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動画視聴でドイツリートを楽しむ

2024年が始まり、はや2ヶ月が経ちました。この「とりのうた通信」…最近なかなか更新できずにおりましたが、そんな中でも筆者が過去に書いた記事に関心を寄せて下さる方々がいらっしゃり、勇気づけられておりました。ありがとうございます。ドイツリートに心を寄せる方が、見えないところでたくさんおられるのだなあと、改めて感じ入りました。

音楽の聴き方は時代とともに変わり、今やオンラインでクラシック鑑賞を楽しむ方も多くおられるでしょう。今回はそんな皆様のために、幾つかのドイツリート関連の動画配信サイトをご紹介しようと思います。こうした動画配信の良さは、やはり国際的に広く、しかもリアルタイム含め、様々な演奏会を視聴覚で体験できることにあるかと思います。もちろん体験としては生演奏とは異なるでしょうが、特に歌曲の場合は、歌手の方の表情やピアニストとのコンタクトなど、細かいところまで観察できるのが利点でしょう。

以下にご紹介するのは、ドイツリートをはじめとする歌曲の演奏、リサイタルの模様を定期的に配信している機関の公式チャンネルです。海外の機関なので、情報は原語(英語、独語など)になりますが…

1.ウィグモアホール ( https://www.wigmore-hall.org.uk/ ) の配信。
言わずと知れたロンドンの名門ホールから、リサイタルの模様がライブ配信される。室内楽、ピアノのほか、歌曲演奏も数多い。まさにライブが魅力なので、気になるコンサートはぜひリアルタイムで。過去の歌曲リサイタルのアーカイブは、公式チャンネルのホーム→song recitals で選べる。名演奏家のマスタークラスも配信される(過去にクリストフ・プレガルディアン、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターなど)。

2.オックスフォード国際歌曲フェスティバル ( https://oxfordsong.org/ )の公式チャンネル。若手からベテランまで広く国際的な演奏者たちの歌曲演奏が聴ける。ドイツリートに限らず、リュートソングから現代歌曲まで幅広く、レパートリーを知る勉強にもなる。

3.国際フーゴ・ヴォルフ・アカデミー( https://www.ihwa.de/startseite )の公式チャンネル。
独シュトゥットガルトで歌曲コンクール開催のほか、歌曲演奏の普及に努めている団体。特にヴォルフ歌曲の全曲演奏企画(2016-2022)「Der ganze Hugo Wolf」シリーズからの抜粋が興味深い(再生リスト「Lied der Woche」で聴ける)。シューベルトのパートソングを取り上げた「Happy Birthday Franz Schubert!!!」の回(2023.2.1公開)も面白かった。

さらに、以下は私の個人的関心の領域から、2つ興味深い動画をご紹介。

1.ユリアン・プレガルディエン(テノール)、エルス・ビーゼマンス(フォルテピアノ)によるシューベルト《美しき水車小屋の娘》全曲演奏。コロナ下で配信されてひときわ感動的だった(…個人的には、特に後半がよかった!)。フォルテピアノの繊細な音色のゆらぎが味わい深く聴けるのは、デジタルの長所の一つかもしれない。

2.ノルウェー、ベルゲンにあるグリーグの住家「トロルハウゲン」で行われたミニコンサート(グリーグの妻ニーナ・グリーグの生誕175年記念)の模様。グリーグの歌曲とともに、ヴォルフとシューマンのドイツ歌曲が演奏されている。演奏者はノルウェーの人気ソプラノ、マリ・エリクスモーンとピアニストのシグネ・バッケ。ノルウェー語による曲目紹介も含めて楽しめる貴重な映像。
なお、You-Tubeの字幕設定でノルウェー語を表示できるが、「自動翻訳」から日本語を選べば、日本語字幕を出すことも可能(時々ヘンテコな訳語が出るが、意味はだいたい取れる)。

外出する気も起きなくて、自宅でコンサート聴きたいな…と思った時に、こうした動画で歌曲リサイタルを楽しんでみてくださいね。

そして今回、最後に触れたノルウェーの歌曲や音楽家については、日本ではドイツリートよりも知られていないことが多いので、これから積極的に紹介していきたいと思っています。今後も「とりのうた通信」をよろしくお願いします。



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