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vol.567「若い人の声を経営に取り込む仕組みを作ろう」(2024年11月22日配信)


2040年ビジョン策定への挑戦

某社で2040年ビジョンをつくるお手伝いをしています。役員9人が侃々諤々、ディスカッションしながらつくります。私はそのファシリテータを務めています。

15年後の未来を描く。これはなかなか難しいことです。そのために2040年のわが国を描いた本をメンバー全員が何冊も読みました。関連する自治体や企業が発表している2040ビジョンも確認しました。

若手管理職チーム(MMT)の挑戦

それとは別に同社では、40歳前後の中間管理職10人にも2040年ビジョンをつくってもらいました。なぜなら2040年、今の役員は全員引退しています。これに対し、彼らは2040年、バリバリの現役で会社を引っ張っています。

そんな若手管理職たちの声も聴いてつくりたい、と考えたからです。このプロジェクトでは40歳前後の中間管理職10人をMMTと命名しました。ミドル・マネジメント・チームの略です。

MMTが描いた希望に満ちた未来像

彼らの議論も私がファシリしました。彼らにも役員と同様に2040年を描いた本を複数読んでいただきました。先日、そのMMTメンバーから役員9人に対し、彼らが描いた2040年ビジョンをプレゼンしてもらいました。

結果は…良かったです。彼らが描いたビジョンは役員たちの期待を超えるものでした。その中には、役員たちが思いもよらなかったイノベーティブなものがいくつもありました。

今のわが国の雰囲気を天気で表せば、曇天でしょう。もう長い間、青空を観ていないな…そんな感じです。が、同社のMMTの皆さんが描いた未来は、そんな雲の合間から青空がのぞき、日光がサーッと差し込む。そんな景色を思い起こさせる爽やかなものでした。

ブラザー工業の先進的な取り組み

実はこのやり方、私の古巣のブラザー工業が用いたものです。2000年頃、当時の安井義弘社長が会社のビジョンを描くときに3つのチームを作りました。1つ目は50代ばかりのチーム。2つ目は40代ばかりのチーム。そして3つ目は30代ばかりのチームです。

各チームとも10人ほどの社員が選抜され、それぞれのチームで会社のビジョンを描いたのです。すると、面白い結果が出ました。50代のチームからは、現在やっているビジネスの延長戦のような、保守的なビジョンが示されました。

一方で30代のチームからは、破壊的なビジョンが示されました。破壊的とは、成長事業に特化し、成長力の乏しい事業からは撤退するというビジョンです。が、成長力が乏しい事業でもそこで培われた技術が他の事業のシーズになっているケースもあります。ダイナミックな展開はワクワクしますが、同時に大きなリスクを伴います。

もっとも納得性の高いビジョンを描いたのは40代のチームでした。前回のこのメルマガでお伝えしたように、経営には安定戦略と成長拡大戦略の両面が必要です。そのバランスがとれていたのです。

若者の声を活かす経営の重要性

いつの時代も、閉塞感漂う組織に新鮮な空気を送り込むのは「よそ者、バカ者、若者」と言われます。よそから来た、違う価値観や視野を持った者、空気を読まないバカ者、そして常にポジティブで怖いもの知らずの若者です。

特に若者は時代の流れや新しい技術、海外やアンダーグラウンドの情報に敏感で、いろんなことを考えています。様々なGood ideaを持っています。それを引き出すには、彼らが発言できる場・機会が必要です。

機会があれば彼らは堂々と自分たちの想いを語ります。逆にそのような機会がない場合、「ちょっといいですか?私にもひとこと、言わせてください」と、自分から発言の機会を求めてくる者はいません。

経営は常に新たなビジョンの策定、新商品・サービスの起案、業務の簡素化・DX化、オペレーションの改善、売れる仕組み創り、新工場の建設、働き易い環境整備、記念行事の開催など、若い人のideaや知恵が必要な場面がいくつもあります。

トップ層の皆さんは、若者が発言しやすい環境を整えましょう。会社に必要なのは具体的なideaだけでなく、若者はトップ層の、トップ層は若者が抱いている想いや情熱に触れることです。そうすることでお互いの情報格差をなくし、時代認識と方向性を揃えていくことができます。

今思えば、私のいたブラザー工業は、若者が発言できる機会をつくり、経営のヒントとしてそれを取り込んで行くことの重要性をよく知っていた会社だったと思います。経営者は若い人の声に真摯に耳を傾けましょう。そして、ワクワクする未来を描いていきましょう。

実践に役立つ動画の解説

このメルマガを読んで、「自社でも取り組んでみたい」と思われた方は、以下のような疑問や質問に答えていますので、ぜひこちらの動画をご覧ください。

質問項目

  1. まだ「若者の声を聞く機会」を設けられていない会社が最初に取り組むべきことは?

  2. 機会があっても若者が声を聴かせてくれないとしたら、何が問題?

  3. 若者の声を聞く会社と聞かない会社に発生する長期的な違いは?

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