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院長先生、、、勝てる医療事務職員の育成について、、知っていますか?

院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生向け20ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、「勝てる医療事務職員」について説明したいと思います。

目次



1)ChatGTPに聞いてみよう

優秀な医療事務の条件は、以下の5つが挙げられます。

  1. 正確な業務処理能力
    医療事務は、診療報酬の請求やカルテ管理など正確性が求められる業務が多くあります。ミスなく迅速に業務をこなす能力が重要です。

  2. コミュニケーション能力
    患者さんとの対応や、医師や看護師との連携が多いため、円滑なコミュニケーション能力が必要です。特に患者さんに安心感を与える対応ができることが大切です。

  3. 医療に関する基礎知識
    医療用語や診療報酬制度の知識を正確に理解しておくことは必須です。最新の制度変更にも対応できる柔軟な知識の習得が求められます。

  4. 多様な業務への柔軟な対応力
    受付業務や会計業務、診療報酬の請求業務など、医療事務には幅広い業務があります。それぞれの業務に柔軟に対応できる適応力が優秀な医療事務には必要です。

  5. ストレス耐性と自己管理能力
    医療現場は緊張感のある環境で、突発的なトラブルや業務量の増加に対応しなければならないこともあります。ストレスに強く、自己管理能力を持って安定したパフォーマンスを発揮できることが大切です。

うん、わかるよ。わかるよChatGTPさん。
確かに、入力ミスがあったり、コミュ障だったり、勤務しても医療知識が身につかなかったり、対応力が無かったり、ストレス耐性がなかったり、自己管理できなかったりしたら、医療事務としてやっていけないよね。
うん、それって、医療事務としてじゃなくて、そもそも社会人として不適合じゃない?

そうじゃなくて、一般的な社会人としてやっていける前提で「強い医療事務ってなによ?」ってのが、今回の記事の主題です。


2)結論からいいます。折衝力です。

2000人を面接して、300人を育ててきたあつおとしては、必要なのは「折衝力(せっしょうりょく)」だと思っています。

折衝力
異なる意見や利益を調整し、合意を形成するための能力。

google先生

これでしょ。間違いなく。
「折衝力がある」ということは、「相手の意図や要望を理解し、自分の意思や考えを誤解なく伝え、双方の納得できる着地点を見つける能力」です。

クリニックにおいては、小さなものから大きなものまで、とにかく誤解が生じやすいです。その時に、「正しいことを正しいという」だとか「相手の意見を尊重して聞く」とか、それっぽく聞こえたとしても、それ一辺倒では絶対にすべての人は納得しません。
正論と別に、想いや、納得できる範囲を探っていくことが大切です。

職員同士の問題

簡単なものなら「明日、休んでもいいですかね、体調悪いんです」的な。これは、「じゃぁ、誰か代わりに出して」とかできる規模ならいいんですが、小規模のクリニックだとなかなか調整ができなかったりします。しかも、超絶職員間のストレスがたまります。
この時問答無用で、
・「労働基準法ではAM0時を境に当日扱いになるので前日ならシフト変更で対応しますが~~」とかいうのもおかしいし
・「休んでいいよ、体調悪いなら仕方ないよね」とかいうのもおかしい。
どうしたら明日の診察が滞りなくできて、不公平なくことを収められるかの調整が必要です。

小規模クリニックなら、勤務変更しか手がないんですよ。穴あけちゃったら、迷惑こうむるのは待つ患者さんと、残業必至のスタッフだし。
なんの制裁もなく「お休みOK」なんかしてしまったら、寝坊して有休とかいいかねないですよね。

要するに、その状況状況で答えが違うから、「それが妥当ですね」ってみんなが言える案をだせるかどうか勝負なんですよ。

患者との問題

「クレーム」と、「ありがたいお言葉」のギリギリ境目みたいな対応が必要な場合が多いです。
例えば「保険証確認が必要な状況で、もってきてない患者。マイナンバーカードもない。診察するかしないか」みたいな。
これも、いくつもパターンが考えられます。
例えば、「いつも来ている患者さん」とか「純初診」とか「診察内容」とか。
そこへ「保険証がなければ10割負担です」って必ず答えるのが必ず正しいとは限らないし、「今日はいいですよ、次回持ってきてくださいね」って答えるのが必ず正しいとはかぎらないです。

かといって、何でもかんでも「院長!保険証持ってきてない患者診ますか?」「処置の予約26分遅れで到着したんですがやりますか?」「12日前に処方した薬が合わないからって返金してとか言ってきてますがどうしますか?」とかイチイチ聞かれたら院長おこになっちゃいます。

本日3回目のどうでもいい質問に激おこ院長

でも、かといって、マニュアル化もできないんですよ。多岐にわたるので。

「患者No124の〇〇さんは、院長先生の小学生の時の塾の先生のため、保険証を忘れても診察を受け入れること。また支払いは後日精算でよいとする。」

とか、全部マニュアル化していたら、受付から診察待ちまでの間のマニュアルが広辞苑くらいの厚さになってしまいます。

受付マニュアル(上)診察までの流れ

そんなときに、

「院長ならどうするだろうか」
「患者の言っていることはもっともだろうか」
「将来的な利益も含めてどう対応すればいいだろうか」
など考えてくれる職員がいたら院長は泣いて喜びます。

ないっすぅぅぅぅ!!

