5分で分かる!人気銘柄三菱重工を評価~企業財務分析
挨拶
このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。今回は三菱重工について解説していきます!最近タイトルを「5分で分かる」に変更しました。大体3,000字程度出書いているので5分あれば読めるということでこのタイトルに変更してみました。どこの企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!
企業概要
三菱重工は1884年7月7日に岩崎弥太郎が工部省から長崎造船局を借り受け、長崎造船所と命名したところが始まりです。当初は造船所でしたが、現在ではエネルギーや航空・防衛等様々なビジネスを手がけています。戦後の影響で分社化され、1964年に再度統合され現在の三菱重工になりました。
事業内容
三菱重工の事業は下記の4個の事業に分けられています。
エナジー
プラント・インフラ
物流・冷熱・ドライブシステム
航空・防衛・宇宙
エナジー事業は発電システムの製造、航空用エンジンやコンプレッサの製造・販売も行っています。
プラント・インフラ事業は製鉄機械、商船、その他機械システムの製造、販売を行っています。
物流・冷熱・ドライブシステム事業は物流機器、エンジン、冷熱製品、カーエアコン等の製造を行っています。
航空・防衛・宇宙事業は名前通り航空機、防衛機、宇宙機器の製造を行っています。
人員について
三菱重工の従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約7.7万人の大企業です。その中でも物流・冷熱・ドライブシステムの事業に一番多い約2万4千人の従業員を割いていますね。その次にエナジー事業に対しても多くの人的リソースを配分しています。
働きやすさについて
現在注目されている働きやすさですが、女性の管理職はわずか2.7%です。三菱重工は日本を代表する大企業なのでここは頑張ってほしいですね。また、男性の育休取得率は31%とこれも決して高い数値ではありません。今後も働き方を見直して女性の管理職も男性の育休取得率も増やしてほしいですね。
三菱重工の売上構成
三菱重工は収益約4.2兆円の大企業です。そして三菱重工は収益の約40%以上の1.7兆円をエナジー事業で稼いでいます。その次に稼いでいるのが物流・冷熱・ドライブシステム事業です。プラント・インフラ事業と航空・防衛・宇宙事業で同程度稼いでいます。
2021年度と比較すると売上は約9%増えています。売上は直近5年は約3.5~4兆円で落ち着いていますね。コロナ禍に売上が減少しましたが、徐々に回復してきて2022年度は直近5年の間では最高の売上額です。
その要因としてはやはりエナジー事業と物流・冷熱・ドライブシステム事業の売上増加が大きいです。今後も売上増加していくのか注目ですね。
営業利益と当期純利益
収益が増加しているのも重要ですが、営業利益と当期純利益についても無視することはできません。
三菱重工の営業利益率は約3%となっています。一昔前であればメーカーとしては十分かなという数値ですが、少し少ないなと感じます。売上総利益率の段階で約18%しかないので販管費が多いのではなく、原価に対する売上が少ないと言えるでしょう。
三菱重工の損益計算書は分かりにくいですが、営業利益は売上総利益に販管費を引いた利益なので、販管費を引けば営業利益が出ます。2021年度の営業利益率は3%を切っていたので3%台になんとか乗せられましたね。
当期純利益は直近5年では最高益を達成しています。その他の収益では事業開発中止による戻入益で約280億円の収益を上げています。ですが、その他の費用で事業構造改善費用、Spacejet事業に関する損失等の損失も増えています。
1株あたりの配当金はコロナ以降は増加しています。2021年度と比較すると配当金は30%増加しています。配当性向は約30%台ですので今後も売上が増え続ければ、今後の配当金の増加も期待できそうですね。今後も配当性向は30%台をキープする方針なので三菱重工の投資によってさらに利益が増え、株価の上昇と配当金の増加の両方取りができるかもしれませんね!
三菱重工の倒産リスクは?
会社が潰れてしまう可能性があるか?を判断するには流動比率の分析はかかせません。流動比率とは流動資産÷流動負債で求めることができ、短期的な資金繰りに問題がないかが分かります。
流動資産は1年以内に現金になりえる資産、流動負債は1年以内に払う負債のことです。流動資産が流動負債より多ければとりあえずOKです。
ですが気をつけるのは棚卸資産の項目です。棚卸資産は1年以内に販売できるかできないか分からないからです。その前段階である原材料も考慮が必要でしょう。
三菱重工の流動資産を確認すると約3兆円あります。その内棚卸資産は約8,700億円ですので流動資産の約28%です。一方で、流動負債は約2.3兆円と流動資産より約7,000億円少なくなっています。棚卸資産を除いたら資産は約2.1兆円と若干流動負債が流動資産を上回っています。ですが、わずかに上回っているだけですし、借入金を増やして賄っているのですぐに支払いに問題があることは考えにくいでしょう。ですが、この状況がずっと続くようであれば注意する必要があります。
三菱重工の固定資産
三菱重工の固定資産は増加しています。2021年度には約7,900億円の固定資産でしたが、2022年度は約8,400億円と約500億円程度増加しています。その理由は設備投資と新しいオフィスビルの建設が理由です。エナジー事業は化石燃料を使用する発電設備の拡充を行っています。化石燃料と言っても三菱重工はガスタービン・コンバインドサイクル発電プラントというプラントの設備投資を行っており、化石燃料を使用した最もクリーンなエネルギーだそうです。後は製鉄、物流、艦艇関連の設備に投資しています。
気になる営業キャッシュフロー
2022年度の三菱重工の営業キャッシュフローはプラスにはなっていますが、2021年度と比較すると大幅減少しています。ですがその原因は営業債務の減少と法人税の支払額の増加によるものです。なので2021年度と比較して大幅減少しているのはあまり気にしなくても良いでしょう。
まとめ
2021年度と比較すると売上が9%増加。メイン事業はエナジー事業
営業利益率は低い。原価に対する売上が少ない
コロナ以降回復しているが、今後も増益し続けられるかは注視が必要
配当額は適切で今後の業績に注目
短期的な資金繰りについてすぐには問題にはならないが注視が必要
設備投資は行っているので、今後の業績の成長性に期待
評価
成長性:3
収益性:2
安全性:3
生産性:2
配当:4
合計:14/25
ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!