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子どもの噛みつきを助長するかもな親のNG行動9選

言葉での問題解決がまだ難しい1〜2歳児の間では、しばしば手が出る喧嘩が起こりますよね。その中でも問題視されやすいのが噛みつきです。今回はそもそもなんで噛みつきが起こるのか、どんなことをすると噛みつきが増えてしまうのかを解説していきます。

⚫︎噛みつきが起こる原因って何なの?

噛み付くという行為の裏には様々な要因があります。これを理解しているかいないかで子どもを見る目や対応は大きく変わってくると思いますので、1つずつ確認してみましょう。

・生理的な要因

生後6ヶ月頃になり歯が生え始めると、歯茎のむず痒さや痛みを感じると言います。この不快感を噛むことで和らげようとするのが主な生理的要因の一つです。

また、乳幼児にとって口は手よりも優れた感覚器官にもなるので、口を使って、物の触覚や味覚を通じて自分の周囲の世界を探索しているというのもありますね。

・感情的な要因

言葉がまだ未熟な乳幼児は、怒りや不安といった負の感情を言葉としては伝えられません。その結果強い負の感情を感じた時に噛むという行為でフラストレーションを発散することがあります。

環境の変化によるストレスが体現されて噛みつきに繋がることもあります。引っ越しをした、保育園を転園したといった物理的なものはもちろん、両親の喧嘩や生活リズムの変化といった心理的なものからも子どもはストレスを感じ、噛みつきを誘発します。

また疲れや空腹を感じている時にも子どもは大きなストレスを感じるので噛みつきが起こりやすいです。他にも眠気がある時や体調が悪い時などもイライラとしやすいので噛みつきに繋がることもあります。
大人でも疲れた、お腹が空いた、具合が悪いなどの理由でストレスが溜まることは多いと思うので、自身に当てはめて子どもの状態を観察してみると原因が見つけやすいかもしれません。

・注意を引きたい

親や周囲の大人にあまり構ってもらえないと感じると、噛み付くことで自分に関心を集めようとする場合もあります。噛んだらすぐに、しかも大きいリアクションが返ってくると学ぶと噛みつきを繰り返す可能性は高まります。

また、弟や妹が生まれた時には、意識していても親の注意は下の子に向けられがちです。赤ちゃんのお世話は本当に大変だから下の子にリソースが裂かれるというのをまだ納得できない年齢ですと、上の子は嫉妬心を覚え親の愛情や注意をまた自分に引き戻そうとする、いわゆる赤ちゃん返りが起こることもあります。その行動の一つとして噛みつきが現れることもありますね。

・自己主張

保育園などで多いのがこのパターンで、例えば自分のおもちゃを取られそうになったり自分の領域に侵入されたと感じたりした時に、「これは自分のものだぞ!」という自己主張の一環として噛み付くことがあります。言葉で伝えることがまだ難しい1、2歳くらいの子は特に多く見られます。

⚫︎子どもが噛みついたときに絶対避けたい親のNG行動9選

1.大声で叱る、怒鳴る

大声で叱れば、確かに子どもはピタッと動きを止めるかもしれません。ですが驚きや恐怖といった感情が勝り、なぜ噛み付くことがいけないのか、そもそもなぜ自分は叱られたのか理解できなくなる可能性があります。
それだけに留まらず、恐怖といった強いストレスがさらに噛みつきを誘発する危険性すらあります。
大人でも、冷静に指摘されるとすんなりと頭に入ってきても、同じ注意を感情的に言われると頭が混乱したりイラッときたりしますよね。それと同じなんですね。

2.物理的な罰を与える

叩いてしつけるといった物理的な罰は、子どもにトラウマを植え付けるばかりか、社会性や感情の発達にも悪影響を及ぼします。また、子どもにとって1番身近なロールモデルとなるのが親です。なので物理的な罰を与えると、問題解決には暴力的手段が効果的だと学んでしまう可能性があります。

よく「子どもにも噛みつきの痛みを教えれば、よくないことだと学ぶはず!」と言って子どもの腕などを噛んでしつけようとする方が散見されますが、これも同じ理由でおすすめはできません。

3.無視する、無反応でいる

じゃあいっそ無視すればいいのでは?というとそれも良くないんです。無視によって子どもが不安や孤独感を感じさらに攻撃的になる可能性もありますし、自分の行動がどのような結果をもたらすかを学ぶ機会を失うことにも繋がります。適切な対応をすることで子どもは自分がどうすればいいかを学ぶので、無視はせずむしろ教えられるチャンスと捉えるべきです。

4.オーバーリアクション

先ほども言ったように、注意を引きたくて噛みつきが起こることもあるので、大袈裟なリアクションを示すことは子どもにとっては喜びや面白さを見出すことになり得ます。その結果噛みつきという行動を強化されて頻発することもあるのです。

5.他の子どもと比較する

噛みつきに限った話ではありませんが、「〇〇ちゃんは噛んだりしないんだからあなたも見習いなさい!」といった他の子どもとの比較は、子どもにプレッシャーを与え、自信や自尊心の喪失に繋がります。

比較されたことでその子への嫉妬心や敵対心を感じさせ、さらに攻撃的行動を引き出すことすらある危険な行為です。

6. 一貫性のない対応をする

一度は「噛み付いてはダメ」と叱ったのに次の時には見逃すといった一貫性のない対応はダブルバインドと呼ばれ、子どもを混乱させ、行動の良し悪しを判断しにくくさせます。これにより行動が改善されにくくなります。

