All Along the Watchtower - Jimi Hendrix 和訳

歌詞

There must be some kind of way outta here
「こんな状況から抜け出すすべがあるはずだ」
Said the joker to the thief
道化師が盗人に言った
There's too much confusion
I can't get no relief
「混乱することばかりで、一息つくこともできない」
Business men, they drink my wine
Plowmen dig my earth
「商売人は俺のワインを飲み、農夫は俺の土地を掘り返す」
None will level on the line
Nobody offered his word
「崇高な人間はもう現れない、誰も主の言葉を授けはしない」
Hey, hey

No reason to get excited
「そう興奮する必要はない」
The thief, he kindly spoke
盗賊が親身に語った
There are many here among us
Who feel that life is but a joke
「人生なんて意味がないと思うやつらは大勢いる」
But, uh, but you and I, we've been through that
And this is not our fate
「だが俺とお前はそんな境遇を切り抜けてきた。俺たちの命運はまだ尽きてない」
So let us stop talkin' falsely now
The hour's getting late, hey
「だから、思ってもないことを言い合うのはやめよう、もう日が暮れてきた」

All along the watchtower
見張り塔からずっと
Princes kept the view
王子は見下ろしていた
While all the women came and went
Barefoot servants, too
女たちや裸足の召使いたちが往来するのを
Well, uh, outside in the cold distance
A wildcat did growl
どこか遠く離れた場所で、ヤマネコが唸った
Two riders were approaching
二人の伝令が駆け付け
And the wind began to howl, hey
風が吹き荒れだした

解説・考察

本楽曲は、もともとボブ・ディランによって執筆された曲の、ジミ・ヘンドリクスによるカバー曲。ボブ・ディランはこのカバーを絶賛し、ジミ・ヘンドリクス亡き後は本曲に近いスタイルで演奏しているらしい。
歌詞の内容は旧約聖書のイザヤ書の第21章に基づいている。その内容は、主君の啓示を受けて見張り塔に立たされた見張り人が、二人の伝令の姿をとらえたことを主君に伝え、彼らがバビロンという都市の滅亡を伝えるというもの。
原曲の歌詞では、二人の伝令を道化師と盗賊とし、高みから見下ろす見張り塔には、見張り人の代わりに王子を据えることで、社会における下層民と上層民の対比を描き出すような歌詞になっており、そこにボブ・ディランの作家性がうかがえるように思う。
本曲の歌詞はおおかた原曲と同じだが、序盤の「None will level on the line, Nobody offered his word」という歌詞は、原曲では「None of them along the line, Know what any of it is worth」「だれも到底及ばない、その価値を理解していない」というもので、本曲のほうがより宗教的なニュアンスを含んでいるように思える。

感想

本曲を初めて知ったのは、ゲーム「マフィア3」のタイトル画面で聞いたときで、強烈なイントロとサビのクールなギターリフが強く印象に残った。
数年後、Netflixのドラマ「1899」の本予告編や本編アウトロで再び本曲に巡り合い、作品の重苦しくも神秘的な雰囲気と本曲のハードで悲哀を感じる歌詞の合致に心を惹かれた。とはいえ、そんな1899はシーズン1でクリフハンガーのまま打ち切りになってしまった。残念。


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