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院長先生、、、節税してますか?節税のすゝめ
院長先生こんにちは。あつおです。<こんなこと>をしています。
中小クリニックの院長先生向け15ネタ目です。100ネタ目指して時間を見つけて書いています。
今日は、「節税の重要性」について説明したいと思います。
節税って良い事?悪い事?
クリニックの院長先生ともなれば、一度や二度は「節税セミナー」なんていうものにさそされることがあるでしょう。
でも、なんとなく「脱税紙一重」みたいな「悪い物」と認識していませんか?
間違いなく経営者として必要なことです!
開業して税理士を顧問にもち、日々の請求書や領収証を送り、決算期を迎え、納税する。日本国民として当たり前の流れです。
医療法人化していなければ、「所得のすべて」が「所得税の対象」となります。個人事業主の場合、経費として認められるのは「直接営業に関わる経費のみ」になりますから、仮に最終利益が1800万円あった場合、税率が40%にも膨らみ、600万円程度の所得税がかかることになります。
所得額の多い少ないにかかわらず、「医療法人化」はそれ自体がクリニック経営の必須の節税スキームになります。
医療法人化で得られる節税効果は?
医療法人化によって得られる節税効果は、大きく6つあります。
1.間接経費の経費化
所得税法第三十七条に記載があります。
(中略)必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(中略)の額とする。
売上原価に含まれるもの、つまり医療材料や仕入などに関わるものは、経費として認めるものの、「家事関連費」が認められないのです。多くの個人事業主のクリニック院長が経費化していますが、過去の裁判の判例でも、確実に追徴課税になってしまっています。
例えば、「事業専用ではない自動車」や「そのガソリン代や自動車税や自動車保険など附帯する経費」だとか、医院併用住宅であればその「固定資産税」や「減価償却費」や「保険料・水道光熱費」などもかなり厳しいです。また福利厚生費なども、一人当たり10万円程度までは認められるものの、高額なものは否認されます。
2.給与所得控除が使える
個人事業主として事業を行った場合、「会社の利益=代表者の個人所得」となります。前項の通り、「材料費」や「交際費」や「外注費」などの直接性の高い経費のみを差し引いて、所得税の計算によって納税の義務が発生します。
しかし、法人化した場合は、「会社の利益=所得税」ではなくなります。給与として職員に支給する形を取ることが可能になります。
例えば、個人事業主の利益が1800万円あったとします。これを法人化している場合、代表者の役員報酬で1000万円、法人の利益で800万円とした場合、代表者の給与所得に関わる所得税は80万円。法人にかかる法人税は120万円と、合計で200万円程度で済みます。
年間利益1800万円の個人事業主の所得税は600万円
年間利益1800万円の法人で、社長個人の報酬を1000万円、法人の利益を800万円とした場合、所得税は80万円、法人税は120万円。
所得税だけを取り上げていますが、市町村民税なども大きく変わりますので、その点も計算してみるといいでしょう。
3.所得の分散ができる(社会保険料の節税の事例)
前項で上げた通り利益1800万円をベースに考えます。
個人事業主の場合、年収1800万円になりますから、国民健康保険は年間約100万円になります。
ところが法人として役員報酬1000万円に設定した場合、健康保険料は約130万円と、さすがに保険種別の差で増えてしまいます。
ところが、医療法人化することで、「所得の分散」が可能になります。
例えば、奥様を理事とすることで、理事報酬を分散します。院長先生に600万円、奥様に400万円、法人利益が800万円などに設定。
するとどうでしょうか。
院長先生 年収600万円 + 奥様 年収400万円 とした場合の社会保険料は、合計で年間約100万円ほどになります。
さらにご両親なども理事に入れて、報酬設定をしっかりやっていくと、社会保険料だけでも大きな節税効果が見込めます。
4.生命保険料を経費計上できる
以前ほど大きな節税効果はなくなってしまったものの、大きな投資には、万が一のときに残された家族への補償も必要です。
例えば、院長先生が開業するにあたって、1億円の融資を受け、半年後に仕事が継続できない状況になったとします。
その際には、団体信用保険などに加入していて、融資返済自体は終了することが多いです。
しかしながら、
継続治療の必要な患者への説明は転院先の確保
前金を受領していた治療費の返金
職員の退職金の確保
建物の原状回復
高額な相続税の発生
