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「ヤングケアラーの未来を支える社会資源:経験者の訴え ― 結論ー小さな手で握るおにぎりの物語」

長女が小さな手で握ってくれた小さなおにぎりに込められていたのは、

長女が背負ったもの
優しさとエール

そして、

「ごめんなさい」と「お願いします」

と私は受け取りました。

子どもは、とても優しいです。
そして、とても健気です。
とても勇気があります。
親の代わりになろうと、なれると思うのです。

でも、子どもはまだ心身共に成長過程にあり、未熟な面も多くあります。
考えているとおりにはならないのです。

それを、親に心配をかけないように、黙っていることもしばしばありました。

長女は私立の高校に通っていました。
高校三年生の梅雨時、学校へ通うためのローファーの底に大きな穴が開いているのに気がつきました。

困っているはずなのに、「新しいものを買おう。」といっても「要らない。」のやり取りが数回続きました。
靴くらいなら買えるのです。
長女は最後まで要らないとしか言いませんでした。
靴のサイズを確かめて新しい物を購入して渡しました。長女はそのローファーで3年間高校に通い皆勤賞をもらいました。

また、進路を決める時期に長女は短大等の進学を予定していましたが、どうしても大学に進学して少しでも良い給料で働きたい。取得したい資格もある。と話すのでした。

私は体調に不安があり、まだ小学生の次女もこのまま育てていけるのか綱渡りのような日々でした。

そんな私に長女は「ママに何かあったら私が〇〇ちゃんのママになるよ。だから大学へ行かせてください。」と言いました。

私はこれではっきりと分かりました。
これは、私の娘だ。
本気で生きている。
生きようとしている。
私にとって何にも勝るかけがえのない娘だ。

小学校4年生の長女の小さな手で握ったおにぎりは、長女の中でまだ続いていました。

この子のことは、どんなことがあっても希望を叶えられるよう、そして、次女のことも私次第だ。

ここで、くたばるわけにはいかない。倒れてる余裕なんかはない。

日々低空飛行で仕事だけで精一杯の私と、試験勉強をする長女の代わりに次女が家事をしてくれました。

三人でチームとなり、私たちはここまで生きてきました。

前回の記事で、スクールソーシャルワーカーがいたことで、救われたことも書いています。


1.  ヤングケアラーについて

子どもは時には自分を責めたり不安な気持ちになり、
「自分がやらないと他にできる人がいない」
そう思って自ら進んで家族の世話や家事をするようになります。

これが、長期間に及ぶことで、子どもの時間を奪い、本来の子供らしい生活を妨げ、それでも子どもに頼らざるを得ない状況が続きます。
結果、学業や部活動、友人との関係、進学等、心身の健康にも影響する「ヤングケアラー」と呼ばれる状態になります。


現代は、核家族で世帯人員が少なく、多くが共稼ぎ等で親が働いている状況で、「お手伝い」という形で小さな子どもに頼らざるを得ないのではないかと思います。

しかし、どうでしょうか。
それは、悪いことではありません。
特別な家庭にだけ起こり得るものでしょうか。
「お手伝い」は子どもが必要なことを学ぶ大切な機会です。

そこから、さらに「ヤングケアラー」の状態になるのは、いつでも、どの家庭にも起こり得るものではないでしょうか。


2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況

厚生労働省2023(令和5)年国民生活基礎調査の概況では、
児童のいる世帯は 全世帯の 18.1%
児童が「1人」いる 世帯は (全世帯の 8.8%、児童のいる世帯の 48.6%
児童が「2人」いる世帯 は (全世帯の 7.2%、児童のいる世帯の 39.7%
世帯構造をみると、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が (児童のいる世帯 の 75.9%)で最も多く、次いで「三世代世帯」が (同 11.2%

児童のいる世帯では、児童が1人いる世帯が最も多く、合計特殊出生率も2023年現在で1.20と過去最低を更新し、さらに今後減少が見込まれいます。

このように、核家族の中でも児童数は減少し、母親が働いている家庭は、77.8%です。

これで、自助ができるとは思えないのです。親が働いていて近所付き合い等もない現代社会で共助互助もあり得ないのではないでしょうか。公助では何が得られるのでしょうか。

このような状況において、今後も家庭内では子どもの負担が増えることも想定され、どこの家庭にも「ヤングケアラー」とは言わないまでも、家事や家族の世話をするのが、当たり前にもなり得るのではないかと思います。

