョスキャンダルが起き、それをきっかけに競争力が徐々に低下。
・インテルやローマはクラブ売却によってオーナーが変更。
・ミランに至っては当時の首相ベルルスコーニ氏がオーナーでしたが、政治での失脚によって財政難に陥ります。
こうして競争力の落ちたリーグでは、有望な選手が育たないということで、それが、徐々に代表戦にまででてしまい、2018年に底を打ったんだと思います。
ただ、低迷期は短く、2018年5月にマンチーニ監督が就任してから着実に復権を果たしておきました。
そして2018年9月にポルトガルに敗れてから、今回のユーロ優勝までなんと、34試合連続無敗記録、3年弱負けていないということになります。
では、なぜ、ここまでのV字回復を描けたのでしょうか?
次のチャプターで掘り下げていきたいと思います。
なぜイタリア代表はV字回復できたのか?
さて、ここからイタリアの復権について触れていきます。
復権のキーワードは大きく3つあると思いました。
・1つ目は伝統的なスタイル=ひたすら守って勝つというカテナチオからの脱却。
前のチャプターでは、2000年代後半からカルチョスキャンダルにより、自国のリーグの競争力は低下していましたが、実は2010年ごろから別方面では、もがいてはいました。
きっかけは、2010年Wカップの予選リーグ敗退。
当時の最先端は、パスで繋いで勝つと言うスペイン代表のスタイルでした。イタリア代表もこのトレンドに乗り遅れまいと、選手たちに自由を与えて、伸び伸びやらせる方針に切り替えます。
ただ、それと同じ時期に競争力が失ったリーグも重なったので、2018年に一度底を撃ちますが、そこから上昇曲線を描いていきました。
・2つ目は脱却を図りながらも”伝家の宝刀カウンター”は残していたということ
そのハイライトが、今回のユーロ2020 の準決勝スペイン戦です。
イタリア代表は攻撃的なスタイルになっていましたが、やはりスペインの方がテクニックに優れており、ボール支配率で劣ってしまいました。
と言うことで、気がつくと防戦一方になっていましたが、そこからイタリアの選手は切り替えて攻撃を仕掛けるチャンスを待っていました。
そして後半の60分に、カウンターが発動して、フェデリコ・キエーザの先制点を決めることができました。
・3つ目は”スター選手に依存しない、クラブチームのような密な連携、団結力”にあります
こちらDAZNの記事の引用です。
元日本代表の監督も務めたザッケローニ氏は、大会前、イタリア代表をこのように評していました。
かつてのイタリアと言えば、1人、2人の絶対的な存在に頼るスタイルが主流でした。
今は真逆。1トップのチーロ・インモービレだけを生かす組み立てでは決してないですね。
得意のドリブルで局面を打開するインシーニェにボールを集めるスタイルでもありません。
全選手が、チーム全体の機能性を第一にプレーしています。どの選手が起用されても、一定のレベルを保てているのも、これが要因でしょう。
全員に浸透した「フォア・ザ・チーム」の精神。これが今のイタリアを支える1つのキーワードとも言えますね。
まさにチーム一丸。こんなこと、かつてあったでしょうか。
以上です。
さらにこのような考察は、大会期間中や大会後も他のメディアでも触れられていました。
代表チームとなると、
・練習する時間や戦術確認する時間がどうしても限られている
・また色々なクラブチームの選手が集結する
ので、選手個々のスタイルが異なるので連携面での課題はどうしても出てしまいます。
ただ、イタリア代表の場合は、団結力があり、どの選手が出場、交代してもクオリティは維持している、まさに「クラブチーム」のような組織だと評する方も多かったです。
さらに、他の代表チームに目を移すと、エースに依存しすぎたチームは今回は早めの敗退、善戦をしたチームはチームの結束力に優れたといえます。
前者で言うとフランス、ポルトガルといったところでしょうか。
もちろん国の代表であるので優れた選手たちなのですが、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド や フランスのムバッペなど圧倒的なスピードやパワーを持った選手がいればついつい頼ってしまいますし、その選手を中心にチームが構築されてしまいます。
ただ、11人で行うスポーツであるので、その選手がマークにあったり不調になってしまえば、それに流される形でチームの負けの確率は上がってしまいます。
反面、イタリアのように、メンバー間で意識の統一もできており、団結できているので、誰かが不調であったり徹底的にマークされたとしても、誰かがカバーするそれがごく自然な形でできているので、今回の躍進に繋がったんだと思います。
また、決勝相手のイングランドもあと一歩のところで敗退を繰り返していたのですが、今回決勝まで進んだのは団結力にあったと言う考察もありました。
かつては、ランパード、ジェラードといった圧倒的なチームの中心選手がいて、それに気を使うようになってしまっていたり、所属チーム間で派閥もできていたみたいです。
それが今回は、ハリーケインと言うスーパースターはいますが、
・得点を取る動きもできるし
・サポートもできるという強みがあり
・他の選手たちの所属チームもそれぞれ異なり派閥ができない、結果として団結力に繋がり、ベスト4や準々決勝敗退と言う壁を乗り越えることができたんだと思います。
さて、イタリア代表の復権について触れましたが、仕事に活かせるTipsはあるのではないでしょうか?
