①学びの記録-参考図書からストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントを学ぶ
この記事では、狭間香代子著『社会福祉の援助観』(筒井書房、2001年初版)を軸に、社会福祉の援助観、ストレングス視点やエンパワメントアプローチについて学んだことを何回かに分けてまとめていきます。
私自身の学びの記事として記録し、福祉実践に役立つ具体的な内容を皆さんと共有していきたいと思います。
【書籍の紹介】
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』
出版社: 筒井書房
初版発行日: 2001年7月10日
この書籍は、ストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントという三つの重要な概念を軸に、社会福祉の援助観をまとめた一冊です。
社会福祉の歴史と進化
日本の社会福祉制度は、戦後の混乱期から始まり、高度経済成長期を経て発展してきました。
1997年の児童福祉法改正や2000年の介護保険制度の施行を含む社会福祉基礎構造改革では、「措置制度」から「契約制度」へと仕組みを大きく変えました。
この改革の目的は、利用者が自分でサービスを選び、契約によって利用する仕組みを整えることでした。
社会福祉基礎構造改革の基本方針
1998年にまとめられた「中間まとめ」の社会福祉基礎構造改革の基本方針は、以下の7つの要素から成り立っています。
サービス利用者と提供者が対等な関係を築くこと。
利用者本位の考え方に立った地域で総合的な支援体制を作ること。
多様な事業者が福祉サービスに参加できるようにすること。
サービスの質と効率を向上させること。
事業運営の透明性を確保すること。
公平で公正な費用負担の仕組みを整えること。
地域に根差した個性のある福祉文化を育むこと。
この改革は、利用者中心の社会福祉制度を目指したものでした。
利用者本位を実現するための課題
1️⃣社会福祉実践の援助観の見直し
2️⃣社会福祉実践の新たな関係性と専門性の確立
3️⃣新しいアプローチの導入の必要性
1️⃣社会福祉実践の援助観の見直し
社会福祉の仕事をしている人は、自分の支援の考え方や価値観を見直すことが大切でした。
昔の措置制度では、サービスを受けるために行政が決めたルールや収入によって多くの負担があり、利用者のニーズに合わせた柔軟な支援がしづらい部分がありました。
しかし、利用者のニーズを中心にしたサービスへと変わることで、支援を受ける人が増え、社会福祉がより広く普及するようになりました。
社会福祉事業を規定する要件
古川考順は7つを挙げています。
福祉ニーズ対応性、規範性、公共性、非営利性、組織性、継続性、安定性
規範性とは社会福祉が常に訴えてきた価値に基づくもので、共有すべき規範の重要性を指摘しています。
権利擁護事業や苦情解決システム、第三者機関によるサービス評価は外的な規制ですが、「社会福祉の価値は本来、内発的に組み込まれたもの」です。
福祉サービスを提供する人は、これらの規範と価値を自身の内的枠組みとして持ち続けなければなりません。
「利用者本位」の理念は、利用者を自立した個人として尊重し、その視点から、利用者の「主体性形成」につながるような援助が求められると書籍では述べられています。
学びとして大切だと感じた点
・利用者本位の支援
福祉サービスは、利用者を「受動的な存在」として扱うのではなく、主体的な個人として尊重し、選択の自由を保障することが重要。
・ 規範性の内面化
支援者自身が、社会福祉の価値や使命感を内面的に持ち続けることが、質の高い支援に繋がる。
・柔軟な支援の必要性
昔の措置制度の限界を乗り越え、利用者の多様なニーズに応じた柔軟なサービスの提供が求められる。
次回、援助の関係性と専門性に続きます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。
参考文献
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房 14~17頁、2001年