問題となるのは、それが長らく行われ、子どもの時間を多く使い、子どもが背負うにはあまりも重く過酷な状況になることで、子どもが子どもらしく当たり前の生活ができなくなるということです。

子どもの家事、家族の世話、精神的負担等が長く続き、子どもが背負いきれない状況なのに、本人にも家族にもそれがまるで当たり前の日常になることが問題なのです。


2.  ヤングケアラーの親について

何らかの困難な状況を抱えており、自らを責め苦しんでいる状態です。

精神疾患や経済的問題等複合的な問題がある状態です。

1番問題なのは、親が助けを求める場所が分からない。助けを求めても何もしてもらえない。ことです。

助けてと言って良いのかも分からないことで、困ったことが長く続くことです。


私の場合は、環境要因によるうつ状態、職場のパワハラ、離婚、実家の親の理解や協力不足を抱えていました。
複合的な問題を1人で抱えていました。

その状態が続くと、生活圏が小さくなりやがて社会から孤立していきます。

友人達との会話も世界がまるで違いました。
夫とカフェで朝ごはんを食べるのが幸せだと話す友人達とは疎遠になりました。

唯一いつまでも気にかけてくれたママ友の優しさも、違う世界から、まるで上から施しを受けているような惨めな気持ちになり、いずれ疎遠になり本当の独りぼっちになりました。

持っていたコミュニティ全てを失ったのです。
そうせざるを得ない心理状態に追い込まれていました。

かつて持っていたもの、それが私を苦しめました。

かつて持っていたものは、離婚という重大な決断をしなくてはならない状況になり、忘れてしまいたい耐えがたい過去になったからでした。

あの時の家族全員の笑顔の写真。
ふわふわで柔らかい子どもたちを囲む大勢の大人たち。
すべてが忘れなければならない嘘と過去の物語になりました。

それに代わる新しい出会いだった、私を苦しめない、希望する生活の実現に向けて伴走してくれる、唯一の味方である、スクールソーシャルワーカーさえいてくれれば、小さな生活圏で人知れず生きていければ、生きてさえいれば良いと思っていました。

親自身も傷つき、仕事と住まい以外の全てを失いながらも、我が子を守ることだけを生活の主軸に、自分はただ生きていることだけ、仕事をしている。
そんな生活が長らく続きました。

二度と戻らないかつてあった生活と、3人だけの家族になったこの生活。
その狭間で気持ちは行ったり来たり、それでも無理矢理前に進まなくてはならない。それは、子どもも同じだったのだと思います。

私は、子どもの希望を叶えるための仕事だけは手離さないと決意して、優先的に仕事を続けました。


3.  実際に支援を受けた社会資源

全て自分で探してお願いしたものです。
15ヶ所以上連絡をして、実際に支援を受けたのは、5つです。

子どもが中学校を卒業するまで支援が続いたのは、スクールソーシャルワーカーと学校の見守りと協力体制のみです。

❶インフォーマル(非公式)な社会資源

①生協助け合いの会の家事支援
(週に2〜3回程度家に来てもらって1時間家事等)
②教会の日曜学校とボランティア
③実家の親
(絶縁状態から僅かな時期だけ回復し、子どもの幼稚園の送り迎え、子ども達の夕食支援)

❷フォーマル(公式)な社会資源

①スクールソーシャルワーカー
②学校の先生方の見守り協力体制

公的機関では、生活保護や、就労支援を受けることができましたが、非該当のため受けることはできませんでした。
最低限度の保障セーフティーネットしかありませんでした。

4. フォーマル(公式)現在のヤングケアラー支援

子ども家庭庁 ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e0eb9d18-d7da-43cc-a4e3-51d34ec335c1/628c375f/20240612_policies_young-carer_11.pdf

ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について

○ ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム報告(令和3年5月17日) により、関係機関が連携し、ヤングケアラーを早期に発見して適切な支援につなぐため、
①早期発見・把握、
②支援策の推進、
③社会的認知度の向上が今後取り組むべき施策と設定された。

出典 子ども家庭庁 ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について

<支援の対象年齢>
○ こども期(18歳未満)に加え、進学や就職の選択など、自立に向けた重要な移行期を含む若者期を切れ目なく支えるという観点からおおむね30 歳 未満を中心としているが、状況等に応じ、40歳未満の者も対象となり得る。

