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【超有料版】上手い歌と良い歌の違い。〜ピッチ編〜
ピッチと音程の違い
まずは、ピッチと音程の違いを理解すること。
・音程とは2つ以上の音の差を掴んだり取ったりする能力。
・ピッチは1つの音の高さを掴んだり取ったりする能力。
どちらが歌にとって大切か問われたら100%ピッチ感と答える。
カラオケ採点で100点を狙う番組、音程を正しく取る番組が流行っているが、あれはあくまでも音程を綺麗に正確に取って、しゃくり、抑揚、ビブラートといった技法を詰め込む競技。
いわばスポーツやエンタメと同じ類。
歌や音楽の一つとしてカウントするのは大間違い。
本当にいい歌というのは音程ではなくピッチ感がいい歌のことを言う。
ピッチの理解①
ピッチは1つの音に対して大きく分けて High / Middle / Low 3種類。
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更に細かくすると、下記の図のようにHighのHirh、MiddleのLowなど9種類に枝ができる。
これ以上の枝は人間の力で表現や聴くことが無謀なので、3種をベースに9種を匠に扱えるシンガーが超一流の証。
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ピッチの理解②
いいピッチというのは音に対してベタ付きではないこと。
最初から最後までMiddleのMiddleで音をとったらボーカロイドのような機械的な表情のない歌に聴こえてしまう。
彼女の歌は響かない。と一般的な視聴者からも言われている。
何故なら、音程を外さず、正確に取ることに長けていて声色に変化がないから。
声質がそうさせている原因の一つでもある。
特に女性は男性に比べて声質自体に幅が少なく、特徴を出すのが難しい。
対して男性は女性に比べて声質に幅はあるが、音域や声に不具合が多い。
両者ともにピッチ、音程のメリット、デメリットがある。
彼女はまさに女性の性質を体現してくれているシンガーの1人。
ピッチの基準
下記、図3はギターのチューナー。
楽器のチューニングは基本的には440Hzを基準とする。
430や450まで振り切ってしまうと音階自体が極端に変わってしまうので、歌の基準は下限435、上限445までに限定して設定する。
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図1を図3に当てはめると、High 445Hz / Middle 440Hz / Low 435Hzとなるが、歌の基準は445Hzに設定することが多い。
人によっては440Hz、435Hzの場合もあるが、1200人以上の歌を聴いてきて9割以上の人がLow寄りに傾いている傾向から導き出した答えだ。
なぜ声のトーン、ピッチ感がLow寄りの人が多いかというと、体が重力の影響を受けるのと同じ原理で、声を出すときに必要な皮膚、筋肉、表情、声の軌道そのものが上から下に向けて常に圧力を受けているから。
声のトーンを明るくしたり、歌でピッチ感を445Hz寄りに上げるという感覚は人間の構造と重力に反していることから、特に元から重心が低い人はかなり強い意識を持たないと上がらないため、日常の会話から神経を使う必要がある。
それぞれのHzの特徴として
440Hzを基準にする人の法則はシャープ癖が強い。
435Hzを基準にする人の法則は低音の鳴りや質が個性である場合に限る。
法則として、445Hzから値が下がれば下がるほど重たい歌。
440Hzを下回るには何かしらの理由がないといけない。
自分の声の特性と性質をしっかり理解して、ピッチの扱いを繊細に考えなくてはいけない。
ピッチ感の比較
【Low】Novelbright-竹中雄大 / マリーゴールド cover
ハイトーンシンガーの括りにされているが、ピッチの基準が435Hzで重たい。
プラスα 腹圧発声+発音が甘い のでピッチ感と相まって、音が上がり切らず音程を下に外すことも多々。Low寄りにピッチを取るリスクが分かる映像。
【Middle】May.J / My Heart Will Go On cover.
