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旭川までラーメンを食べに行ったらたまたま合唱コンクールをやっていたので一通り聴いた話。その2。

まさかの前後編。三部作になる予定は今のところないが…
というわけでさっそく始めていきましょう、大学ユース合唱の部から。



大学ユース合唱の部(4団体)

ユースは28歳までらしい。結構広いな。週に3回とか練習できる大学生が羨ましくなってくる今日この頃。

1、中標津ジュニア合唱団ひかり(混声36名 G3 銀)
夢みたものは… / 木下牧子
混声4部合唱「この楽器を」 / 唐沢史比古
・自由曲の二曲目はよく歌えていたのだが他との差が見えてしまって残念。二曲やった意味をあまり感じなかったがどういう選曲意図だったのだろう?

若い世代の発声を評価するのは難しい。声は体の成長とともに変化していくので若いうちから声の出し方を固めてしまうのはよくないと思っている。この部分については指導者の責任が重いのではないだろうか。

2、北海道大学混声合唱団(混声49名 G3 金2位)
混声合唱とピアノのための「遠きものへ――」/三宅悠太 から
VocaliseⅡ/海辺にて
・全体的にまとまってはいるものの薄くぼやけた印象。やはり声に説得力がないのが要因か。こうしたいというものはあるのだろうなと感じたがそれが表現されていない。

3、北海学園大学グリークラブ(混声22名 G3 銀)
混声合唱のための3つの祷歌「闇のなかの灯」/信長貴富 から
Ⅲ.ふと涙がこぼれる
・丁寧に歌っていて好感は持てるのだが、やはり声の説得力不足。北混も同じく、学生指揮でやるというのは並の苦労ではないが何よりも得難い経験になっていることと思う。その意気は買いたい。

今年度の課題曲について思ったことなのだが

曲として難解であるという意味ではなくむしろわかりやすい部類であろう。ただ往々にしてそういう曲の方が粗が目立つ。歌い出し「水上は」の「は」で上行するところで発声の乱れなく歌えていた団体は一つもなかったし、男声のメロディが「こけしみず」と入ってくるところもかなりの繊細さを要求される。課題曲、という意味では適していたのかもしれないが。

4、北海道大学合唱団(男声35名 M2 金1位)
男声合唱とピアノのための「三つの時刻」/三善晃 から
Ⅰ 薔薇よ
二群の男声合唱とピアノのための「路標のうた」/三善晃
・充実した声で見事に音楽を表現しており、35名で二群を歌いきる地力の高さを感じた。後半少し乱れも感じたが、個人的には理事長賞はここかなと。外国語曲と日本語曲を続けて演奏するのは非常に難しく、その影響もあってか自由曲一曲目の発音が滑り気味で言葉が上手く聴こえてこなかった(二曲目はよく聴こえていた)。


同声合唱の部(3団体)

男声合唱と女声合唱を同じ部門で審査するというのはどういう意味があるのだろうと昔から思っている。それなら混声も一緒か三つに分けるかしたほうがよさそうなものだが…まあ運営上の事情などもあるのだろうから何とも言えない部分ではあるが。

1、ターコイズブルーアンサンブル(男声30名 M3 金3位)
無伴奏男声合唱組曲「世界でいちばん孤独な歌」/山下祐加 から
4.見えない花のソネット
5.さすらいの途上だったら
・声、音楽共にポテンシャルはあるがまとまりきれていない印象。音色の変化や言葉の処理などの部分でアンサンブル不足を感じた。

2、どさんコラリアーズ(男声28名 M2 金2位)
男声合唱とピアノのための「5つのジュエル」/土田豊貴 から
Ⅲ.名もない宝石
Ⅳ.Pearl
・こちらも発音の部分でアジャストできていなかった印象を受けた。声は悪くないのだが言葉が乗ってこず結果表現がぼやけている。

3、HBC少年少女合唱団シニアクラス(女声45名 F3 金1位)
Agnus Dei / Ivo Antognini
Laudate Dominum / Gyönkyösi Levente
・うーん一位かぁ?と思ってしまったその2。音圧を出すことを重視して重たく平板な発声になっておりこれでは音楽の機微を表現することができない。声はまず「明るく」、そして次に「深く」あるべきだ。


混声合唱の部(7団体)

金賞3団体、銀なしで銅以下4団体という結果からもわかる通り人数によって二極化されている。アマチュアコンクールに何を求めるか、というのはそれぞれであろうが室内合唱の部に出られる人数の団体でこちらにエントリーするのはよほどの理由があるのだろうか?