出典 子ども家庭庁 ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について

<具体的な支援のあり方>
(1)ヤングケアラーの把握
① 市区町村における記名式等による実態把握
② 支援の必要性、緊急性の高い者への優先的な支援
(生活保護や児童扶養手当の受給家庭の状況確認によるアプローチ)(学校等を通じたアンケート調査等によるアプローチ)(精神保健福祉分野との連携によるアプローチ)
③ 市区町村と都道府県の役割分担及び予算事業の活用について

(2)ヤングケアラーへの支援
① 18歳未満の支援➡こども家庭センター
〇 要支援児童等に該当する児童については、市区町村のこども家庭センター等においてサポートプラン(SP)を作成し、包括的・計画的に 支援。当該児童やその保護者が支援を拒否している場合等であっても、SPの作成に向けた働き方を丁寧に行う。
② 18歳以上の支援
(都道府県の役割)
主に都道府県において、
①オンライン等の若者がアクセスしやすい方法も取り入 れながら、個々の若者の相談に応じ、その状況やニーズ・課題の整理の支援や、
②それを踏まえた必要な支援に向けた市区町村へのつなぎや、
③精神的なケアなどの専門的な相談支援やピアサポート等を行いうる体制を整備。
(市区町村の役割)
〇 年齢により切れ目なく支援を行うために、市区町村としても支援体制を整備。特に、本人が担っているケアを外部サービスの導入により代 替していくといった具体的な支援の段階においては、市区町村が中心的な役割を果たすことが期待。

③ 具体的な支援内容と支援体制の整備
〇 介護保険サービスや障害福祉サービス、子育て世帯訪問支援事業、外国語対応通訳の派遣等を活用して本人が担っているケアを外部サービ スで代替していくほか、日常的なケアから離れたレスパイトの機会を確保、ピアサポート等の相談支援等、必要な支援の実施体制

④ 実態把握・支援の実施状況の定期的な照会・公表

出典 子ども家庭庁 ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について

こども家庭センターガイドライン(概要)

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a7fbe548-4e9c-46b9-aa56-3534df4fb315/c9ebb0ca/20240401_policies_jidougyakutai_Revised-Child-Welfare-Act_26.pdf

ヤングケアラー支援の流れ
ヤングケアラーを早期に把握して支援につなげていくためには、教育、高齢者福祉、障害福祉、 介護、医療等の多機関との連携が重要である。
(1)ヤングケアラーの把握
(2)ヤングケアラーに対するアセスメント
(3)サポートプラン(及び支援方針)の作成及び支援の実施
(4)フォローアップ

引用 こ 成 母 第 142 号 こ 支 虐 第 147 号 令和6年3月 30 日
こども家庭庁成育局長
こども家庭庁支援局長
「こども家庭センターガイドライン」について


子ども家庭庁令和5年度予算 ※厚生労働省令和3年度第1次補正予算含む

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e0eb9d18-d7da-43cc-a4e3-51d34ec335c1/2d5336ec/20230401_policies_young-carer_03.pdf

こども家庭センターが一体的支援の効果的な実施のために取り組むべき事項
(1) 地域資源の開拓
妊産婦及びこどもと子育て家庭の健康保持・増進や福祉に関する支援については、行政が提供するサービスに加え、民間団体等による多様な支援(以下「地域資源」という。)が重要な役割を果たす。地域住民に身近な存在である市町村が中心となり、民間団体等と連携しながら、多様な家庭環境等に対する支援体制の充実・強化を図っていくことが必要である。 このためには、まず、地域全体のニーズ及び既存の地域資源(※)の把握を十分に行うことが必要である。
このためには、まず、地域全体のニーズ及び既存の地域資源(※)の把握を十分に行うことが必 要である。さらに、ニーズに対して不足している資源については、新たな担い手となり得る者につ いて、市町村内や近隣市町村に事業拠点のある社会福祉法人や NPO 法人等を探索し、地域子ども・ 子育て支援交付金等の活用できる国庫補助事業等を検討しながら、市町村内における新たな支援の 実施について打診し、担い手の発掘・養成を行っていく必要がある。また、すでに他部署において 地域活動の担い手の発掘や養成等のための場が設定されている場合は、それらの場を活用すること が望ましい。 こうした担い手の発掘・養成と、担い手を支援活動につなげていくことを通じ、地域のニーズに対応した新たなサービスを開発するとともに、地域内の支援団体と関係機関のネットワーク化などを行い、相互の横の連携を強めることを通じ、それぞれの支援団体が、地域の中で「点」ではなく「面」 的に、妊産婦・こどもと子育て家庭の支援を行っていく体制を目指すことが重要である。このため には、地域の多様な民間団体と公的な関係機関とが定期的に情報共有・地域課題の議論等を行う「場」 の設定を行うことも有用である。 さらに、民間団体等が提供するサービス情報を集約し、集約された情報の一元化(リスト化)することや、子育て中の保護者への情報提供(チラシやパンフレットの配布など)等を通じ、地域の妊産 婦・子育て世帯からの「地域資源の見える化」を図っていくことが必要である。 必要に応じて地域資源の開拓を担うコーディネーター等の担当職員を配置する、又は、児童福祉 サービスの提供実績のある者や団体等であって、地域でコーディネート機能を適切に担うことができる者へ委託することにより、管内における地域資源の開拓を行っていく。 (※「地域資源」とは、 社会福祉法人、NPO 法人、民間企業、ボランティア等で、妊産婦・こどもと子育て家庭への支援 を担う団体・事業所、民生委員・児童委員、障害児支援を担う事業所等(以下、「民間団体等」と いう。)による多様な支援を指し、児童福祉法に定める事業(家庭支援事業等)のみならず、こど も食堂などのこどもの居場所や、地域の見守りボランティア等が挙げられる。)

