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■ありがた迷惑な話■

まだお店を初めてすぐの頃
まだまだやってくるお客様も少なくて
今よりもさらにゆっくりな時間の流れの中で施術していました。

皆、とても気の良い方ばかりで
施術の間も話に花が咲きます。

その日も常連さんになりつつある
毎週来てくださる双子ちゃんの
お母さんを施術していました。

双子ちゃん以外にも兄弟がおられ
おじいちゃんやおばあちゃんも同居される
大家族のお母さん。
いつもとてもお疲れでした。

いつも半分ほどは1週間に起きた出来事を沢山お話してくださいます。
その後はいつまにか眠りにつくという流れです。

この日も同じように眠りにつかれた後
ひたすら身体をほぐしていきました。

いつもは朝一番に来られるのが
この日はお昼からしか空きがなく
その分、この方で最後となる予定でした。

いつもいつも頑張っているお母さん。
沢山の身体の悲鳴をグッと我慢して
毎日家族のサポートをしています。

「今日は少しサービスしよう」

ちょうどその日が10回めのご来店だったこともあり
少し時間を長めに施術し終えてから
お客様に声をかけて終わりを告げました。

すると時計を見た瞬間
飛び起きてしまいました。

どうやら双子ちゃんの用事があるらしく
予定通りの施術でギリギリだったんです。

幸い同居されているおじいちゃんが
動いてくださるということに。

終始笑顔で

「大丈夫大丈夫!」

「たまにはこんな贅沢もありね」

そう言ってくださり
またねと急ぎ足でお帰りになりました。

きっと心の中では焦っていたと思います。
とても穏やかにはいられない状態なのに
笑顔まで作らせて
気を使わせてしまいました。

優しい方でよかった!ではなく
ただただ自己嫌悪

こんなとき
一人きりのお店では
誰も注意などしてくれません。

すべて自分で気づいて
反省しなくてはなりません。

この日のはただの自己満足であり
お客様にとっては
ありがた迷惑なできごとだったなぁと。

あれから今日まで
お越しいただいたらまず最初に
施術後のご予定を聞いてから始める。
というのが鉄則となりました。

沢山の失敗のもと
沢山の方の優しさで今があるなぁと
今でも毎週来てくださる
このお客様を見るたびに思います。

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