📧日本のバブルは何故生まれて、そして弾けたのか…⑤(2019年1月)

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平成元年(1989年)は日本中がバブルの熱に浮かれまくっていた

　バブル経済の少し前から振り返って見ましょう。1970年代に入る頃、日本の輸出産業は絶好調でした。為替は1ドル360円で固定相場でした。
しかしこの固定相場制は太平洋戦争が終わったばかりの経済格差も大きかった時代ならいざ知らず、復興を遂げた日本と米国との間で貿易摩擦の温床として大きな問題になっていました。
1971年にニクソン・ショックと呼ばれる大改革が断行され、世界の金融ルールが大きく変わりました。

日本でも為替相場が変動相場制に切り替わります。

円高不況とオイルショック、神風が吹いてフランスからあの男がやって来た

すると1ドル360円だった為替はあっという間に250円台になったのですから、輸出企業によって成り立っていた日本経済は大打撃を受けました。

しかし幸いにもとでもいうべきでしょうか。

オイルショックがやって来て、燃費が良い日本車が高くても売れる時代がやって来ました。アメリカで日本車憎しとアメリカ人の中には日本車を破壊して歩く抗議運動が起こります。

1981年に自動車業界は自動車輸出量の自主規制が行われ、1985年のプラザ合意で人為的円高への誘導が行われると為替235円台から150円台へ。
再び日本の輸出企業の失速を受けます。

【円高不況】と呼ばれる時代です。
昨今話題になっている日産自動車はこの時に構造転換がうまく行かず、生産コストが高いままになってしまい1998年に2兆円の赤字を抱えていましたが、1999年にルノーからカルロス・ゴーンがやって来て構造改革が強行されて僅か4年で黒字化しました。

このような産業や雇用の切り替え(1986年労働者派遣法成立)が日本中の様々な業界でうまく行かず、景気が冷え込んでいく中でこれを何とかしたいと考えた日本政府と日本銀行は公定歩合という政策金利を1981年に年率9％から1987年に年率2.5％まで引き下げます。

金利が低くなることで資金の確保が容易となり、企業は銀行などからの借り入れを積極的にするようになります。結果、銀行は企業や個人へ積極的に融資を行い、企業や個人は不動産や株式へ投資をするようになりました。
製造業が特に強かった当時の日本では、日本は島国で土地は限られており、｢不動産の価値は絶対に崩れない｣という神話が信じられていたのです。

(今でもそう信じている日本人は意外と多い)

また融資する銀行からすれば土地という担保があるため、取りっぱぐれないという考えもありました。

(金融の悪い癖で貸し出す時、申込む時のことしか見ない傾向がある）
この国の狙いに見事にはまり、なんと全国で不動産価格が高騰。工場を建てるために融資を受けたのに工場を建てずに土地を転売するだけで儲かってしまう事態が訪れます。そして余った資金は民間のマンション建設や株式市場へと流れ込みます。
1987年にNTTが株式を公開。売り出し価格は1株119万円でしたが、世の中であふれた資金は株価も押し上げました。
2ヵ月後には1株318万円にまで高騰。そして他の上場企業の株価も軒並み上昇する時代がやってきます。これを【バブル経済】と呼びます。
今から30年前の1989年(平成)12月の大納会で日経平均は史上最高値38,915円をつけました。米国を抜き上場企業時価総額では世界一になったのです。
しかし翌年の大発会以降株価の下落は止まらず、『失われた30年』へと突入します。

【何故、バブル 弾けたのでしょうか？】