次のチャプターで考えていきたいと思います。
成功体験に囚われず変わることの大切さ。そして1%の上積みを意識することの大切さ
さてここからは、Tipsについて考えていきます。
今回はイタリア代表を中心に掘り下げましたが、仕事に応用できる点としては、二つあると思います。
1つ目は、成功体験に囚われてはいけないこと、変わり続けるが良さは失わないということです。
例えばイタリア代表の場合は、伝統的なカテナチオと言う守備に専念する戦術で1対0で勝ちきるという伝統がありました。
ただ、刻一刻と新しい戦術も生まれていく中で、時には変わると言うことも必要です。しかし、ただ変われば良いだけでなく、これまでの武器にも磨きをかけて行くことも大事です。
2つ目は、スター選手、限られたカリスマ的な人に依存をしすぎないということでしょうか。
イタリアの場合は、これまでは世界的に有名な選手が中心となり引っ張ってきていましたが、今回はみんなが中心選手であり、お互いがお互いの良さを引き出す、さらに団結力もあるので、常に100%以上の力を出そうとしていたのだと思います。
ちょっと脱線しますが、
昨年の11月に放送した、駅伝 東洋大学の「その1秒を削り出せ」の言葉が生まれたきっかけにも通じるなと思います。
この言葉ですが、当時、山の神とも言われた大エース柏原選手の選手の活躍もあり2年連続優勝したのですが、その翌年はわずか30秒弱の差で破れてしまいました。
この時の反省として、
・自分たちもあともう1秒でも上積みできればという意識を持つ
・自分の100%に1パーセントを上積みすると言う姿勢
・さらには「エースに頼る」のではなく「エースを活かす」ことのできるチームにしていこう
ということで、生まれたようでした。
イタリア代表の場合は、今回は大エースという選手はいなかったのですが、”自分の100%に1%を上積みすると言う姿勢”があったからこそ、”クラブチームみたいな団結力”とも評されて優勝を勝ち取ることができました。
さて、ちょっと脱線しましたが、今回のTipsですがいつもと違って、2つにしたいと思います。
1つ目は「成功パターンが使い古されていないか疑ってみよう」
2つ目は前も取り上げていたかもですが、「自分の役割以のことを意識してみよう」です。
1つ目については、やはりうまくいった成功パターンや勝ちパターンというのも市場が刻一刻と代わりいろんな技術が生まれていく中で通用しなくなるケースはあるかと思います。なので時には疑うことは必要といえます。
2つ目については、我々ビジネスパーソンも、1人で仕事が完結することはほぼないといえます。チームメンバーと連携しながら動いていく必要もありますが、これは「私の仕事ではありません」ってやってしまうと、ギクシャクしますし、漏れは絶対出てくると思います。
一人一人が自分のパフォーマンスに1%を上積みしていけば、それが人数分乗っかることで、これまで以上のパフォーマンスが発揮できるのではないでしょうか。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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