見出し画像

日経平均過去2番目の下落~投資初心者が今更ながら確認しておきたい3つのこと

2024年8月に入り日本、米国および世界の投資市場は大きな下落を経験しました。

2024/08/02の日経平均ヒートマップ
ほぼ全面安の展開


特に日経平均は8月1日もでしたが、8月2日の下落幅が過去2番目という大きなものとなりニュースなどでも本格的な危機を心配する報道が相次いでいます。

また半導体銘柄の中でも生成AIブームに乗って株式市場をけん引してきたNVIDIAが2024年4Qに出荷開始予定だった次世代GPU「RTX5000」(開発コードBlackwell)に製造上の欠陥が発覚したことで同社の株価にも週明け以降大きな影響が出そうです。

こうしたニュースは実は1か月以上前の6月下旬からネット上のITメディアからは既に公開されたロードマップから噂されており、いち早く情報を掴んだ投資マーケットでもここ最近の下落の要因の一つではありました。

しかしタイミングというのは悪い事が重なるもので、米国の景気後退の深刻な懸念と重なったことで大きな動揺に発展しかねません。


リーマンショック(2008)以降に投資を始めた投資初心者は基本的に株式市場の好調な時代しか経験をしておらず、本格的な暴落に対する耐性が殆どないとされています。

そこで本記事では初心者の投資家が気を付けるべき3つの確認するべきことを紹介したいと思います。


3つの確認すべきこと

①Timing

1点目は、その投資をしている資金は「いつ」使う予定の資金であるかという点です。

もしそれが数年以内、個人的な意見としては5年以内に使うお金として考えているのであれば、「そもそも投資に回してはいけないお金」であったことを伝えておきたいと思います。

近年、積立投資なら下落をしても大丈夫という誤解をしている人が大勢いますが、受け取り間際の下落局面はそもそも殆ど投資方法の違い(一括投資か積立投資か)に意味を持ちません。

積立投資は投資期間の序盤の下落に強いだけであって、投資資金が積み上がった後半から受け取り間際の下落にめっぽう弱いことを認識していないとするならば勉強不足と言わざるを得ません。

改めて勉強をし直すことをお勧めします。



②Knowledge

既に8月2日(金)の日経平均の大幅下落やNYダウが一時960㌦超の下落した報道を受けて、8月3日ないし4日に自身の証券口座で資産状況を確認した人もいるでしょう。

NYダウはドル表記なので、円に換算すると約14万円(1㌦145円)の下落ですからその大きさが分かります。

そして中には損切りや証券口座を閉鎖した画像を公開している人たちがいます。ネタとしてはなかなか面白い話ですが、それを真に受けて投資家が自分まで同じ行動を取る必要性はありません。

人によって受け止め方は異なるでしょうが、あなたはどう受け止めているでしょうか。

ちなみにこうした下落時に無難な選択肢は証券口座を見に行かないことです。


しかし見に行かない人は今の心理的苦痛を避ける代わりに投資家として成長も出来ません。


下落という痛みある事実を受け止め、そして考える事が成長には欠かせないのです。

さて2つ目です。Knowdgeナレッジとは知識という意味ですが、昨今の投資ブームにおいて投資信託についてきちんと勉強をせずに投資信託などへ投資を行っている人も少なくないのが実情です。

まず8/2の夜時点で更新された主な投資信託(または主要指標とするインデックスファンド)の前日比の下落率を見ると…


日経平均は大きな下落をしていることが分かります。
8/1の日経平均終値は8/2の終値と比べてその差は5.8%とほぼ投資信託の基準価額の反映がされていることが分かります。

他方、米国株式のS&P500を同期間で比べると1.8%と同指標をベンチマーク(BM)とする投資信託の基準価額の変動と比べて低くなっています。


なんだ、この程度の下落であれば…そう感じる人もいるかもしれません。
またはこの投資信託は市場の下落に対して強かった!と喜ぶ人もいるかもしれません。

しかし、一体いつから―――

外国株式の基準価額の反映は国内株式型投資信託より更に1営業日後に反映します。つまり、8/2の夜から8/5の夕方までに証券口座で確認ができる下落は1営業日前(8/1)のものということになります。

よって8/5夜に8/2の下落分もようやく反映されて以降、日経平均を投資対象としていた投資信託に続き、オルカンなどにもこれらが反映されることになります。

加えてドル円などの為替が1ドル146円台に急騰、米国株式や世界株式などは為替がこれまで通貨安だった事で評価額が高く見えていたものが剥落する事になります。

オルカンが阿鼻叫喚…(*´艸`*))ウシシ


投資信託の基本的な売買のスケジュールをおさらいすると、こうです。

国内株式型投資信託の場合、「注文日」と「約定日」は1営業日、
「受渡日」は「約定日」から4営業日となっています。

また外国株式型投資信託の場合、「注文日」と「約定日」は2営業日となっています。

これは投資信託の仕組み上どうしてもそうなってしまう部分であり、
こうしたスピード感などを解消したのが現在海外では投資対象の主流となっている上場投資信託(ETF)の魅力でもあるわけです。


