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25.02.17 ♡ 神様と聖書と制服とらヴそんぐ( 創作文12 )
act.12, …… Friends とらヴそんぐ
『 ー、寒くねえ ? 』
『 …ぜーんぜんっ!!! 』
先輩に問いかけられて、勢いで返事をした。
つーか、バイクなんて3億年ぶりに乗ったな。
若かりし日( ていうか中学生の頃 )……を
思い出した。
『 ………………。 』
…色々思い出すも、 嫌なコト しか思い出さない
ので、…やっぱりやめた。
陽もくれて夜。荒野にあるような、グラデーショ
ンの空。
先輩と相対して、軽めのヘルメットだから、風が
気持ちいい。
感じながら、俺は、見えて来た少しだけ高い建物
に目をやる。
ーお、あれは、確か、川澄さんちのマンション。
ここらじゃ目立つ様なタワマン?で高速道路の
近くにある、高い建物。
去年皆んなで借りつつ押しかける形で、クリスマ
スパーティーをしたっけ。
凄い広い作りで、確か、かなり 美形の弟 がいる。
…遅くまでやってても平気だったのと……、
ご両親は、…あまり、帰って来ないらしい。
俺は、橋から見える、タワマンの影と夕空を
見つめた。
彼女は、また、勉強に励んでいるのかもしれ
ないな。
ちらと横を観る。
あれは、山本( まりあ )さんち。
休んだ日に、プリントを持ってったらまたクラス
の時事ネタを話してくれた。 先輩の事 超ドS閣
下 とか言うし。
ホント、最高だよ。
本人はぽっちゃりの面白キャラだが、一軒家の歌
舞伎屋根を置いたような家にはすっごいイケメン
と美女の兄妹が、沢山座って居た。
『 え、何、まりあの友達ー? 』
『 上がって上がってー! 』
最初、その 圧倒的存在感 に気後れするも、
まりあさんの家族は、暖かくて、みんな、優し
かった。
で、色々話していたら、夕方になり、何故
か俺は半ば強制的にそこでしゃぶしゃぶをご馳走
してもらえる事になる。
悪いなと思いつつも、腹が鳴ってしまった俺は、
爆笑されつつ素直に甘えてみた。そうして、お土
産に 余ったお菓子 を持たせてくれた……いいご
兄妹すぎるだろ。
今度、ちゃんとお礼しなきゃな……。
あれは 神崎 拓哉( タクヤ )んち。
今日は弟とゲーム三昧、かな。
人懐っこい可愛い弟で、大好きだ。妙な物が
好きなので、ネットでサバゲーみたいなのやり
つつたま○っち育成とかしてんだろう、どうせ…。
考えると、アイツらしくて、頬肉が上がる。
山羊座のA型。ゲームやらパズルやらが大好き
で、その割にさばっさばしている、……そんなと
ころがいい。
茶髪で、傍目からミリタリーオタク?だとわから
んくらいにはかなりお洒落で、イケメン。
そして、いつも なんかいい匂い がする……。
が、恋だの愛だのに一切興味が無い?との事。
本人曰く、 恋 〈 ゲーム、らしい……。……。
あれは 白峰 一也( カズヤ )の家、…なにし
てるかは、知らん。
部活かもしれない。
でも、帰ってるなら、ばーちゃんとコタツに入っ
てみかんでも食って携帯いじって小説も読んで
そうだなぁ。
平和だ。 俺も、混ざりたい。
男っぽい物も、女の子が好きなような物も好き
で、よく俺と時計だの車だの、童話だの、小説
だのライトノベルだの、なんだの、 あらゆる
事 を、話している。
本が大好きで、文庫本を山のように集めていて。
俺を見つけると、よく全身くっ付けて、よしよし
って、頭を撫でてくる。
素晴らしく冷めている性格 のくせに、滅茶苦
茶に 俺だけ にはやけにべったべたしてくる
。こ、これがクーデレと言う奴か……?