3)優れた折衝力の事例

折衝力が高い医療事務職員がいた場合の事例紹介します。

VIP患者への対応

20年来の患者さんで、奥さんもお子さんもお孫さんも患者さんで、他の患者さんも多々紹介してくださって、お菓子とかも差し入れてくれて、、そんな患者さんからの要望で「採血だけの日の待ち時間必要かなぁ」と。
折衝力のない職員が、「今日採血だけかどうかなんて院長しかわからんじゃんね」とスルー。しかし「確かに」と思った折衝力のある受付のスタッフの案で、「今日は採血だけの日」って患者本人が選んで出せる診察券を作成。「特別ですよ」とこっそり渡す。またその診察券が出された場合は、こそっと看護師に直接依頼し、他の患者からみて横入り感がでないように対応。即解決。

診察代を踏み倒すヤツへの制裁

検査機器を貸したままずっとこないヤツ(金を払わないのは客じゃないのでヤツ呼ばわり)とか、特にCPAPとか(検査機器代はクリニックがメーカーに支払って、患者は保険診療代を支払うことで成立)の支払いに来ないヤツとか、発熱外来で診察受けて一時帰宅したまま帰ってこないヤツとか、、、
はっきりいいますけどね、医療費踏み倒すヤツとか、正直頭のネジが数本ぶっとんでるんですよ。電話して「払いに来てください」って言ったとして、1回で来る人は来るし、3回言ってもこないヤツは一生こないんだわ。

そこで折衝力が低いと、泣き寝入りしてしまったり、何度も何度も電話したりします。また手紙など出して「損害賠償請求」とか言っても、払うはずがないですよね。よくクリニックの受付に「払いに来る人の領収書」って入れ物に、何年も前からのものが入ったままになっています。
そもそも払うつもりがある人は、うっかりしたって1回ですよ。「あ、やば、お金払ってないわ、電話だけでもいれておこう」ってなりますよ。

こういった場合に折衝力が強い方だと、どうやったら泣き寝入りせずに、且つ無理のない範囲で、回収するかというのを考えてくれます。

「少額訴訟しよう」なんていうのはやるだけ無駄です。
仮に、治療代が50万円とか100万円だったとしましょう。そして少額訴訟に勝ったとしましょう。どうやって取り立てますか?少額訴訟で「請求する権利」はもらっても、国や裁判所が取り立ててくれるわけではありません。刑事罰があるわけでもありません。
ましてや、5万円10万円では、それにかける人件費の方がかかってしまいます。

賢いのは、「保険診療として成立させてレセプトは出すけど窓口負担は未収金としてあきらめる」というところですね。これが思いつくのは、レセプトをやって、月遅れ請求などのルールがわかる人だけなんです。
7割は取り返して、赤字ではないところまでなんとか成立させて。
3割は「出禁代」と考えれば安いものだと思います。
3万円のうち、2.1万円は社会保険から回収して、0.9万円は窓口に未収金で残しておく。
万が一次にきたら請求すればいいし、こなかったら金を払わない不良患者が一人減ったと考えられます。

大声クレーマータイプ

「院長をだせ!」とか窓口で騒ぐやつがきたら、どうしますか。もちろん診療時間です。
折衝力がない方の場合、いつまでもいつまでも話を聞いてしまって、いつまでたってもギャーギャーどなられたりしてしまいます。
残念ながら、「窓口で大声で騒いでいる」時点で、対話は不可能な相手です。一見なにか言いたいことがあるように見えますが、彼らが統一して考えていることは、「どうやって金をむしり取るか」です。間違いありません。
男性でも、女性でも、若くても、年を取っていても、要は「私が金を払わないのには理由がある」だとか「嫌な思いをしたから金を払いたくない」とかそういうことが99.9%です。0.1%はもしかしたらそういう人もいるのかもしれませんが、私は出会ったことがありません。

折衝慮がある方は、「患者様なのかクレーマーなのか」を判断できます。おっしゃっていただけることがまっとうなのであれば、それはクレーマーとしてではなく、正しいクレームとして受入れ、謝罪し、改善するチャンスでさえあると考えます。
ですが、「不当だ」とか「他の患者様に迷惑だ」と思ったら、以下に追い出して、二度と来させないためになにができるかと考えるべきです。

クレーマー対応三大原則は、人を変えて、場所を変えて、時間を変えること。
「責任者が対応しますのでお待ちください」とか
「こちらのお部屋でお待ちいただけますか」とか
「診療時間外にお話を伺うので出直してもらえないか?」とか。
ものは言いようがあると思います。そのうえで収集つかないのであれば、一番良いのは「110」です。「錯乱している様子がおかしい患者がいる」と警察を呼ぶ。
また、当日解決に至っても、またクリニックに現れたりする。その場合も問答無用で110する。そして、所轄の警察署に行って(行くことが大切)相談するが、そのときに「一度現場に警察を呼んだ事実」がとても重要です。
「この前の患者がまた来るんじゃないかと恐怖でスタッフが出勤できないと言っている。被害届を出したいと言い張っててこでも動かなければ、警察が連絡してくれます。「二度と来院しないのなら被害届を取り下げますが、、、」でだいたい解決します。こういう判断ができないと、き〇がいのせいで大切なスタッフが辞めてしまったりします。

