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#5グリーンリーフの『サーバント・リーダーシップ』:リーダーシップ理論の要点まとめ

この記事では、書籍の引用を通じてリーダーシップ理論を紹介します。

引用する書籍は、リーダーシップを理解するために、6人の教授の見解を取り入れたものです。

私自身、この内容に非常に興味を持ち、読むことができました。
それは大学での社会福祉士に関するレポート作成や、国家試験の勉強にも役立ちました。

本を要約することで、さらに役に立つのではと思い、記事にすることにしました。

6回に分けて、それぞれ異なるリーダーシップ理論を紹介します。
よろしければ、ぜひご覧ください。

⚫︎書籍名: 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』
⚫︎著者: 小野善生
⚫︎出版社: 日本実業出版社
⚫︎発行年: 2015年

1.グリーンリーフに学ぶサーバント・リーダーシップ

Robert K. Greenleaf
ロバート・K・グリーンリーフはAT&T社でマネジメント研究センター長を務め、退職後はMITやハーバードビジネススクールで客員講師を務めました。さらに、ダートマス大学やヴァージニア大学でも講義を行い、多くの企業や学校にコンサルティングを提供しました。

リーダーシップといえば、普通は先頭に立って引っ張るイメージですが、サーバント・リーダーシップはフォロワーを支えて盛り上げるスタイルです。
これは「奉仕の精神でフォロワーを導く」という考え方です。

2. リーターシップを発揮する際の心構え

リーダーシップには、特定のリーダーが先頭に立ってフォロワーを力強く引っ張っていくイメージがありますが、実際には「目的を達成するためにフォロワーをバックアップする」というソフトな側面も重要です。

リーダーは組織のミッションに奉仕し、目的を達成するために支える心構えが必要で、これが欠けると成果を上げることはできません。

このような奉仕の精神に基づくリーダーシップを、サーバント・リーダーシップといいます。

サーバント・リーダーシップはリーダーが奉仕の精神をもつことから始まる。1)

YKKは、日本のファスナー(ジッパーなど)を製造している有名な企業です。YKKの経営理念である「善の巡環」は、社会全体の利益を考え、そこから自分たちも繁栄するという考え方です。

具体的には、YKKは次のようなことを実践しています。

  • 顧客への良い製品提供:質の高い製品を適正価格で提供し、顧客の満足を追求します。

  • 取引先との良好な関係:取引先との信頼関係を築き、共に成長できるよう努めます。

  • 社員への公平な報酬:社員に対して公平に報酬を分配し、働きやすい環境を整えます。

このように、YKKは「善の巡環」の理念を実践し、社会全体をより良くすることを目指しています。

3. サーバント・リーターシップの定義

サーバント・リーダーシップは、「まず相手に奉仕し、その後でリーダーシップを発揮する」という考え方です。
このリーダーシップスタイルには以下のポイントがあります。

  1. 奉仕の精神:リーダーはまずフォロワーやチームのために奉仕し、支えたいという気持ちが大切です。

  2. 心からの行動:地位や権力に頼るのではなく、心からの奉仕で行動します。

  3. フォロワーの成長:リーダーの奉仕によって、フォロワーも組織の目標に向かって一生懸命に働くようになります。

フォロワーに奉仕したい、尽くしたいという気持ちが最初に来るのがサーバント・リーダーシップである。2)

実例としては、日本の企業である松下電器産業(現・パナソニック)の創業者、松下幸之助が挙げられます。
彼は「水道哲学」を掲げ、安価で高品質な製品を提供し、社会全体の生活水準を向上させることを目指しました。
これは、顧客をコントロールするのではなく、顧客に奉仕するというサーバント・リーダーシップの考え方に基づいています。

サーバント・リーダーシップの概念は、ロバート・K・グリーンリーフが社会学の講義から得たもので、組織の本来のミッションに対して奉仕する精神が重要だと認識しました。
また、ヘルマン・ヘッセの小説『東方巡礼』からも影響を受けています。
この物語では、サーバント(召使い)として働いていたレーオが実は教団のトップだったことが後に明らかになり、その奉仕の重要性が強調されています。

