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ドタバタ珍道中~セブ島~1

仕事が忙しく何も手に付かず家に帰って寝るだけの日々を送るなか、ふとスマホのメモに残されていた去年いった旅行の記録メモを見つける。

書くことがないついでに旅行記的なものを書き出そうと思う。


私たち夫婦は結婚して5年。
コロナが猛威を振るい新婚旅行にも行けぬまま時間だけが過ぎていた。

夫の身内に不幸があり精神的に参っていたところ、会社の計らいで1週間程度休みをもらうことができリフレッシュのために旅行を計画するとにした。

元来ふたりとも旅行が好きだったため国内は色々なところに出かけていたためせっかくだからと海外旅行に行くことにした。
ヨーロッパなど行きたいところはたくさんあったが今回はリフレッシュを目的としているため、自然豊かな場所にしようと計画を立てた。

候補としては、バリ島セブ島グアムなんかをいろいろ検索していた。
そんななか、比較的旅費が安く済むのがセブ島だった。

私は心配性なため綿密なスケジュールをたてて観光をすることが多いがそれでは気が休まらないということで今回は本当にしたいこと以外の計画はなしで行き当たりばったりな旅をすることにした。

日本での準備らしい準備は飛行機とホテルの手配、したいアクティビティの予約くらいであとは何も決めていなかった。
不安が残る中、旅行初日からハプニングが私たちを襲う。

出国当日、超大型台風に見舞われ空港行きのシャトルベイの欠航。
それに伴い、陸路での移動になると集合時間が早まる。
朝4時までに集合場所の港に向かうはずが前日遅くまで仕事だったため疲労がたたり、少し仮眠をと思い寝てしまったのだが案の定、寝坊をしてしまう。
雨が降りしきる中、弟に車を飛ばしてもらい何とかバスの出発時間に間に合った。

高速バスはだんだんと強くなる雨風の中私たちを乗せて空港に向かう。

私は飛行機が欠航してしまうかもしれないと不安に思い眠れなかった。
もともとは私が雨女(ほぼ嵐)のため雨が降ることは予想していたが超大型台風なんて聞いていない。

バスに揺られること2時間半、空港へ到着した私たちは不安を抱えながら電光掲示板を真っ先に確認しに向かった。
ちらほら欠航という文字が赤く光る中、私たちの乗る飛行機はまだ欠航にはなっていなかった。
よかった。と胸をなでおろしたら急におなかがすいてきた。
空港とはいえ早朝のためどのお店も空いていない。

重たいスーツケースを引きながらマクドナルドに人が群がっているのを見つけた。
運よく空席が見つかり朝ごはんにありつき時間をつぶす。

1時間ほどしたらちらほらお店が営業しだしたため機内で食べるためのおやつや日焼け止めなどの化粧品などを物色しつつ早めに搭乗カウンターへ向かうことにした。

そこにはすでに長蛇の列ができており、8割ほどは中国人の観光客だった。
日本からセブへ向かうのかななどと夫と話しながらまだ見ぬ異国の地へ思いをはせていた。


おかしい。1時間経っても一向に列が進まない。
カウンターへ目をやるとなにやら中国人家族と空港職員がもめている。

よく聞くとどうやらチケットが取れておらず搭乗できないと告げられているようだがそれに食いつく中国人家族。
大きな声でまくしたて、どうしようもないことを要求している。
飛行機の離陸時間はたしか11時頃、現在9時半。
まだ時間に余裕があるからと辛抱強く待つが本当に進まない。

2つカウンターがあったため遅いながらもなんとか次が私たちの番というところまで漕ぎつけた。
離陸まであと1時間。
セキュリティなどを受けないといけないためギリギリになりそうだなと少し苛立つ。

その時、少し後ろに並んでいた中国のグループがこそこそと話し出し突然その中の一人のおばちゃんがわざとらしい声であぁ!と言い座り込んだ。


「おいおい、やめてくれや。なんで今やねん」
と思わずこぼれた。
座り込んだおばちゃんのおかげでまたもストップするカウンター。
職員がやってきて様子をみてはバタバタとどこかへ駆けていく。
そして私たちに断りを入れ倒れたおばちゃんグループを先にカウンターへ案内した。

私は見逃さなかった。
先に案内される際にしたおばちゃん達の小さいガッツポーズを。
そしてまた繰り広げられているチケットが確認できない問題。
どこのサイトで予約すればそんなことになるのか…。

時間が迫る中、見かねた別の空港職員がビジネスクラス用のカウンターへ案内してくれた。
揉めているおばちゃん達をしり目に出国カウンターへ急ぐ。

私は日本人のため出国の手続きは特になく機械のゲートを通るだけだが夫は外国人カウンターへ向かう。

夫が出てくるのを焦りながら待つが出てこない。
何をしているのか、こんなところで搭乗できないなんてことになったらとますます焦る。

5分後出てきた夫はなんとパスポートの有効期限が3か月を切っており怒られていたとのこと。
ほんと何してんだよ…。
まだ日本から出ていないにも関わらずいろいろ起こりすぎだろ…。

睡眠不足と疲労でもうすでに帰りたくなる。
まだ飛行機にすら乗っていないなんて信じられない。
あの時のわくわくを返せよと思いながら搭乗口へ急ぐ。

あぁ… 免税店とかいろいろ見たかったなぁ…


急ぐ中ちらりと目に映る電光掲示板では午後からの便は軒並み欠航となっていた。
ぎりぎりセーフだ。なんとか回避できたことに安堵する

寝不足と心労が重なり疲れた体を狭いシートに沈め眠りに落ちる。
わくわくなんてどこか行った。
今度は入国審査の時に夫のパスポートが引っかからないことを願っている。


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