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自己紹介 Ver.1

少し自分語りをしよう。
1人の愚者による、ありふれてつまらない後悔と懺悔の話だ。


私は道化だ。
私の言葉は比喩的で、虚飾が多く、本質を隠している。
私は臆病者だ。
私の本当の言葉はいつも冗談に紛れて捨てられて来た。
私は意地が悪い。
私の言葉の多くは毒を含んだ揶揄でしかない。
私は惨めだ。
私は常に人の中を好むがそこは自分だけが違う空間だった。
私は愚かだ。
私は自ら人を遠ざけておきながら本当は理解されたいと思っている。
私は弱者だ。
私は傷つくことを、失敗することを恐れて常に逃げ道を用意してる。
私は無力だ。
私は『私』という存在すら理解できず、コントロールできない。
私は傲慢だ。
私は自分の優秀性を疑わず、ナチュラルに他者を見下す。
私は享楽主義者だ。
私は怒りと愉悦以外が弱い。善悪も他人も無く、ただ愉しさを求める。

私は自分の空虚さを知っていた。
私には意志も、感情も、その対象も無かった。
私の目に周囲の人は楽しそうに映った。
彼らには本気も、感情も、その対象もあった。

彼らは輝いていた。自分には無いものを持っていた。
彼らは私にとって憧れであり、希望だった。

だから私は自分も彼らのような人間になりたいと思った。
身を焦がすような欲望が欲しかった。
斜に構えて享楽に甘んじる自分を打ち砕きたかった。
そうすれば自分の人生も楽しくなると考えた。

しかし世界はそう甘くなかった。
私は彼らと違いすぎた。醒めすぎていて何にも熱意が持てない。
彼らを見るたびに内面の自分は小さくなり、つまらなくなる。
彼らの存在が苦痛と化す。

受け入れられない相手を受け入れるのはやめた。
自分ばかりが苦しんでいるのはおかしいと思った。
憧れが不快になり、そのうち嘲笑と化す。

暑苦しい奴だ、見苦しい奴だ、と嗤った。
無駄な努力だと馬鹿にした。
足掻く姿に苛立ちを覚えた。

そして私の目標は変わった。
昔の憧れに囲まれ、頼られればそれは自分の優位の証明になると思った。

私は魅力的な自分を作った。
微笑みの仮面を被り、退屈な会話にも参加した。
面倒くさい、馬鹿らしい、そんな心は隠して内輪乗りに付き合った。

感情の擬似体験、出来事の擬似体験、
熱くなるという感覚、努力するということ、
そんな自分にないものを求めていろんな本を読み漁った。

私は常に目立つことを選んだ。
私は常に人の中心や人の前にいた。
私は常に冷静で、自信と余裕を失わなかった。

私は副会長、中央委員、文化祭執行役員を歴任した。
私は人の中心にいた。何人もが私を頼り、指示を仰いだ。
私は目標を達成した。

それなのに私は今も常に虚しい。
私の周りにいるのが皆被害者だから。
彼らは私が利用した相手で、私に騙されている人たちだ。

結局私は私だった。
本物に憧れていた。
何者かになりたいと強く願っていた。
誰かから愛されたいとも思っていた。
そんな昔の私は今でも私の中にいた。

私は自ら切り捨てたものに縛られている。
手に入らないと諦めたものは心に残り続け、囚われと化した。

だから私は願っている。
何か夢中になれるものが私に訪れることを。


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