出典 子ども家庭庁 ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について


児童育成支援拠点事業ガイドラインについて令 和 6 年 3 月 30 日 各 都道府県知事 殿 こども家庭庁成育局長

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a7fbe548-4e9c-46b9-aa56-3534df4fb315/f78b0b58/20240401_policies_jidougyakutai_Revised-Child-Welfare-Act_33.pdf

1.事業の目的 養育環境等に課題を抱える、家庭や学校に居場所のない児童等に対して、当該児童の居場所となる場を開設し、児童とその家庭が抱える多様な課題に応じて、生活習慣の形成や学習のサポート、進路等の相談支援、食事の提供等を行うとともに、児童及びその家庭の状 況をアセスメントし、関係機関へのつなぎを行う等の個々の児童の状況に応じた支援を包 括的に提供することにより、虐待を防止し、児童の最善の利益の保障と健全な育成を図る ことを目的とする。

2.支援の内容 支援の内容については、課題を抱える児童の居場所を提供するという事業の目的を踏ま え、包括的に実施する内容としては①~⑦とし、地域の実情等に応じて⑧を実施する。 ①~⑦の支援内容は、常時実施しなければならないわけではなく、利用者の状況や希望 に応じて、確実に提供できるよう体制を整備する必要がある。

<包括的に実施する内容>
① 安全・安心な居場所の提供
② 生活習慣の形成(片付けや手洗い、うがい等の健康管理の習慣づけ、日用品の使い 方に関する助言等)
③ 学習の支援(宿題の見守り、学校の授業や進学のためのサポート等)
④ 食事の提供
⑤ 課外活動の提供
⑥ 学校、医療機関、地域団体等の関係機関との連携
⑦ 保護者への情報提供、相談支援<地域の実情等に応じて実施する内容事項
⑧ 送迎支援 本事業によって児童に居場所を提供

出典 児童育成支援拠点事業ガイドラインについて令 和 6 年 3 月 30 日 各 都道府県知事 殿 こども家庭庁成育局長


5.  私が考えるフォーマル(公式)とインフォーマル(非公式)の必要な支援はこれです!

全ての児童がいる家庭と
本当に支援が必要な家庭の両輪支援へ

フォーマル(公式)が作った仕組みの外枠に、一人ひとりの生活にインフォーマル(非公式)が日々寄り添うことです!

