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②学びの記録-参考図書からストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントを学ぶ

この記事では、狭間香代子著『社会福祉の援助観』(筒井書房、2001年初版)を軸に、社会福祉の援助観、ストレングス視点エンパワメントアプローチについて学んだことを何回かに分けてまとめていきます。
私自身の学びの記事として記録し、福祉実践に役立つ具体的な内容を皆さんと共有していきたいと思います。

【書籍の紹介】
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』
出版社: 筒井書房
初版発行日: 2001年7月10日

この書籍は、ストレングス視点、社会構成主義、エンパワメントという三つの重要な概念を軸に、社会福祉の援助観をまとめた一冊です。



2️⃣社会福祉実践の新たな関係性と専門性の確立

措置制度では、福祉サービスを利用する人は自分で選べず、行政が決めていました。
しかし、今回の改革では、個人が尊厳を持って自立した生活を送れるよう支援することが理念とされました。

また、サービス提供者と利用者が対等な関係であることが重要視されました。これにより、利用者が自分でサービスを選ぶことが求められ、サービスの質も問われるようになりました。
そして、社会福祉実践のサービス提供の専門性を改めて問うことを求められました。


社会福祉の専門性

秋山智久は、「専門性」「専門職性」「専門職制度」が互いに関連し、移行する関係にあると考えました。
「専門性」は研究レベルで抽象的、「専門職性」は職業レベルで具体的、「専門職制度」は社会の制度的枠組みを重視しています。

改革で問われている社会福祉の専門性は、まず「専門性」から始め、具体的な「専門職性」に広げ、フィードバックを通じて組織化する必要があります。


質の高いサービス、利用者に選択されるサービス

まず第一に、利用者のニーズに的確に応じたサービスが重要です。

そして、サービスの質は利用者の生活の質に相関し、利用者の主観性で決定される部分が大きいと書籍で述べられています。

単にニーズだけではなく、利用者個人の内的枠組みである好み、希望、願望、価値観、信条、文化的背景などを多面的に理解しなければならない。

引用 狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房  19頁、2001年

援助者の一方的な聞き取りではなく、利用者の語りを共に創り出すという過程に参加するということー協働的関係ーが必要である。

引用 狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房  19頁、2001年

対等な関係

契約上の関係だけではなく、実践レベルで援助者と利用者の協働関係を意味しており、利用者主体の援助の方向づける基盤となります。

従来の専門性は、専門的権威で非対称的関係を生み出す可能性がありました。

対等な関係は、協働的関係を土台に成り立っている。

単に利用者の参加、選択、自己決定を尊重するだけでなく、援助者と利用者の協働関係を創り出す過程で、利用者が主体的に自己の生活をコントロールできるように支援していくことが重要であり、そこから専門性が生じる

引用 狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房  19頁、2001年

社会福祉の専門性

社会福祉実践が潜在的に保持している価値に立ち戻って、常に研究し続けることから創出される。

引用 狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房  19頁、2001年

基礎構造改革は、サービス提供者が利用者の主観的世界をどのように理解できるかという問題を提起し、社会福祉専門職の力量を問い直しました。


学びとして大切だと思った点


・対等な関係性
援助者が利用者に何かを「与える」のではなく、協働的な関係性の中で利用者が自ら解決に向かえるようサポートする姿勢が重要。

・利用者の主観性を重視
ニーズのみに留まらず、価値観や文化的背景など多面的に理解することが、質の高いサービスにつながる。

・ 専門性とは研究と実践の循環
社会福祉の専門性は、現場の実践と研究を絶えずフィードバックさせるプロセスから生まれる。

次回、ソーシャルワーク実践の新しいアプローチの導入に続きます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。

参考文献
狭間香代子著『社会福祉の援助観 ストレングス視点/社会構成主義/エンパワメント』 筒井書房  17~19頁、2001年

前回の記事はこちらです。ぜひご覧になってください。

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