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【動画🎓🎞️】あなたにとって投資とは?~お金の教科書STEP2(2-6)

投資・資産形成を考える時に欠かすことが出来ない、定めておきたい考え方の一つに「投資とは何か?(どんなものか)」というものがあります。

自分が投じたお金を長期的(将来的)に増やすことは結果(目標)です。

そして長期資産形成においてお金を減らすことの方が難しいのは、資産形成について学んだ人であれば多くの人が理解していることです。

しかし私は20年に渡って市場を見て、自分でも資産を投じ、また仕事の上でも様々な投資家(顧客・相談者)を観てきましたが、この結果を得るために極端な例ですが、その投じられたお金がその過程の中で誰かを貶めたり、不幸にしたり、傷つけたりなどはあってはならないと考えています。

しかし今日の投資ブームにおいて、「自分のお金が増えさえすればいい」という安易な投資家が増えている事は知っておく必要があります。

つまり結果リザルトを重視するあまり、なんでもありバーリトゥードになっている投資・資産形成も少なくありません。

その一例がFXやCFD、バイナリーや暗号資産、デリバティブ取引や株式投資の5年未満の投機短期売買またはギャンブルです。

投資・資産形成に投じた資金をその投資先の企業にどのように使ってほしいのか。また企業はその株式や債券などの証券投資を通じて調達した資金をどのように活用して企業の発展を目指していくのか。

投資家がそのお金に託す想いは、投資家・企業の双方にとって一致していなければ不本意な結果をもたらしてしまうこともあります。

動画では自動運転車を例に投資とは何か、私なりの考え方を一例として挙げていますが、このテキストでは先日話題となった月面探査を目指す企業ispaceについての事例を記事で上げたいと思います。


民間月面探査・輸送企業ispace

2023年4月12日、東証グロース市場に日本の民間月面探査・輸送企業「ispaceアイスペース」(資本金1億円)が新規上場しました。

グロース市場らしい、実にチャレンジングな上場が久しぶりに現れましたね。

同社は2010年設立。世界屈指の富裕層でありTeslaの創業者であるイーロン・マスク氏のSpaceXによるロケットに搭載され、2022年12月11日に同社の月面探査機は宇宙へ旅立ちました。

同社は2013年から月面無人探査機を送り込むGoogle社のコンペGoogle Lunar X Prize(2007-2018)に挑戦を続け、同コンペが優勝者不在のまま終了後した後も宇宙開発への挑戦を続けていました。

人とチンパンジーは96%遺伝子上は類似しており、ネコとは90%、ネズミとは85%、牛とは80%、蚊とは61%、鶏とは60%、バナナとも60%類似している。
宇宙空間で動植物や医薬品の研究をすることは将来、人類が宇宙で暮らす時代に向けた基礎研究。

無重力空間での様々な研究、また地球には少ない資源または存在しない鉱物などの採掘が実現すれば人類はやがて映画やアニメの世界のように宇宙で暮らすことになるかもしれません。

今日まで地球上で起きている各地の紛争や戦争などは資源などのエネルギーや鉱物の偏在や枯渇が根底にあったりします。

その一方で宇宙関連のスタートアップは、将来的な需要が見込めるとされていながらも初期費用や研究開発における損失ロスが生じやすく容易に事業としては成り立ちません。

何しろロケット一機の打ち上げが失敗しただけで数十~数百億円単位のそれまで投じてきた資金が一瞬でオシャカになってしまうからです。

宇宙に物資を輸送するコストは未だに非常に高く、限られた燃料や研究機材しか運ぶことが出来ません。

そこでispace社はSpaceXのロケットに乗せてもらって地球外から低燃料で月軌道を周回して月面着陸をし、月面探査を行うという10のミッションを目指しました。

ミッション9で月面着陸が成功すれば、ミッション10でランダー「HAKUTO-R」に搭載した無人探査機が排出され、月面の探査を民間企業として世界で初めて達成するというプロジェクトでした。

しかし2023年4月26日未明。月面着陸予定時刻の直前、カウントダウンの最中で通信が途絶…(ライフ画面右上のsimulationに切り替わった)

想定でも降下中に通信が途切れることがあるとはされていましたが、その後通信の復活を確認することはできませんでした。

1:10:17時点でsimulationに切り替わる

およそ高度800~900m前後、時速150km以上から31km/hまで減速していた最中で燃料切れによる自由落下をしたと見られ、ミッション9の成功は確認できませんでした。

しかし初挑戦で8/10は成功し、大躍進。ミッション9で失敗の要因も将来の成功への糧として多くの収穫が得られたと言えます。

『宇宙兄弟』より

最初から確実に成功することしかやらなかったとしたら、誰もが安全なことしかやらず、大衆コモディティ化して成長や発展がなくなってしまいます。

宇宙関連の開発や研究に限らずですが、科学や医学・生理学、また物理学でもスポーツや音楽や芸術でも挑戦とは出来て当たり前ではなく、挑戦して初めて手にできるものがあるのではないでしょうか。

日本では兎に角、国産ロケットH3の打ち上げを失敗とあげ足を取ったりするようなメディアや一般の人の減点方式の声が多い一方で、挑戦は加点方式で積み上げていかなければたどり着きません。

