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GDC Summer 2020 ピッチ大会
今回初めて参加したゲーム開発者会議で最も楽しかったのはピッチ大会である。インディゲームの開発者10チームが5チームづつに分かれて2日に渡って開発資金を求めて競い合う。審査員は各日3人づつで、その日のプレゼンテーションの最後にその日の合格者が発表されるというスピード。見たこともない未来の人気ゲームがここから生まれる可能性大である。
合格した2チーム(2ゲーム)
1日目の合格者は BattleBrew プロダクションズによる「ヌードル・スーパースター(Noodle SouperStar)」である。一口で言うと麺類に絞った料理ゲームである。ラーメン好きな自分としては真っ先にお腹が空く、いや食指が動くゲームであった。イラスト調のグラフィックスと料理人のウサギのキャラクターがカワユイ。
2日目の合格者は D-Cell ゲームズによる音楽ゲーム「アンビータブル(Unbeatable)」。こちらもカートゥーンのアニメ調キャラクターが高速のビートに合わせて動く、いや実際はプレイヤーがビートに合うように動かしてストーリーを進めていく。途中で入るダイアログも(審査員間でピッチに入れて良かった、いや入れなくて良かったと意見が分かれたものの)粋な感じがした。
合格のヒミツ
自分なりに合格チームのゲームに共通していると思われるのは次の3点である。
1. どんなゲームか直感的に分かりやすい。
2. 興味を持つユーザを絞りやすい。
3. 既にある程度出来上がっている。
1に関しては、上記のプレゼンテーションの一部を見ていただければ理解できるように、ゲーム画面だけでゲームそのものがよく説明されている。
2に関しては、ゲームのテーマは何でプレイヤーはどうやって遊べるのか、つまり実際にゲームを売り込む時のイメージがしやすい。
3に関しては、開発の現在の状況やスケジュールが具体的に述べられており、資金がどのように使われるのか明確に分かる。以下は一日目の合格チームのゲームのタイムライン(プレゼンテーションから抜粋)である。
不合格の理由
自分の印象と審査員の言葉から推測すると、合格した2ゲームに共通した要素の逆を考えることで、残りの8ゲームに足りなかったものが見えてくる。
どんなゲームかよく分からない。
5分のプレゼンテーションで説明することがそもそも難しいゲームは、このピッチ大会には向いていない。「今までに聞いたことないゲーム」と感じても、それがどんなゲームか分からなければ審査員も点数を高くつけられない。
ある不合格のゲームのプレゼンテーションに「〇〇に△△のドラマ性を加えたもの」という表現は使わない方が良い、と審査員がアドバイスしていた。果たしてその文言がゲームを的確に表していると思えなかったので、同感である。
興味を持ちそうなユーザが絞れていない。
別の不合格になったゲームに対して、審査員が「キャラクターは動物で子供向けなのかと思いきやストーリーに政治的要素が入ってくるなど大人向けの印象」とコメントしていた。確かに誰にプレーして欲しいか、一般向けなら一般にウケる内容なのか、製作者側から明確に説明できる必要がありそうだ。
開発状況やスケジュールに不安がある。
「今のところ一人で開発していて、応援してくれる人や相談相手になってくれる人が欲しい」という希望をピッチで出している場合。よく出来たものになりそうなゲームでも、完成までにどのぐらいかかるか分からないプロジェクトに出資するのは、プロでも躊躇する。この点でもシンプルなゲーム、さらに既に実績のあるチームの方が有利な気がした。昨日のNoteで書いた、資金集めについての講演と共通する部分である。