そして仮にここで売ろうと思ったとしても、そこには売却まで買付時と同様のタイムラグが発生します。

なのでここで仮に売却をしようとしても実際に売却が約定やくじょうするのは2営業日後。現金が証券口座に返ってくるのは更に先となり、目安としては約1週間は見ておく必要があります。

つまり今から下落を逃れようとしても既に手遅れ。資金の流動性(換金性)を考えると暫くは荒れに荒れるであろう状況の中で売却することになります。

運良く多少は回復しているかもしれませんし、今よりもっと大きく下落するタイミングで売却になるかもしれません。

ちなみに日経平均先物は既に8/3-8/4に更に1,000円超の下げを付けており、一段安が8/5(月)のマーケットでも続きそうな勢いを見せています。

そんな不確かなリスクを犯してまで損を確定させる必要性が本当にあるでしょうか?

そういったすぐに引き出す必要性のない余剰資金で投資は行う必要があるのです。

また、証券口座から自分の銀行口座への出金は自分で出金手続きを行う必要があります。
ハイブリット口座(マネーブリッジなど)であれば即座に反映しますが、そうでない場合には翌営業日などに持ち越されることもありますので注意が必要です。


③Why?

3点目は「何故、投資をするのか?」という投資における動機の再確認と、「何故このような大きな下落が起きたのか」について自分なりに考える事。

3つ(Timing,Knowledge,Why)をまとめると「知識がない人が、こんな悪いタイミングで手放すなんて、なんと愚かなんだろうか」ということです。


投資において、株式は一つの選択肢にすぎません。

自己投資をして収入を上げるのがもっとも確実であることを除けば、債券や不動産金、私は決して投資対象として勧めませんが金などの現物コモディティソーシャルレンディングNFT、FXやCFD、バイナリー、暗号資産クリプトなど投資対象となるものは他にも沢山あります。

もしNISAが運用益非課税だから株式または株式型投資信託(ETF含む)というのであれば、浅はかにもほどがあります。

非課税というのは利益が出たら課税されるものが非課税なだけで、利益が出なかった時には通常の株式投資のように損益通算(3年)もできずにただ損をしただけになります。

利益が出ることを前提にしてNISAを使って、損を出すというのは愚策中の愚策でしょう。

確かに株式投資は投資の王道です。それは株価(企業価値)は計算ができるからで、FXまたは外貨預金などで為替差益を狙おうという目論見については、為替レートは資産ではなく2国間の通貨の交換レートでしかないためにこの計算ができません。

このため実効為替レートなどは理論値でしかないため必ずしも為替レートと一致せず、トレンドの転換点において大きく乖離してそれは時に非常に長く修正されない。


また殆どの暗号資産はその価値の裏付けに弱く、投機的期待によって価格が形成されているにすぎません。

保有する資産がキャッシュフローを生み出さないものは、投資に向かないというのが基本的な考え方*です。

言い換えると「お金に働いてもらう」という概念


ゴールドは自ら売買をしない限り収益は常に評価額でしかなく、配当も収益も生み出しません。需給で価格が常に変動するため資産運用には不向きだと考えています。
(但し、最後の資産防衛として米ドルを信用していない人などには必要)

脱法的や非合法的な方法でなくても、他にも色々な方法で税負担を回避したり軽減する方法は世の中にはあります。知らないとすればそれはその人が勉強不足なだけであって、世の中は賢い人と賢くない人がいるというだけの話です。


経済ニュースなどで解説をしてもらうことは一つの参考にはなりますが、これを鵜呑みにしているばかりでは市場の変化に対応できません。

みんなが買っているから自分も買うというトレンドフォロワーは、株価が上がっている時は遅ればせながらも利益を上げることができます。

しかし、みんなが売っているから自分も売る場面になると市場の転換点では手痛いミスをしてしまいます。

株式市場というのは上がる時はジワジワゆっくりと上昇しやすく、下がる時には一気にドカンと下がるのです。

刻一刻と変化する情勢は災害時の避難と似ています。
関東大震災の時、火災から逃れようとみんながあっちに逃げるからと一緒に付いていった人たちは逃げようとした人たちと橋の中央でもみ合いとなり、大勢の人が逃げ遅くれる結果を招きました。

大切なのはどんな時も自分の頭で考え理解し、そのうえでどうするのかを考え抜くことです。

それが「投資は自己責任」と言われる所以なのです。


また今回の下落を理解するにも、前提となるいくつかの知識が必要になっていきます。

お前に足りないものは、それは!
情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!
そしてなによりもォォォオオオオッ!!経験が足りない!!!