個人投資家の中にはこの報告または未明の通信途絶を受け、失望や損切をした人もいるようです。

ispaceのミッション9は同日昼に着陸確認が取れないとの記者会見を受け、明けて4/26の取引では25%超の大きな下げを経験しました。

左から氏家亮・最高技術責任者(CTO)、袴田武史・最高経営責任者(CEO)、野崎順平CFO

ispaceの野崎順平・最高財務責任者(CFO)は「投資家に大きな期待を頂いていたが、応えられず、責任を重く受け止めている」、「今回は期待に沿うことができなかったが、今後しっかり取り組んでいく。信じて見届けてほしい」とと述べています。

しかしそもそも論ですが、4月12日に上場したての同社にとってはミッション2・ミッション3と今後も続きます。

ミッション1の無人月面探査が成功して終わりではなく、それを次の研究や開発につなげていくこと。

それがこれまでは国費を投じてのJAXAに実質一辺倒だった日本の宇宙開発、モノづくりのノウハウの昇華と次世代への継承にもつながっていくのではないでしょうか。

また既に12月に打ち上げ済みの今回のランダーに4月12日の上場で資金調達というのは少々無理があります。

宇宙開発は採算が最初から取れるからやる事業ではないわけで、打ち上げが成功していきなり売り上げや収益が立つものでもありません。

そもそもispaceは上場前から直近ずっと赤字です。

初期費用がずっと赤字でも投資し続ける点ではamazon.comの黎明期と似ているが…。

これを補填する意味でも、投資家が市場を通じて余剰資金を投じる。それを元手に運転資金や研究開発として使ってもらうくらいの投じ方でなければなかなか長期保有してもらえないでしょう。

資本金1億円の会社が時価総額1,278億円を株式市場で評価され資金調達できている。

2023年4月26日引け時点

これはとても素晴らしい事。現在の赤字は先行投資と捉え、証券市場における資金調達というレバレッジをかけて事業を行っていると言えないでしょうか。


民間宇宙開発のけん引役SpaceX

PaypalやeBayなど数々のIT企業を高く売り抜けて世界有数の資産家となったイーロン・マスク氏が2002年に設立した宇宙開発企業SpaceX(非公開企業)。

Amazon.com創業者のジェフ・ベゾス氏が立ち上げたBlueOrigin(2000)とのNASAのコンペを勝ち取ったことで、開発者がSpaceXへ大量に移籍するなどとなり実質的に民間宇宙開発の主導権を握ったとされています。

SpaceX社は将来の目標を有人火星飛行と掲げ、現在は次々と宇宙に向けてロケットを打ち上げています。

その事業の一つが地球の軌道上を覆う無数の人工衛星に携帯電話の基地局を搭載し、洋上や山岳地帯などでも将来は光ファイバー回線よりも高速な通信ができるようにするというもの。

これの打ち上げによって現在、夜空を見上げると太陽光を反射した人工衛星に反射してまるで銀河鉄道のように空を等間隔で渡るStarLinkを観ることができる地域もあります。

また将来の火星探査時に打ち上げたロケットで再び帰還するためにを噴射口を下に向けた発射状態のまま着地するという、まるでSFに出てくるような難しい姿勢・逆噴射の制御まで地球重力下でも行おうとしていました。

また同社は打ち上げ時に再利用可能なロケット開発を行いこれまでにも数々の失敗をしてきました。

しかしマスク氏はロケットの爆破、着地失敗が報じられても「こんなに有用なデータが取れた!大成功だ!」と称賛し、研究者たちを鼓舞し続けました。

失敗したデータを織り込んだロケットを数カ月ごとに打ち上げ続け、不可能と思われていた宇宙へ送り出した打ち上げロケット2機のシンクロ・ランディングに成功。

将来の火星探査の時に回収するミッションにするとして2015年にはTeslaの自動車を宇宙空間の火星軌道に放り話題となりました。

この部分やロケットの着地シーンはCGではなく実写です。

またその大きさ(輸送量)も大きな注目を集めています。

個別の企業の株式を買う、投資を行うというのは大きなリスクがある一方で大きなリターンを得られることもあります。

今回紹介した宇宙開発関連企業の他にも世界中に類似するセクターで開発を競っている企業もありますし、テーマやジャンルごとの投資を行う投資信託もあります。

これらは分散投資としては業種が近いもの(例えば航空機エンジンなどを開発している企業など)も多く、決して十分ではない側面もあります。
しかし個別の企業に集中的に投じるよりは破綻時のリスクなどの分散が期待できます。

また企業が市場から資金を調達する目的という点においても、投資家(出資者)がお金の使い道をイメージしやすいという点では資産形成に向かないとされがちなテーマ型ファンドの役割も、少し意味を変えることで長期保有がしやすくなるのではないでしょうか。


つまり冒頭からの繰り返しの引用になりますが、投資家は自分が何のために、この企業の株や投資信託ファンドに資金を投じるのかを自分で考えなければいけません。

「お金を増やす」は結果(目標)であって、目的(あなたがそのお金でやりたい事)ではありません。
そこに意味を考えて初めて、投資・資産形成はその投資先の選択肢と運用方針も初めて決めることが出来ます。

これが曖昧なままの個人投資家はまだ「投機」と「投資」の違いの境に立っていることが多いのではないでしょうか。


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前回までの記事

2-1「リスクとは何か?」(Free)


2-2お金について学ぶ目的は?(Free)


2-3


2-4/2-5


【2-6】

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