( ……先輩も……? )
そんなカズヤをたまにサツキが横で冷たく、
『 これ、やっといて。 』 と、学級委員会の仕事
を押し付けている気がするのは、気のせいだろ
うか……。
……サツキも怒らせると、実は かなり、怖い。
……サツキこそ、ど綺麗な顔 で冷たく切り込むタイプ……なので、俺は内心 ひぃ!と、よく患い、
たまに、思っている。
幼い頃、喧嘩したときなんかは、滅茶苦茶に怖か
った。
預けられていた 児童ホーム での おやつ 時間。
サツキと、俺は 喧嘩 した。
知的に上から目線で馬鹿にされ、苛立ちが収まら
なかった俺は、席に着き、『 ばーか! 』と言い
放つ。
( なんという、可愛い 俺…ッ…。 )
……言った途端、立ち上がり、アイツはこちらま
で、やって来た。
『 ……ー、なんだほら、もう一度、言ってみせろよッ!!? 』
と言いながら俺の髪を滅茶苦茶に、ひっぱり上
げ、際限なく、頭皮を痛めつけた、 そう、
泣かせた のだった……。
勿論、そこには先生もいた。 児童館で同い年で、そんな事をするやつは、……いない。
みんな 固まって 、しまっていた。
なんでも出来る、凄い不良 で、ー 優等生。
俺は、そんなサツキが、カッコよくて、大好き で
ー憧れ だったんだ。
勿論、今も。
ーひぃい。
だが。
思い出しても あの頃の サツキさま に、渡り
合える、適う気が、まるでしない。……。
あと、自分より、背が高い奴 からの攻撃 に対
する恐怖には、どうしたって、抗えないぜ……。
サツキも、自分より 出来る兄 にどうしても適
わなくて、 イライラして いたのだろう。しかし
、 あの辺りのサツキ は同級生の、不良 もビビ
るくらいに荒れていた。
普段 俺達 は、どこまでも仲が良い。
喧嘩なんかしたときは、普段仲がいい分、許せな
くて。
流石にもう、血が出るまでやり合ったり、しない
けどー。
そう。サツキは、普段は優しくて穏やかだが、スイッチが入ると
言わなきゃならないだろう事 は 確実に 言う。
頭の上で、 コイツら が 揉め ないか、よくハラ
ハラしている、…俺。
話を戻そう。
カズヤは外部から来た、特進クラス であり、兼
サッカー部員。サツキと同じ学級委員会のメンバ
ーである。
確か、……さそり座のO型。
本来、なら。
他クラス違反! と、他のクラスに入ると、本来
なら、" 注意する立場の川澄さん "は、何故かニ
コニコとして、何も言わない……。
同じく、他クラス違反!、と叫べるサツキも、
そこは 仲がいい友達 の好で、何も言えない様
だった。
んで、頭の回転みたいなのが鬼のように速い。
よって、たまーに かなり早口 になるので、俺は
聞き取れず、『 パドゥーン? 』からの、素直
に『 …巻き戻してくれ! 』 が教室内に木霊する。
黒髪で綺麗な顔をしているが、ちょっと頑固で
、ちょっと毒舌。
敵 と見なした相手には冷えた瞳で 応戦、冷戦
、" 論破 " する。
そんなカズヤだからか、チョコレートが必須
らしい。ドーパミンが出るから、イイ。とか
言いながらよくGAB○を口にしている……。
弁護士になれ……法学部行け……ホントに……。
そしてー。
あれは秋、シュウの家。マンション。
なんと 秋の宮 愁( アキノミヤシュウ )と言う。
だからクラスメイトはシュウだのアキちゃんだの
アキくんだの呼ぶ。 俺たちは シュウ と言う。
俺はたまに 秋の宮さまぁ って言ってふざけて
いるが。
一人暮らしで、部屋に入ると 汚い!を連呼する
俺たちを沈めようと、アイツはいきなり部屋にフ
ァ○リーズの代わりに 謎の香水 を撒き散らした
のだった。
……マジで嫌いになれねえ、天才だ。
ふわふわの、紫寄りの明るめな髪にヨーロッパの
王子様みたいな、デコをだしたウェーブ毛。
落ち着いてるけれど、色々と、天然。
背は俺と同じ位のAB型。
お菓子が大好きで、強請ると『 あげなーい。 』と
交わされる。 そうなの ? や ふーん。が口癖。
バレンタインデーは目を輝かせて
義理?も本命?も食べている……。
すましているからか、サツキの如く、トコトン
モテている。
3年生の先輩だか、男子の後輩も来ていたな。
誰とも付き合ってはいないようだが、きちんと
教科書を片手に歩いている様は、俺でも おお。
王子じゃん。と思うのだから、强 間違ってはい
ないだろう。
最も皆 あの部屋 を 知らない から……、
寄ってくるのかも、知れないが………。 ( )
でも、家は地主の大豪邸?らしい…そんな事から
も、笑いが込み上げてきてしまう。
ー。
土日に差し掛かった今日みたいな金曜日なら、
カズヤ以外、部活に入ってないあいつらは、 家
でのんびりしている事 だろう。
皆のコトを考えると、すごく、魂から、身体が
ホッとするのが分かる。
ー皆、大好きだ。
その時、優しい、清らかな、ホワイトムスクの
シャンプーの香りがする。
……先輩、…も。
ときときと、する。
夕闇のガラスに映える、黒髪の下の、燃えたよう
な赤。
きらきら、かー。
ピンク色のパールがちら、と浮かぶ。
けどー。
俺は、この、" 顔が見えない後ろのポジション" を、利用して、
髪に緋色の 硝子細工 を連ねた、年上の先輩 に、そっと、再び
……腕を、回した。
赤の踏切が、ふ、と消える。
冷たい手が上から、包まれて、風が爆轟と共に、
互いの髪を揺らすー。
上を観あげれば、満点の星空だった。
ー ねえ、先輩。
この廃墟を、廃校を、土地を。
大事で、でも 要らないガラス
が 散らばってしまった寂しさ を、
きっと、ずっと貴方と、" 観て " いたい。
世界は、こんなにも、綺麗、だから。
人知れず、涙が伝う。
それを、寂れた商店街が、慰めるように。
もう一度、先輩の背中から、声 を、聞いた。
ー トクトクと。
ずっと聴いていたい。心よりの、
世界一 儚くて、暖かい、ー " ラヴソング。"
⋆***