サーバント・リーダーシップは、リーダーが前面に出るのではなく、支え合いながら組織を導く新しいリーダーシップの形です。

4. サーバントリーダーに求められるもの

サーバント・リーダーシップには、リーダーが備えるべき特別な能力があります。これらを7つの要点で簡潔に説明します。

  1. モチベーション: フォロワーが自発的にやる気を持てるよう支援し、チーム全体が共に頑張りたくなる環境を作る。

  2. 心構え: フォロワーに奉仕する心を持ち、自分が役立つことでフォロワーも喜び、リーダー自身も成長する関係を築く。

  3. 信頼関係: 権力や地位に頼らず、フォロワーとの信頼関係を重視し、潜在能力を引き出す。

  4. コミュニケーション: 相手の話をよく聞き、意見や考えを理解することが重要。

  5. 業務遂行能力: フォロワーのスキルを伸ばし、その成長をサポートする。

  6. 成長の支援: フォロワーが仕事を通じて成長できるように前向きな姿勢で支援する。

  7. 責任感: 問題が起こった時には自分が責任を取り、再発を防ぐよう努める。

サーバントリーダーに求められるものとして、「モチベーション」「マインドセット」「影響力の根拠」「コミュニケーションのスタイル」「業務遂行能力」「成長についての考え方」「責任についての考え方」がある。3)

5. サーバント・リーダーシップの実践

サーバント・リーダーシップを実践する上で、グリーンリーフセンターのリーダーであるロバート・K・グリーンリーフが提唱した10の要点を簡潔に説明します。

  1. 傾聴
    サーバントリーダーシップは、フォロワーの意見を注意深く聞き、必要としているものを理解することを重視します。相手の言いたいことを正確に聞くことが重要です。

  2. 共感
    フォロワーの意見に共感し、その意見を受け入れることが重要です。こうすることで、より良いアドバイスやサポートができるようになります。

  3. 癒し
    フォロワーが困っているときには、心のケアをしてあげることが大事です。安心できる環境を作り、精神的にサポートすることが求められます。

  4. 気づき
    フォロワーが自分で気づくように導くことが重要です。自分で発見することで、学びや成長が深まります。

  5. 説得
    指示や命令をするだけでなく、フォロワーが納得できるように説明して説得することが必要です。

  6. 概念化
    自分の考えやアイデアを分かりやすく説明することが大切です。難しいこともシンプルに伝える力が求められます。

  7. 先見力・予見力
    将来の見通しを示し、フォロワーがどの方向に進むべきかを予測する力が必要です。広い知識や経験が役立ちます。

  8. 執事役
    サーバント・リーダーは、フォロワーのために尽力し、サポートします。リーダーがフォロワーの「執事」として働くイメージです。

  9. 人々の成長に関わる
    フォロワーが成長できるように支援し、育てることが求められます。リーダーはフォロワーの成長に責任を持ちます。

  10. コミュニティづくり
    組織やチームの一体感を作り、みんなが協力し合えるようにすることが重要です。リーダーはコミュニティの発展をサポートします。

リーダーは、フォロワーの成長を促し、自律性および主体性を涵養して、将来的にサーバントリーダーになるべく育成する。4)

以上、サーバント・リーダーシップは、リーダーがフォロワーを支え、成長を促すことで目標達成を目指すリーダーシップスタイルです。

リーダーは、奉仕の精神を持ち、フォロワーのニーズを理解し、支援することで、信頼関係を築きます。

これにより、フォロワーの自律性と主体性を育て、チーム全体の一体感を高めます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。

参考文献
1)2)3)4)

小野善生著 『リーダーシップ理論集中講義:コッター、マックス・ウェーバー、三隅二不二からベニス、グリーンリーフ、ミンツバーグまで』 日本実業出版社 121~143頁 2015年

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