本来フォーマルが行うべきものを、インフォーマルに委託して行われる支援と、フォーマルが行う全ての家庭への切れ目のない支援計画が必要です。

①児童のいる全ての家庭
②支援が必要な家庭

この両方に実施することが重要
(1)親
(2)子ども


●住まいの市町村で、妊産婦期から青年期まで継続した切れ目なく親子が参加する支援計画が全世帯の親と子どもにあること。

●困ったことが起きた家庭には、親と子どもが参加する形で支援計画を作り実施すること。

●当たり前の生活を継続できるよう、どこに誰に支援を求めてよいのか誰もが知っており、困りごとは妊産婦から継続して同じ窓口で取り扱うこと。

●どのような支援が得られるのか、誰もが知っていること。

●何か困ったことが起きてからではなく、起きないようにフォーマル(公式)とインフォーマル(非公式)が協働して予防すること。

●困ったことが起きた時には、小さなうちにどこに誰につながることが必要なのか、誰しもが知っていること。

●何よりも重要なのは、身近な市町村と住民に信頼関係が築かれていることなのです。



親と子ども共にサポートがあり、必要に応じて守られることが必要です。

どちらかだけに、特に子どもだけにアプローチすることは、あまり意味を持ちません。

現在自治体によって取り組みは様々で準備段階とも言えます。
子どもは、外の大人が何をしてくれるのか、してくれるものが何もないこと、子どもの希望に対して何もしてくれないことを知っています。

子どもが1番大切にしているのは、自分より大切な大好きな家族です。
そこに割って入ったあとの支援も信頼関係も現在はまだ準備段階のようです。

しかも視点は「ヤングケアラー」支援なので、親への支援が具体的にはなく、「子どもを対象にしている」ことと、就学前までは厚生労働省、就学時からは文部科学省と管轄が違うので、一人の子どもと家族を一貫して継続的支援ができないのが大きな課題です。

本当に支援が必要な子どもや家族が救われずにいることを危惧しています。待ったなしの状態なのです。

また、成人期の親世代の子育てをしている親に対する支援はどこの管轄なのか。就学前までは子育て支援の部署、就学後は教育委員会なのでしょうか。

子育て世代の親は、子どもも介護も支えているにも関わらず、働き手として所属している機関に福利厚生という形で任せっきりです。
公的支援こそ必要なのではないでしょうか。

実態調査でヤングケアラーを探しているうちに時代は変化しているのです。

ヤングケアラーは決して自分からは言わない。自分が支援を受けられることを知らない、また、欲しい支援がないのです。

ヤングケアラーが1番助けて欲しいのは親なのです。そこに添え手がなければ子どもは黙っているしかありません。

親が助けてもらえて、子どもが「自分がやらなくては誰もやらない」状態から、安心して抜け出すための支援が必要です。

その家族なりに生きてきた、「サバイバー」達のチームに割って入れるほどの、ニーズにマッチしたものが必要なのです。


6.  ヤングケアラーの未来を支える必要な社会資源はこれです!経験者が訴える社会資源です。

求めていたのは、フォーマルな社会資源の枠組みに、生活に身近なインフォーマルな頻度の高いサービスや支援でした。

【フォーマル(公的)の社会資源】

❶子ども保険(介護保険の子どもバージョン)

❷管轄を超えたワンストップの窓口と一貫した支援

❸インフォーマルとの協働

❹母子生活支援施設の対象の再検討と機能強化

❺予防的啓発事業

❻SNS支援

❼社会資源の再活用


【インフォーマル(非公式)の社会資源】

❶地域のキーパーソン

❷居場所づくり

❸多世代交流拠点

❹ネットワークづくり


この中にはもちろん家事支援、家庭訪問、レスパイト等が含まれています。
あなたは、この枠組みに何が必要だと思いますか?
また、他に必要は何だと思いますか?


最後に

社会からの排除から回復を目指す、エンパワメント(生きる力を引き出す)するための社会資源で、最も力を発揮するのは当事者そのものです。

本当に困っている人は、助けが必要で弱くて何もできないのではなく、想像を超える力を持っており、そして、最も力を発揮することができる、何が必要で何をすれば良いのかを誰よりも知っている、困っている人こそ唯一の「最も重要な社会資源」です。

そこに、どんな添え手が必要なのかを聞いて、それを一緒に作らなくてはなりません。

他人事ではなく「我が事」として、

あなたなら、そこにどのような手を添えることができますか?


私は長女が小さな手で握ってくれたおにぎりをまだこの手に持っています。

長女の想いを持っています。

何が必要なのか、何があれば救われるのか、その続きを生きています。

いま、子ども食堂でボランティアをしています。
あなたの隣にいるのであなたの必要を教えてください。
そして、支援する側のあなたの必要も教えてください。

今回ヤングケアラーの5つの記事を書くにあたり、痛みを伴いなかなか厳しい状態でした。
それでも、ここまで待っていてくださった方、最後まで読んでくださっている方に心から感謝申し上げます。

私が目指しているのは、孤立のない共生社会の実現です。

過去のヤングケアラーに関する記事はこちらです。

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