投資の世界は元々お金を持っている人か、お金を持っていない人がやる場合でも投資についてきちんと知識・経験を通じた理解をすることが大切です。

つまりそうしたことを考え、学び、経験し、理解するための時間と余裕(資金を含む)が必要であることはここで改めて言われるまで理解できなかった人はこれまでの市況においてとても不勉強だったということです。

今回の下落については、話がとっちからってしまうので、別な機会に解説をしたいと考えています。


バフェットの警告

株式投資の神様ウォーレン・バフェットはこうした市況に対して非常に鋭い指摘をしています。

バフェット自身、2023年後半から株式の選別を強化し、2023年末には過去最大の現金保有額となっていることを公表していました。

また2024年4月末に開かれたバークシャーハサウェイの株主総会では同社のポートフォリオの上位だったアップル株の大量売却を報告していましたが、この度四半期の報告書で約半分にあたる売却を行っていた事がわかりました。

更にバフェット氏がお気に入りの指標である「S&P500」が「非常に危険」な状態にまで吊り上がっていることをバフェット指標を用いて報じる向きもあります。

これはバフェット自身が語ったものではない点に注意が必要ですが、米国株式市場の時価総額(約55兆㌦)が米国GDP(約27兆㌦)の約2倍(190%)に近づくと株価は大きく下落するというドットコムバブル以来のバフェット氏が用いる経験則の一つとされており「バフェット指標」と呼ばれ、彼はその70~80%以上で買うことを「火遊び」と表現しています。

またバフェット氏だけに限らずMeta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグ氏や、Amazom.com創業者ジェフ・ベゾス氏ら米国ビックテックの幹部や取締役も相次いで自社株の売却をして現金保有を昨年後半から2024年前半に一斉に行っていることは報じられている通りです。


過去n番目の下落は意識するべきか?

過去何番目の下落であっても、それが仮に過去最大の下落であっても投資においてまず投資家が考えるべきは自分自身の「リスク許容度」の再確認です。

パリ五輪で日本の代表選手たちが日々、手に汗を握る試合を展開していますが、投資において精神的な意味で手に汗をかくレベルではリスクを取りすぎていると考えます。

また同時に日々の生活や将来のライフプラン、やりたいことを脅かすものであってはいけないと考えています。

投資においては少し臆病なくらい慎重であること、冷静であることが求められます。投資家が興奮していくらアドレナリンを出しても株価は上がりませんし、下落を止められません。


どれくらいのリターンが得られるかという「リターンの追求」など頭のねじが何本か抜けている状態(アルコールなど)であればいくらでもリスクを無視してできるのですから問題ではありません。

また日経平均としては過去二番目、1987年10月のブラックマンデー翌日以来の下落幅と言いますが、これは金額ベースでの話です。

また下落率で比較すると1970年代のオイルショックやIOSショック、もっと遡ると1950年代のスターリン暴落など大きな下落は他にもあります。

金額で判断するのが正しいのでしょうか?
それとも率で考える事が正しいのでしょうか?

私はどちらでも考える必要があると考えています。

一つに金額ベースで考えると株価というのはその時の企業価値を反映すると考える事ができるので、それはその時のお金の価値であり、インフレ率を考慮していると考える事ができます。

また率で考える場合、それは「過去にはもっともっと大きな下落があった」という点で今回の下落に関してなんだまだそんなに慌てるほどじゃないとも言えます。

逆にメディアというのは嬉しいニュースよりも、悲劇や衝撃的なニュースの方が視聴率や購買数、PVを稼ぐことができるのでより大衆にウケの良い方を好んで情報を発信しがちです。

つまり悲観論が強く報道されます。これを差し引いて、都合よく(また時に自分に厳しく悲観的に)受け止める必要があります。

ちなみにリーマンショック時にFXで追証を喰らった経験からすると今回の下落はわりと「ふーん、やっぱり起きたか…(゚σ_゚) ホジホジ」という感じです。
(半年~1年くらい遅かった印象だが)

市場の過度に楽観的な姿勢には常に懐疑的でいるくらいがちょうどよいと考えています。

そしてこうした大きな下落を迎えた現在、私は兼ねてから警告をしてきたインデックス運用による過剰投資も下落の大きさの要因の一つではないかと考えている点は予めお伝えしておきたいと思います。


いいなと思ったら応援しよう!