Middleど真ん中でピッチ感に変化がなく歌が一辺倒。
声を息で抜いたり、大小付けたり、差し引きすることで表現をつけようとしているが、声色、音自体に変化がないので、ずっと同じ周波数が耳に流れてくる感覚。
声の幅=ピッチ感が歌にどれくらい影響するか。を考えさせられる映像。
【High】Nissy / 奏cover
445Hzギリギリのラインでピッチを掴んでいるので歌に艶がある。
中世的な声質との相性を考えても、445Hzのラインに乗っていると心地が良い。
しかし、Nissyはデビュー当初から長い間、声に重さがあった。
元々持っている特性に逆行して440Hzくらいの位置にいた。
それが年数を経て徐々に自分の性質を掴んだことで、声に華が出たのだ。
余談だが、指導者はいち早く歌い手が持つ性質や特性に気づく発想力と経験。
イメージした理想に導くための舵取りをする指導力。
理想に近づけるための分析力。
変化する過程で悪さが出たときに指摘できる説得力。
それらの能力無しでは歌い手との信頼関係が生まれない。
全能力を網羅してこそ本物の指導者と言える。
このカバー音源はピッチ感以外は崩壊しているので、近くに有能なトレーナーがいない。または指導者をつけずに独学して迷走している歌。の参考となる映像。
究極のピッチ感
High 445Hz / Middle 440Hz / Low 435Hz
ここまでは解説や比較音源を聴いて理解できるのではないだろうか。
ピッチ感にはその先に限られた人しかできない最上級の音、声の扱いがある。
理解するだけでも相当な時間をかけて歌を勉強しないと分からない域なので、はじめは何となくの解釈でいい。
まずは、コラムの最初に添付した、図2を見てほしい。
図2を言葉で表現してみると
・MiddleのHigh
音程を直線的に取ってベタ付きではあるんだけど、先が明るい。
・HighのLow
音は445Hzで高めに位置しているけど、下限ギリギリの深さがある。
といった説明になる。
考え方として「真ん中の上」と「上の下」は同じものではなく、初期の設定が上なのか下なのか、それで印象が大きく変わるのが声や音。
プロシンガーでも基本の3種を扱う発想を持っている人、扱える人はごく少数なので、その先の9種をイメージして声や音で表現するのは至難の業なのだ。
最強のピッチ感を持つ超一流シンガー
なぜ上手なの?の答えはピッチ感が最強。
細かい解説は別のコラムで紹介する。
【High】 Superfly 越智志帆
【Middle】 Celine Dion
【Low】 玉置浩二
最後に
紹介した超一流の3名でも全盛期を迎える前だったり、その日の状態やメンタルによってはずば抜けたピッチ感を発揮できない日もある。
そんなときに技術でカバーしようとしても、根本である音の捉え方にズレが生じているのだから声がいくら万全だからといっていい歌は歌えない。
声の状態は誰が聞いても調子が悪かったら気づく、それよりも調律を合わせる耳の調子に気を張れることが歌における経験なのだ。
声=発声 耳=感覚
発声も感覚的要素を必要とするが、耳は感覚以外の何者でもない。
だからこそ、歌う練習よりも聴く練習の方が大切。と伝え続けている。
自分の声や歌を分析できる力を身につけることが歌の上達の最短ルート。
その為に耳を鍛えるのだ。
音程は採点すれば目に見える。
ピッチは目に見えない。
音を正確にとる歌なら機械に任せておけばいい。
見えない部分を表現するから芸術性が生まれる。
歌は下手(音程が取れていない)だけど、なんか良い歌だな。味がある。人生観が感じられる。といった感覚になったことはないだろうか。
よく例に挙げるのはビートたけしさん。
芸術的感性を持っている人間の歌には華がある。
上手い下手だけでは表現できないものが言葉や音に現れるのだ。
他にもアイドルや子供の歌
コンセプトが好きじゃない。子供だから。といった先入観を除いてフラットで聴けるようになれば、様々な良さを感じながら歌が聴けるようになるだろう。
歌を音じゃなくピッチ。時と場合によって音。
で聴き分けられるようになると音楽の世界が何十倍も広がって面白くなる。