他にも、「怒らないから正直に言いなさい」と言ったのにいざ子どもが正直に話すと怒る、「好きな場所に連れて行ってあげる」と言ったのに子どもが提案したら「そこはダメ、他の場所にして」と返してしまったりと、育児の場面ではダブルバインドが発生しやすいです。
ダブルバインドは子どもの信頼を失ったり、子どもの自主性や自己肯定感の成長の妨げになりかねないので注意が必要です。

7. 子どもを恥ずかしめる

人前で「どうしてそんなことするの?」と責めたり、噛んだ行動を蔑む、強く非難するといった行為は、子どもの自尊心を傷つけ、ストレスや不安を引き起こすことがあります。これがさらなる問題行動を引き起こす可能性もあります。

8.すぐに許す、甘やかす

子どもが噛んだ後、すぐに「仕方がないよね。」と言って許してしまったり甘やかしてしまうのも避けたほうがいいです。こういった行動は、「噛み付いたって何の問題もないんだ!」と子どもに誤解を与えてしまい、再発の可能性を高めます。

9.子どもの感情を無視する

噛みつきの背景には何らかの負の感情や欲求があることがほとんどです。そいった気持ちを理解されないまま行動だけを咎められると、子どもはさらにフラストレーションを感じます。

⚫︎子どもの噛みつきにはこう対応してみて!

噛みつきが起こる原因と良くない対応がわかったところで、では一体どうすればいいのかを見ていきましょう。

・冷静に一貫した対応をすべし

まず何よりも大切なのは、こちらが冷静になること。深呼吸をする、自分の怒りのレベルが10段階中どれくらいかを考えるなどして、自分自身の怒りの感情を落ち着かせましょう。感情的なまま対応をするのは好ましくないです。

落ち着いて話せるようになったら、「噛んだら痛いからやめようね。」と、子どもの目を見て冷静な口調で伝えましょう。1回でやめてはくれなくても、毎回同じ対応をすることで少しずついけない行為だったと理解していくはずです。

・子どもの感情には共感を示す。

先ほども言ったように噛み付くまでに至った感情を理解されないままだと子どもにとってはやるせなさが残ります。行動自体には冷静に指摘したほうがいいですが、できれば注意の前に「でもこういう気持ちだったんだよね。」「これが嫌だったんだよね。」と子どもに理解を示す言葉がけをしてみてください。こうすることで子どもの聴く準備が整えられ、親の声が届きやすくなります。

この時、注意が最後に来ると子どもにとっては「行動を否定された」という記憶がどうしても印象に残りやすくなるので、共感→注意→共感といったように最後にも共感の言葉を入れてあげるのが理想的です。

・代替行動を提案する。

噛みつきが出た際に、「いやだって言葉で教えてね。」や「寂しかったら手で触れて教えてね。」などの望ましい代替行動を伝えるのも有効です。これも1回で覚えてくれるとは思わず根気よく伝えるつもりでいましょう。

・肯定的な強化を行う

噛むのをやめた時、望ましい行動をとってくれた時にはたくさん褒めてあげましょう。子どもにとって大好きなお母さんやお父さんに褒められるのは何よりの喜びになります。好ましい行動をたくさん褒めることで、子どもはその行動を繰り返そうとしてくれるでしょう。

もちろん噛みつき云々に限らず、着替えや食事などさまざまな場面で役立つ考え方なのでおすすめです。

・環境を整える

生活リズムを整える、騒がしい場所や刺激の多過ぎる場所を避けるなど、子どもにとって落ち着ける環境作りをすることも大切です。

また、子どもの行動は身近にいる人の感情の機微にも影響を受けます。大人側がきちんとストレス対策や感情コントロールの術を身につけ、いつでもニュートラルな気持ちで接することを意識するのも大切です。

以上、子どもの噛みつきを助長するかもしれない行動と適切な対応策でした。一つ注意したいのは、噛みつきという行為そのものが絶対悪ではないということです。あくまで自己主張の手段の一つですので、自我がきちんと育ち人間らしい成長を遂げている途中段階とも言えます。ですので、もし自分の子に噛みつきぐせがあったとしてもあまり悲観的にならず、できるところから少しずつアプローチしていきましょう!

⚫︎番外編 子どもの攻撃性を減らす一風変わった方法

乳幼児に限らず、子どもの攻撃性を減らせるかもしれない意外な方法を幾つか見つけました。

まず驚きだったのが、格闘技を習わせることです。意外ですよね笑 バーラン大学とUCLAのメタ分析によると、格闘技を学んだ子はそうでない子に比べ攻撃的な行動が少なかったそうです。格闘技を通じて自己コントロール能力が鍛えられたというのが理由なんだそうです。

セルフコンパッションを育むことも効果的だそうです。簡単にいうと、自分への思いやりを持つということなんですが、自分にも優しくできる人はやはり他人にも優しくなれるんですね。セルフコンパッションについては以前にも触れているので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

ハグも有効かもしれません。東大の研究によると、親子のハグは子どものストレスを軽減しリラックスさせる効果があります。ストレスと攻撃性は密接に結びついているので、ストレスが減れば攻撃性も自然と減少するでしょう。

ストレングスベースの子育ても良さそうです。これは子どもの長所や強みを理解して、それを伸ばすことに焦点を当てた子育て方法で、子どもの自尊心が高まりやすいので攻撃的な行動も減らせると考えられています。いずれこれも詳しく記事にしようと思っているのでお待ちください。

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