1、アルカンシエル混声合唱団(混声12名 G3 銅)
無伴奏混声合唱曲「 今、ここに」/松下耕
・若い世代の合唱団だが、やはり声も音楽もまだまだ若い。研鑽を積んでいってほしいと思う。

2、Baum(混声48名 G2 金3位)
Last Night of Stars / Don Macdonald
Exsultate / Brian Edward Galante
・課題曲のサンサーンスは良い意味でここの団体らしくなく爽やかな好演でおっ?と思ったのだが自由曲はやはりというべきか既定路線。発声の基盤はあるだけにもったいないと思う。

3、札幌市役所声友会合唱団(混声20名 G3 奨励)
混声合唱曲集「光と風をつれて」/木下牧子 から
あいたくて
はじまり
・意図的でない(であろう)vibratoが常にかかっておりそれが全てを一色に塗りつぶしてしまっている。コントロールされたvibratoは美しいものだがこれでは表現したいこともできなくなってしまうだろう。

4、オホーツク混声合唱団(混声22名 G3 銅)
混声合唱組曲「終わりのない歌」/上田真樹 から
Ⅱ.月の夜
Ⅲ.強い感情が僕を襲った
・やはりここも声の不足が表現の不足に直結しているか。同じことばっかり書いているとお思いかもしれないがそれだけ深刻な問題であると思っていただきたい。

5、ノルドブリランテ(混声12名 G3 奨励)
おんがく / 木下牧子
Greetings / 千原英喜
・少人数の団で指揮なしで演奏するところをよく見るがそれがプラスに働いていることはほとんどないと言っていいかもしれない。推進力が失われるし音楽が歌い手たちの中だけで完結してしまい客席に届いてこない。
というか指揮なしでやるならなおさら室内合唱の部に出るべきでは?

6、リトルスピリッツ(混声50名 G4 金2位)
混声合唱曲「嫁ぐ娘に」/三善晃 から
5、かどで
合唱組曲「五つの童画」/三善晃 から
5、どんぐりのコマ
・今回コンクール前に3度ほどヴォイストレーニングに伺わせていただいていた団体。お伝えした内容をよくかみ砕いて実践してくれたように思う。母音のまとまりに関してはもう一歩といったところか。音楽もよく動いていたがテンションが上がりすぎてアンサンブルが乱れているところが散見された。

7、THE GOUGE(混声65名 G3 金1位、理事長賞)
混声合唱と2台のピアノのための「であい」/ 三善晃
・柔らかい発声としなやかな音楽がよくマッチしており好印象。ただその柔らかさ故に立ち上がりが遅かったりメロディに声が追いついていなかったりするところをどう見るか。うまくバランスをとってほしいところ。やはりG3の出来には少し不満が残り、だからというわけではないがここのG4を聴いてみたかったと思う。


かんそうしたかんそう。

二日で7000字書いたらもう頭がおかしくなってきています。当日メモも取らず記憶を頼りに書いているので抜け漏れがあるかもしれません。いやきっとあるでしょうが、感じたことは概ね書けたかなと思います。あと団体名、曲名などで誤字脱字がありましたら申し訳ありません、こっそり教えてください。
もしかしたらTwitterの方で追記や補足などするかもしれませんのでよかったらフォローしてね。あ、いや普段はくだらないことしかツイートしてないのでやっぱりフォローしなくていいです。あと記事を読んだ感想なんかを投げてくれるとめっちゃ嬉しいです。励みになります。

やっぱり歌をうたうことにおいて発声技術としっかり向き合っているかどうか、そしてその結果がある程度出ているかどうかというのは大きいんですよね。日本はアマチュア合唱の文化が非常に発達していると思いますし裾野が広いことはとても良いことです。その全体のレベルアップということを考えるとやはり声を磨くことを避けては通れないでしょう。もちろん歌うだけで楽しい、上達は二の次、でもいいんですが、上手く歌えるようになったらきっともっと楽しいし、今回は「コンクール」なのでね。

もし今回の記事を読んで(読んでなくてもいいんですが)発声を良くしたい、声を音楽に活かす方法を知りたい、という方がいましたらお力になれると思いますので是非ご連絡いただければと思います。また今後はこのnoteで発声のことについても記事にする予定ですので良ければチェックしてくださいね。

前後編にわたってここまでおつきあいいただきましてありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。


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