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街中で財布を落とした話

おはようございます。朝の4時半に財布を落として同じ日の朝7時に取り返し、疲労困憊でマックに駆け込んだ社会人一年目の石田です。

刺激を求めるネット民には残念ながら、これなんとかハッピーエンドなので悪しからず。顛末とヤケクソに書きたくなっただけです。まあ人の不幸は少なからず香ばしいとは思うので、嘲笑いながら見てください。

元々のスケジュールとロス

まずこの日のスケジュール。
私は前日(連休中日)に『連休らしく旅に出たい(安直)』と思い立ち、行った先でどこに行くか何をするかを一切決めず高速バスに乗りました。路線は東京ー静岡市。

昼過ぎに都心を発ち、夕方に静岡着。取り敢えず五味八珍とスマル亭を渡り歩き、この日の深夜は日本からも多数参加している海外競馬の中継があったのでそのままネカフェに滑り込みました。賭けてはないもののその勝敗に一喜一憂、終わったら2時間ほど仮眠して4時半に起床。5時半発の静岡発東京行きのバスで帰り、午前中から自宅でのんびりしようという算段でした。

朝4時半、ネカフェを発ち近くのレンタサイクルにライドオン。指の数ほどしか人・車とすれ違わず『やっぱ地方は人が多過ぎなくて良いなぁ』なんてぼんやり感傷に浸りながらペダルを漕いでました。

このぼんやりしてた10分が、あとあと人生を狂わすことになるなんて…(>_<)(過言)



少し運動した後の爽やかささえ感じながら運転を終え、さてバス停へ行こうと歩み始めた瞬間、寒さからポッケに手を突っ込みました。
そして




財布がない



いつもジャンパーの左ポケットに入れているずんぐりむっくり、包含する情報的に実質自分の分身のような存在の財布がありませんでした。

右ポッケ?無い。
ズボンのポッケ?入れてるなら肌触りで分かるはず。
尻側?あるなら触らずとも気づく。
胸ポケット?重くないから絶対無い。

カバン?無い。
借りてた自転車のカゴ?あり得ない。





当たり前で一番信じたくなかった結末

『落とした』


全身をペタペタ触って、湧いてきたのは財布ではなく鳥肌でした。

顔面蒼白、頭真っ白、後悔、パニックとはこのことか。

就活で自分の長所を『冷静』と結論付けた過去の自分が直視できません。


どどどどどうすんのどーーすんの?
ウマ娘のように走れない私は借りた自転車にもう一度尻を託して猛Uターン。ルートはまだ身体が覚えていたので、2つの眼球をR2D2の頭部のように動かしながら捜索。

Uターンを始めたくらいから雨も降ってきました。しかもまぁまぁ大粒。
なぜこう悲壮的な状況に限って映画のような現象が起きるのか。この時間、この状況が夢ならばどれほど良かったでしょう…

予約してたバスが発着場にいるのを見届けて、無念の離脱。キャンセルもできないタイミングだったので、3000円近くの『自分が座る権利』だけが東京へ旅立ちました。


起承転結の転は早かった。

金を捨てた。しかしそれ以上に色々失いかねない現状に、神経だけが活発になります。昨日2万歩近く歩いてパンパンな足を回し、街灯も心許ない県道を戻ります。


無い。


一応滞在したネカフェにも「もしかしたら財布忘れたかも」と戻ったものの収穫は無し。


いよいよ最悪の事態を想定ねせばならぬのか。


金、クレカ、免許、保険証、お守り、昔使って記念に残してある切符等全てを失った生活を。
クレカが奪われ、一年間汗水涙を流して貯めた7ケタの貯金を、見ず知らずの業人に消費されることを。
高校終わり頃に親が買ってくれた(自分の人生的にほぼ最後の)贈り物を、自分の手で無くした現実を。

仕事を進める上でのセキュリティリスクは半年経っても5つくらいしか思い浮かばない脳は、こんな時に限って最悪な方向にフルスロットルでしたね。
おかげで眠気はログアクトしました。


「警察に申告してから、クレカを止める」

普段人と関わるのが苦手な自分が、自分から警察に声を掛けることになるなんて…
クレカも止めるとまぁまぁ面倒な事は、家族の経験談で頭に入っていたので、尚更躊躇われる決断でした。


駅前交番、早朝なので誰もおらず受付には『時間外はこちらに電話を』との置き手紙。慣れない固定電話に応えてくれたのは、穏やかな口調の若い男性警官でした。


ワイ「あの…財布を街中で落としちゃって…その連絡を…」

『届出』という単語が出なかったんですよね。中学生みたいな出だしを、警官は冷静に受け止めてくれました。

警官「あー少々お待ちくださいね…じゃあ落とした財布の中身詳しく教えてくれます?」

免許の詳細、クレカ、定期券…失ったものを挙げるたびに、やってしまった事の重大さを改めて痛感させられ、自分は勝手に憔悴してました。

警官「あと社会保険証も入ってますかね?」
ワイ「はい。青色のやつ入れてます。」
警官「そこに記載されてる会社名教えてもらえます?」
ワイ「◯◯◯◯です」


警官「あぁ、届けられてますね」

ワイ「………?」
「は、あ、えぇ?!」

届けられている?!?!


