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好きな子が“声優になる!”と言ったから
いじめられていたことが原因で“コミュニケーション”に、コンプレックスがありました。
「やめて」と言ったら笑われる。変なあだ名をつけられる。授業で発表するだけでクスクスされる。
でも、ツッコミを体得してからは“笑われる”から“笑ってもらえている”に変わっていったんです。喋りでウケる。ただ笑ってもらっているだけのことなんですが、そんな経験がなかったので、ようやく居場所が見つけられた感覚といいますか。学校が過ごしやすい場所になったんです。(いじめは完全になくなったわけじゃないんですけどね)
前回「いじめから脱却できたのは“喋り”のおかげだった」
【徹底的に真似をする】
芸人さんのトークやツッコミワードをとにかく真似して、次の日学校で喋ってみる。みんながみんなテレビを見ているわけじゃありませんから、真似してても(たまにバレることはあっても)バレにくくウケてました。
喋りに自信がついてきた頃、好きな人ができたんです。香織さんとしておきましょう。同じ部活で、好きなアニメの話をしたり、ちょこちょこメールをしたり、とても楽しい毎日でした。そんなとき
「ひろきの将来の夢は何?」
と、聞かれ
「あっ、えーっと‥」
と、パッと答えられなかったんです。なので逆に
「香織は何になりたいの?」
と、聞いたら
「うーんとね、声優!」
と、言われ
「あっ!ぼ、僕も!」
と、真似する形で答えたんです。一緒に頑張ろうねなんて言われて、すっかりその気になってしまいまして。本気で声優になるかどうかというよりも、ファッションとして「僕、声優になりたいんだー!」と友達に言っていました。
喋りと同様、真似をすれば人にウケると思ってしまって「声優になる」と言った。これが声優を目指した始まりです。
この頃は人の言ったことでも、いじめを回避できて自分に注目を集められるなら、それでよかったんです。僕で笑ってもらっているわけじゃない。誰かの面白かった事を言うことで、まるで自分が面白くなった気でいました。それが、生きる手段だったから。
しばらくして香織さんと付き合うことができましたが、別に好きな人ができたと言われて、数ヶ月でお別れました。
僕に残ったのは、香織さんの真似をして言った「声優になりたい」というファッションの夢。ファッションだろうがなんだろうが友達に言ってしまったので「応援してる!頑張ってね!」と言ってもらえていて。
『うゎ‥どうしよう。なるつもりなんてないのに‥。いや、もうこの際、本気で目指すか』
嫌われたくない、嘘つきだと思われたくない。そうなんです。“見栄”で、本格的に声優を目指すことにしたんです。中学を卒業していじめられ関係もリセットできたので、高校2年生のとき声優養成所に通い始めました。
【喋りでウケたいと思ったわけ】
勉強も運動もできませんでしたが、喋りはできました(と思っていた)。僕には喋りしかない。どうしたらもっとウケるようになるのか?そのとき僕が参考にしていたのは、くりーむしちゅーの上田晋也さんでした。しゃべくり007や、おしゃれイズムを見ていたので
「上田さんのように喋ればウケるに違いない!」
と思い、たとえツッコミをノートにメモしてガンガン真似して喋っていたんです。するとあるとき、友達から
「上田とさんまを足して2で割ったみたい!」
と、言われたんです。え!上田さんのように面白いってこと!?と思い興奮したのを覚えています。上田さんみたいと言った友達の観察眼?感覚?もすごいですが。
いじめられるのは嫌でしたが、注目はされたかった。足の速い子、テストで一位の子、かっこいいこ、不良。色々な注目のされ方がありましたが、僕はどれにも当てはまっていませんでした。でも、喋り(特にツッコミ)ではまだ誰も注目されていなかった。
「これだ!」
当時は、ツッコミ枠が空いてる!なんて解像度の高い分析はできていませんでしたが、感覚的にそこを狙っていきました。
「いじめじゃなく、注目してほしい」
どんどん喋りの研究をし始めました。上田さんが言っていたツッコミの一部を変えて、自分が考えたワードっぽくしていく。たとえば
「いやびっくりドンキーもびっくりだわ!」
と言うツッコミを
「びっくりドンキーのハンバーグ定食もびっくりだわ!」
と付け足したり
「阿藤快と加藤あいくらい違うわ!」
というのを
「たかひろとひろたかくらい違うわ!(1人は痩せていて、1人は太っていた双子の同級生)」
と身近な人に言い換えたり(思い出せるウケたツッコミはこの二つくらい)して、ときにはウケないこともありましたけど、いじめられていた苦痛に比べれば恥なんてどうでもよかったんです。
この“真似する”研究の仕方は今でも変わっていません。上手いと思うナレーターの読み方や、芸人さんのフリートークを真似してみたり、尊敬する人が面白かったと言った本を読んでみたり。
この真似と経験の重ね塗りが結果論、自分の喋りになっていきました。喋りのお仕事といってもパッと思いつかなかったので、アニメが好きだったこともあり「声優」を目指したんです。
次回「父親の一言で、声優を仕事にしていこうと本格的に考える」
・noteを通して書籍出版を目指します!タイトルは「僕には喋りの仕事しかない~いじめから脱却できたのは“喋りのおかげ”だった」です!
ナレーター
有野優樹(ありのひろき)
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