Under the rose個展|巻頭エッセイ|夢虫の招待状
3周年を祝う菫色の舞踏会が、夜のカドリーユに耽る頃。
空想宝飾店”Under the rose”では、昆虫達がここぞとばかりに美しく着飾り、静かにショーケースを抜け出していきます。煌めく鱗粉の導を辿れば、そこは街外れの秘密の苑。
123、123…
しっとりとした初夏の夜気に溶ける、聞き覚えのない3拍子のメロディ。
— Hidden Garden Waltz —
胸が高鳴る不思議なリズムにのって、初個展に相応しい煌びやかな作品が集い始めました。独創的なビーズ刺繍で彩られた幻想庭園のワルツ。昆虫達と花々が密かに楽しむ舞踏会の様子を、皆様にご覧に入れましょう。
*
神秘的な白い翅を纏う姿は、まるで舞踏会のデビュタント。贅沢に身に付けたパールは月光を帯び、上品な光沢を放っています。
鮮やかな青いビジューを煌めかせ、星を奏でる彼女の眼差し。その透き通った青瞳の奥に、一体誰を写しているのでしょう。
*
2色の可憐な翅を翻し、軽やかに舞う菫の蝶。金のビーズが描くピンドット模様と不思議な煌めきのビジューが、彼女のダンスを一層を華やかに彩っています。
後翅の尾の先まで美しく着飾り、誰よりも優雅に羽ばたけば、奥手な壁の花達も、自然とダンスの輪の中へ。今宵限りは全てを忘れて、ワルツに身を委ねましょう。
夜更けとともに月光は翠色を増し、より深い幻想が庭園を包み込みます。光芒が差し込む古びた水盤。揺らぐ綺羅星と戯れるのは、一際美しいモーヴの蝶。
*
彼女の大きな翅を飾るのは、フレンチワイヤーと繊細なパールのスカラップ。そのボールガウンの裾をふわりと広げ、得意なピルエットを踊っています。
波打つフリルの衣摺れと、水面に耀うオパールグリーン。たおやかに踊る貴婦人は、月下にほころぶ一輪のアイリス。今宵の舞踏会の主役に誰もが心奪われます。
幻想が色濃く香り、賑わいをます秘密の苑。甘い香りに誘われて、気付けば沢山の花と昆虫達が集まってまいりました。
眠ることすら忘れ、華やかなひと時を楽しむ彼らの姿。夢境を収めた写真の数々、お楽しみいただけておりますでしょうか。どうかこの美しい記憶を、皆様の手帖の片隅に記していただけますと幸いです。
ワルツタイムはまだ始まったばかり。
秘密が霧に溶けるまで、果てなく踊り続けましょう。
*
*
*
*
作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍の昆虫ブローチ No.17「ネム」
フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー・ファー
作品サイズ|約7cm×5cm/約7g
制作年|2023年(新作/デザイン発表2021年)
*オンラインショップに別ショットの画像あり(以下同)
*
作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍のビオラのブローチ No.29「ヴィオレッタ」
フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー
作品サイズ|約7.5cm×6cm/約10g
制作年|2023年(新作/デザイン発表2022年)
*
作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍の昆虫ブローチ No.35「ルーシュ イリス」
フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー・ファー
作品サイズ|約10.5cm×9cm/約20g
制作年|2023年(新作)
*
↓モーヴ街MAPへ飛べます↓