朝4時半に人が殆どいない道で落とした財布が、朝6時に届けられてる?!?!


転機とはまさにこのこと。

そんな都合いい事あるか?!

警官「静岡◯◯警察署で保管されてますねぇ」


はやっ!!展開早!!


ワイ「え、なら今からその警察署に行けば…」
警官様「あると思いますよ

凄えええええええ!!!


多分人生で受話器抱えた時間のうち、一番興奮してました。


警官様「そしたら石田さんが警察に遺失物の届出しましたよっていう事実を証明する番号教えますね〜。それを警察署へ提示すれば受け取れると思うので。」

この時の気持ち悪いほどに都合良くことが運んでる瞬間を処理する感情は私に備えられていなかったので、この時間喜んでいたのか焦っていたのかなんて記憶にありません。なんなら警官様の声も『優しかった』以外記憶にないんですよね(取り戻して1時間くらいの今にして)


届出コードを抱えて、大雨・冬の明け方の政令指定都市を自転車で再び闊歩することに。空は明るくなったといえどニチアサなので一通りはまばら。
『恥ずかしいことをした』という気持ちも渦巻いてた自分にとっては、まだましなシチュエーションでした。


雨水でジャンパーの色が濃くなった頃、警察署へ到着。自分から警察署に入るなんて初めてでしたが、躊躇ってる暇はありません。


入った瞬間、オフィススペースに座って仕事をされていた警官方5人ほどが一斉に自分の方へ向かってきた時は心の中でチビりました。

ワイ「あのっ、今朝っ、この辺で財布落として、っで、ここに届けられてるって、聞いたのでっ、…」

後藤ひとりをひとりでにインストール。

警官「なるほど、ではこちらに〜」

警官「身分証明できるものってお持ちですか?」
愚自「あっ、全部その落とした財布の中っすね…」

こんなに情けない瞬間、多分今後2、3回も無いだろうなぁ。

警官のうち貫禄のある方が「このあなたが落としたっていう財布、◯◯(コーヒーチェーン)前に落ちてたんですよ」


あぁ、車道から歩道にまぁまぁの勢いで乗り上げた辺りだ。
あの時の自分を殴りたい。
それより、ほどほどに質量あるものを自転車運転中に落としたことに気付かなかったって事実の方が怖かったですね。もしかしてこれまで生きて来てふと無くしたものも、そうやって永遠の別れを迎えてしまったのだろうか….

保険証から勤務先、中の現金、個人情報全てがデータ化された紙に「私が落とし、私の元に帰って来ました」という書類にサインして手続き終了。
仕事も通学も、住んだこともない街に、自分の赤裸々な個人情報が記録されてしまいました。

そして今、満身創痍の中、割と冷めたコーヒー片手にマックでブレイクです。

改めて高速バスも取ったので、今度は自分の身体を運んでもらいます。



ここで落として助かった…?

まずは「よく無傷で帰って来た」という事実に感謝するしかありません。拾得者はお礼の金も電話も不要という、聖人の究極系みたいな方だったらしいので、本当に運が良かったなと。

もしこれが海外だったらいうまでもなく大惨事なのは確定ですし、日本でも朝ラッシュや空港といった人混みで落としてたら無傷ではいかんでしょう。

静岡の名も知らぬ恩人に、私は社会的に救われました。

帽子やテキストといった代えの効く品物は人生経験上なんどか無くした事はありましたが、貴重品を丸々ロスしたのは初めてだったので本当に焦りました。
肌身離さず、しかしそれを実現するためには二重三重に対策を施さないと意味がないことを痛感させられましたね。

というわけで今後財布はポッケではなくチャック付きのどっかに入れて動こうと思います。また無くしたら、多分財布の方から別れ話を持ち出されそうな気がするので(?)


あと、警察はガンガン頼って良いというのも大きな経験でしたね。あの早朝に電話をかけるのを躊躇っていたら、多分今でも雨降る街中で私は途方に暮れていたはずです。


ふー書いた書いた。
溜め込むと不必要な負担になるので、ある意味発散できました。感情任せの駄文にお付き合い頂き、ありがとうございます。


皆さんは同じ目に遭わないようにして下さい笑

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