③学びの記録-参考図書からストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントを学ぶ
この記事では、狭間香代子著『社会福祉の援助観』(筒井書房、2001年初版)を軸に、社会福祉の援助観、ストレングス視点やエンパワメントアプローチについて学んだことを何回かに分けてまとめていきます。
私自身の学びの記事として記録し、福祉実践に役立つ具体的な内容を皆さんと共有していきたいと思います。
【書籍の紹介】
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』
出版社: 筒井書房
初版発行日: 2001年7月10日
この書籍は、ストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントという三つの重要な概念を軸に、社会福祉の援助観をまとめた一冊です。
3️⃣新しいアプローチの導入の必要性
権利擁護事業の創設にあたり、問題点と課題が出されています。
◆池田恵利子は、権利擁護の前提として、以下の点を挙げてエンパワメントアプローチの重要性も強調しています。
個人のニーズに基づくオーダーメイドの福祉
生活全体を見据えたコーディネート機能
判断力や意思決定に困難を抱える人々への公的支援の枠組み
◆大国美智子は、地域福祉の専門員と生活支援員が、エンパワメントやアドボカシーの役割を果たすべきだと述べています。
このように、利用者保護システムを実践に移すためには、ソーシャルワークのアドボカシーやエンパワメントの役割が問い直されてました。
アドボカシー
日本語では「権利擁護」「代弁」「弁護」と訳されていますが、秋山智久は権利擁護と訳すのは意味を狭くすると批判しています。
エンパワメント
クライエントをクレイマントとして位置付けるには、援助者がクライエントをエンパワメントし、アドボカシーのためにクライエント集団の力を形成することが大切です。
これがアドボカシーとエンパワメントの接点になります。
★「クライエント」は、サービスを受ける人や利用者
★「クレイマント」は、何かを主張する人や請求する人
基礎構造改革では、利用者を自律した個人として位置づけました。
利用者を守るだけでなく、力を獲得するエンパワメント機能や、判断能力が低い利用者にはアドボカシー機能が必要と述べられています。
主体的な意味の理解
岡村重夫は、社会福祉の視点を「社会関係の主体的側面」に位置付けています。
生活困難を客観的に見るのではなく、当事者にとっての意味を明らかにすることが大切です。
例えば、問題を抱える女性を援助する際には、彼女が困っていることの意味を理解し、その意味のつながりを把握することが必要です。
ゴールドシュタインは、クライエントの立場から始めることを基本とし、生活の意味を理解することを主張しました。
学びとして大切だと感じた点
• 利用者本位の支援
福祉サービスは、利用者を「保護される存在」として扱うのではなく、主体的に選択し、行動できる個人として尊重することが重要であると学びました。特にエンパワメントの視点を持つことで、利用者が自らの力を回復し、自立に向けて進む支援が可能になります。
• 規範性の内面化
支援者自身が、エンパワメントやアドボカシーの価値を深く理解し、それを実践の中で内面的に保持し続けることが、質の高い援助活動につながると感じました。これは、支援者としての信念や倫理観を再確認する機会にもなりました。
• 柔軟な支援の必要性
画一的な措置制度の限界を乗り越え、利用者一人ひとりのニーズや生活全体を見据えた柔軟なサービス提供が求められていると実感しました。特に、生活の質を重視し、利用者の声を代弁するアドボカシーの役割が、現代の福祉実践において重要であると学びました。
次回、ゴールドシュタインのヒューマニスティック・アプローチの基本的視点に続きます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。
参考文献
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房 20~23頁、2001年
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