などが発生します。「はい、今日で終わり」というわけにはいかないのです。仮に資産があったとしても処分できるまではただの負債です。
例えば、M&A業者に依頼して、売却したとしても、手元に残るのは微々たる金額ですし、即金で支払いがあるわけではありません。
ですから、絶対に家族に残る任意保険に加入してください。
にも拘わらず、個人事業主の場合、生命保険料は自己負担になります。「事業性」が100%とは言えないからです。
医療法人化していれば、生命保険料も経費と認められます。
5.退職金が出せる
個人事業主の場合、そもそも会社という概念がありませんから、退職金というものが存在しません。
ところが、医療法人化することで退職金が設定できるようになります。
医療法人の創業者であれば、退職金については以下のように計算可能です。
最終月額報酬 × 所属年数 × 功績倍率
年収1000万円として、月額報酬が83万円だとしましょう。
40歳で医療法人化して、25年やって引退したとします。
功績倍率は「創業者」ということで3倍は取れます。
83万円 × 25年 × 3 = 6200万円
退職金には所得控除などの有利な条件があり、また60歳を超えて、退職するわけですから、社会保険料や国民健康保険料などもかからないため、手取りは給与でもらうよりも大きな額になります。
退職金が6200万円の場合、手取りは5200万円ほどになります。
この有無は個人事業と法人化での大きな差を生みます。
6.確定拠出年金がつかえる
企業型DCやiDeCoなどと言われるアレです。
企業型DCは、事業主拠出で行い、勤務する従業員が加入対象です。
iDeCoは、国民年金基金連合が実施主体となり、加入者が拠出します。
説明すると長いので、詳しくはお取引のある銀行などでお聞きください。
実例の紹介
節税が、「なんとなく必要なもの」というのはご理解いただいたかと思うのですが、それでも実際の例を見ないとよくわからないというのが世の常でして。実例を紹介します。
1.減価償却費計上による利益繰延
例えばですが、毎月の損益計算書の残高試算表を見ていくと、2か月後に迫る決算において大きな利益がでてしまう可能性が高いなということが往々にしてあります。
その際には、最終利益が800万円程度になるように利益の繰り延べを行えるか検討が必要です。累進課税なので必ずしも800万を割る必要はありませんが、それでも過剰にでている利益は、税金にしかなりませんので、利益を来年度以降に繰り延べることで、安定した経営を継続することができます。
例えば、医療法人においては、単品30万円未満のものであれば、即時償却可能で、年間200万円まで減価償却できます。職員から購入希望が出ていただけど、購入にいたらなかった機材などを購入するなど。
また、中古車購入など。4年落ちの中古車の耐用年数は2年ですので、定額法なら2年で、定率法ならなんと1年で減価償却することができます。
2.事前確定届出役員報酬をつかった節税
事前確定届け出役員報酬とは、いわゆる「賞与」のようなものです。
一般職員に対して、給与と賞与があるように、役員報酬にも賞与のようなものがあります。
しかし、役員報酬とは、「毎月いくらだします」と定款等に決定し支払うものですので、賞与のような性質のあるものにも事前の届け出が必要です。
一般的に、法人に利益があって、法人税を支払った部分が、資産となりクリニックの安定的な経営を左右します。
しかしながら、「じゃぁいくらあったら安定するのよ」と言われると、いわゆる6か月無収入になっても安定する資産さえあれば、それ以上は資産計上しないほうが良いです。
例えば、法人資産が3億円とかになってしまったら、院長先生の個人への引き出しがほぼ不可能になってしまいます。
となると、将来的にM&Aするとしても、過剰な資産は大きな障害となりますし、解散したら国に没収されてしまいます。
事前確定届け出役員報酬のメリットは、「予定として届出して置く」「思ったより収入が高くなかったら取り下げればいい」「一括でもらう報酬には厚生年金保険料が上限150万円までしかかからない」などがあります。
つまり、毎月の役員報酬を下げてでも、事前確定届出役員報酬を上げたほうが手取りがよいし、損金計上も問題がないのです。
毎月150万円もらう事例(年収1800万円)
月収部分の額面年収=1800万円 手取り1188万円程度
毎月30万円+年1回1440万円もらう事例(年収1800万円)
月収部分の額面年収=360万円 手取り290万円程度
賞与部分 額面=1440万円 手取り1293万円程度
はるかに事前確定届け出役員報酬を使ったほうがお得です。
3.退職金を使った継承の事例
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