運転下手ぴっぴタイプ

駐車場で当て逃げする運転が大変お下手な患者様とか、何なら人にぶつけて逃げる運転が大変お下手な患者様とかもいらっしゃいます。
大抵あーじゃないこーじゃない巻き込まれますが、職員が対応する必要ないです。仮に仲裁したとしても、第三者にはなにもできません。何も考えず110番でOK。
警察呼んで対応してもらって、当事者同士が話しをすればいい。ここまでが業務、ここからは不介入などの判断も折衝力のなせる業です。

自分で何の健診かわかってない患者さん

「健診受けたいんですけどね」でご本人がよくわかってないケースめちゃめちゃあります。
特に、「会社から今月中に健診を受けろと言われて受けたいんですが」が強敵。でもそこで、折衝力がないと「なんの健診かわからないと受付できません」ってな回答になってしまいます。
わずかなヒントをもとに、なんのための健診なのかを聞き出すことも、折衝力の1つだと思います。

では折衝力ってどう育てるの?

折衝力(せっしょうりょく)を育成するためには、以下の要素に焦点を当てて計画的に取り組むことが重要です。折衝力とは、交渉や対立の場面で相手との合意を得るための調整能力のことを指します。このスキルを伸ばすためには、実践的なトレーニングや経験を積みながら、以下のポイントに取り組むことが効果的です。

1. コミュニケーション力の向上

  • 傾聴: 相手の話を丁寧に聞くことが重要です。相手の意図やニーズを正確に理解することで、効果的な折衝が可能になります。

  • 明確な表現力: 自分の立場や要求を相手に分かりやすく、論理的に伝える練習を行うことが大切です。

2. 問題解決能力の養成

折衝には相手との利害調整や課題の解決が含まれるため、問題解決スキルを高めることが重要です。問題を冷静に分析し、解決策を提案できる力を育成します。

  • 課題の本質を見極める力: 状況の根本的な問題を理解し、それを解決するための方法を模索する訓練を行います。

3. 交渉シミュレーションやロールプレイ

実践的な状況を想定したシミュレーションを行い、折衝の練習をすることは非常に有効です。ロールプレイを通じて、様々なシナリオに応じた対応力を鍛えます。

4. 感情のコントロール

折衝は時に感情的な場面になることがあるため、感情をコントロールし冷静に対応するスキルも重要です。ストレス管理や自己制御の訓練を行います。

5. 相手の立場を理解する力(共感力)

折衝の際には、相手の立場や感情を理解する共感力が重要です。相手の視点を尊重しながら交渉することで、信頼関係を築きやすくなります。

6. 適切な妥協点を見つける力

折衝においては、必ずしも自分の主張を全て通す必要はありません。どのポイントで譲歩し、どのポイントで譲れないかを見極め、相手との合意点を見つける力を養います。

7. フィードバックと改善

折衝の結果を振り返り、上手くいった点や改善すべき点を学びます。定期的なフィードバックを受け、次の折衝に向けて自分のスキルを向上させていくプロセスが重要です。

8. 知識の蓄積

業界のトレンドや相手の組織の内部事情など、背景となる知識を持っていることは、交渉をスムーズに進めるための大きな強みになります。日々の情報収集や学習を習慣化しましょう。

いやいや、さすがにそんなんできないですわ

ってことなんですよね。
クリニックの院長先生にとって、この課題はめちゃくちゃ難しいです。
でも、せめて基本概念くらいは知っていてほしいです。

1. Win-Winの原則

  • 折衝の目的は、どちらかが一方的に勝つのではなく、双方に利益のある解決策を見つけることが重要。

2. 利害の調整

  • 折衝においては、双方の利害が一致する部分を見つけ、それに基づいて調整を行う。利害の衝突がある場合は、折り合いをつける方法を模索。

3. コミュニケーション能力

  • 折衝では、相手の話をしっかりと聞く「傾聴」と、自分の意見を明確に伝える「表現力」が必要です。誤解や行き違いを避けるため、正確かつ論理的なコミュニケーションが求められます。

4. 合意形成

  • 折衝の最終目標は、双方が合意できる解決策を見つけること。どのような条件や取引が双方にとって最適かを探り、最終的に合意に至ることが重要です。

5. 信頼関係の構築

  • 折衝の過程で信頼を築くことも重要です。誠実な対応や透明性のあるコミュニケーションを通じて、相手に信頼されることが重要です。というのもクリニックは移動販売ではありません。ただ討論で勝てばいいわけではなく、双方が合意し、交渉がよりスムーズに進むことが大切です。

さて、ではそれを業務レベルで実行するためにはどうしたらいいかというところをご説明していきます。

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