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世界が直面する金融教育の課題(3)

2020年6月20日(土)14〜17時、金融庁シンポジウムがオンラインで開催されました。

テーマは『金融経済教育と資産形成の未来~新型コロナウイルスの影響を踏まえて~』です。

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本記事ではこのプログラムの中の一つパネルディスカッション②「金融経済教育の実践と課題」の概要とポイントを解説しています。

本記事を読む前にこれに関連する以下2つの記事をお読みになられることを推奨しています。

【無料】(1)デジタル・デバイド(情報格差)による金融経済教育の問題点

【100YEN】(2)世界と日本における金融教育の系譜と変遷


教育が必要と叫ばれるがその中身は?「金融教育ギャップ」

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本講演時点で埼玉大学で教鞭を振るっている中川忍氏は講演のオファーがあった時点では元金融広報委員ということで日本の金融を広める立場にあった方でした。

中川氏は『金融教育ギャップ』を「金融経済教育の実践と課題」の中で触れました。

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『金融教育は学校で行うべきか?』というアンケートを行ったところ、

2016年の調査(カッコ内)よりも2019年の調査ではその必要性を感じると答えた人が増えていることが分かります。

しかしこう答えた人たちのうち、実際に金融教育を受けたことがあると認識している人はごく一部にとどまります。

ここで必要であると叫ばれている金融教育とはどのようなことを求められているのでしょうか。

どうも『金融』という言葉が身近ではないために、日本では『金融教育』の実施が兎角求められていますが、その内実は単に家計管理(家計簿などから収支を見直す)や生活設計(ライフプランを立て、それに必要な金融商品などを選択する)と結びついていないことが少なくないようです。

このシンポジウムのテーマが『金融”経済”教育』であるように、単にお金を増やす方法としての投資や資産形成に偏重した知識を『金融教育』とは呼びません。

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