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人間の言葉を話すヤギ

“推し” の少ない私には珍しい ”推し女優” の一人である樹木希林さん。ふみぐらさんが持つ彼女に対するイメージが自分の持つそれとあまりにも重なっていて笑ってしまった。亡くなられてからからすでに3年になろうとするのに、彼女の存在感は薄れることがない。

壮絶で波乱万丈な人生を生きてきた彼女の言葉は、“誰かにこう思われる、思われたいとか、そんなのを遥かにどうでもよくした次元にある人間の言葉” なのだと彼は言う。確かに生々しい。けれど、その中から凛とした命の輝きを解き放っている。


偶然にも、半年ほど前『自分の内なる声を聞き未来を創る』というスローガンを立てた。『作る』でも『造る』でもない『創る』。『創』の漢字の意味。傷を創りながら、傷つきながら新しい物を無の状態から創り出す。まだ全く見えない未来を創っていく。

ふみぐらさんは、一つ創れたとしても何十倍もの傷を創っている自分自身を “かっこよくもなんともない” と続ける。

そうだろうか。

創ってしまった傷を受け入れ、開いた傷口を、綻びを縫い合わせながらまた新たに創り出す。そんな、強さと命の輝きを持つ人が人間の言葉を話す。

ヤギさんもまた人間の言葉を話している。

(ここまで)

2019年春に飛び込んだnoteの世界。そこに、真面目なのか、人見知りなのか、かと思えば「#吞みながら書きました」企画ではこっそり皆勤賞をゲットしている不思議なヤギさんがいるというのを知っていた。

ところが2020年6月、ヤギ便がメッセージで届いた。「リレー企画の僕のバトンを受け取ってください」という唐突なものだった。

ヤギさんからのバトン。

それはもう驚いた。また、この企画は前走者が次走者へのテーマを決めて渡すことになっていて、メッセージには『「生きることと食べること」がことこと煮込まれてる文章が好きで、思い浮かんだんです。テーマは「食べて生きる」』と書いてあった。

なんと、ヤギさんも煮込み料理が好きなのかと思うと同時に、これはマズイことになったと焦った。ヤギさんにお届けするのはどんな料理にしよう。目覚めてすぐベットの中でスマホを見たことを後悔した。爽やかなはずの朝の30分が悶々と消えていった。

それ以来、ふみぐらヤギさんと私は、どこか繋がっていると勝手に信じている。

ヤギさんは行間に言葉をしたためるのが好き。彼が「また訳の分からないことを言いますが」とか、「不思議だと思うかもしれないけれど」という前置きをする度に、そっと隠された姿なき言葉をワクワクしながら探しに行く。

すると、まさにその時に必要としてた答えやヒントが見つかったりすることがよくある。あの時の満足感といったらない。

沢山あるふみぐらnoteの中から、このnoteを選んだのには訳がある。

「食べて生きる」というテーマを深く掘り下げて書く機会を、ヤギさんからのバトンで受け取った。そして、今年に入った頃「自分の内なる声を聞き、自分に戻って未来を創る」という自分自身の新たなスローガンを立てた。するとまた、こうしてヤギさんはバトンを渡してくれる。

ヤギさんと実際に顔を合わせたのは3度程。リアルで会ったことはないし、電話で深い話をする仲でもない。それでも、私にとって距離感がない人。血液型だとかではなく、同じ世界の血が流れているんじゃないかと感じる人。

人?
ヤギさん? 
ふみぐらさん? 
弓手一平さん?

きっと彼は言う。

「全部、僕だから、どれでもいいですよ」

そして、オンライン通話画面からもう少しではみ出てしまうくらいの端っこで、ヤギ髭を撫でながらフフフと照れ臭そうに笑うのだ。




一平さんへ

一平さんのことなので、密度の濃い毎日をおくられているのでしょうか。
あのですね、私、帰国をしたら長野に行くつもりでいるんですよ。もちろん、ヤギの世話にしに行くのではありませんからね。
あ、ちなみに、こちらでもパエリアが待ってますのでね。

離れていても伴走しています。
心を込めて。


片岡治子



猫サラさんの企画に参加します。
ギリギリになってしまってすみません。

スタッフのみなさま、お手伝いできなくてゴメンなさいね!!


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