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漢字検定を受けよう/漢検準1級に2週間で受かった話
この記事は、すしすきー vol.1 Advent Calendar 2024 22日目の記事です。
vol.2、vol.3もあるよ
https://adventar.org/calendars/9953
https://adventar.org/calendars/10652
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突然ですが、みなさん
$${\Large\bf漢字を正しく読めますか?}$$
そして、
$${\Large\bf漢字を正しく書けますか?}$$
決して「檸檬」だの「薔薇」だのが書けるか、という話ではございません。
日常生活で目にする・使う漢字を、あなたは正しく読み書きできますか?
これ、意外にも自信をもってYESと言える人は少ないかもしれません。
ということで、少しテストをしてみましょう。
下線の漢字はひらがなに、カタカナは漢字(必要なら送り仮名も)に直してください。
すしすきーが落ちた$${\bf \underline{原因}}$$はDDoS攻撃だった。
LTLでR18の話をするなんて$${\bf \underline{言語道断}}$$だ。
くちばしさんの説明は$${\bf \underline{過不足}}$$なく的確だった。
:ablobcheer:は$${\bf \underline{汎用性}}$$が高く、さまざまな場面で使える。
新しいカスタム絵文字が$${\bf \underline{漸次}}$$追加されていく予定だ。
アンコリーノに$${\bf \underline{舌鼓}}$$を打つ。
レジスタンスの$${\bf \underline{巣窟}}$$となっているチャンネルがある。
ぬあみをするというミッションを$${\bf \underline{完遂}}$$する。
すしすきーは開設から$${\bf \underline{暫く}}$$は「すしすき~」という名前だった。
すしすきーの利用規約を$${\bf \underline{遵守}}$$する。
すしすきーゲーム部はゲームの話を$${\bf \underline{センモン}}$$としている。
どこかでボールプニを$${\bf \underline{フンシツ}}$$する。
くちばしさんに支援として3000円を$${\bf \underline{オサメル}}$$。
警察猫ロールを付与され、$${\bf \underline{ゼッタイゼツメイ}}$$の危機に陥る。
今日は休みなのですしすきー$${\bf \underline{ザンマイ}}$$だ。
新規さんが$${\bf \underline{テイネイ}}$$に$${\bf \underline{アイサツ}}$$をする。
昼休みの$${\bf \underline{ミジカイ}}$$時間にすしすきーを見る。
ネットde真実系アカウントに$${\bf \underline{ホンロウ}}$$される。
MFMを使って文字を$${\bf \underline{ソウショク}}$$する。
イズティお$${\bf \underline{ジョウ}}$$様とってもかわいい
答えは下へ
答え(常用漢字表内での模範解答です)
1. げんいん 2. ごんごどうだん 3. かふそく 4. はんようせい 5. ぜんじ
6. したつづみ 7. そうくつ 8. かんすい 9. しばらく 10. じゅんしゅ
11. 専門 12. 紛失 13. 納める 14. 絶体絶命 15. 三昧
16. 丁寧/挨拶 17. 短い 18. 翻弄 19. 装飾 20. 嬢
どうでしたか?
全問正解できた方は素晴らしいです…が、今回たまたま読み書きできただけかもしれません。もしかしたら日常のどこかで突然読めない・書けない漢字に出会うかもしれませんよ。常用漢字は完璧に読み書きができるように、あるいはさらなる高みを目指すために、あなたは漢字検定を受けることをおすすめします。
1問でもわからなかった方、あなたは今後も読み書きできない漢字に出会う可能性が高く、最悪の場合漢字ができない恥ずかしい日本人としての烙印を押されてしまうかもしれません。そうなることを防ぐために、あなたは漢字検定を受けることをおすすめします。
何が言いたいかというと、日本に住む者は皆漢字検定を受けよう、ということです。
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漢字検定を受けよう
雰囲気を「ふいんき」、一段落を「ひとだんらく」と読む人のなんと多いことか。一応を「一様」、店員を「定員」と書く人も目に付くことが多いです。同音異義語・同訓異字を使い分けられない人も後を絶ちません。
パソコンやスマホの普及で、漢字を書く機会はめっきり減ってしまったかもしれません。動画や音楽コンテンツが普及して、文字(特に活字)を読む機会は減ってきているかもしれません。文字を打てば予測変換で漢字がでてくるし、最近の予測変換は多少間違っていても候補に出てくるほど優秀です。こういった世の中で、もはや漢字を学ぶ必要はないと考える方もいるのではないでしょうか。とりわけ漢字を書く力については重要視しなくていいと考える方もいると思います。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか。予測変換を以てしても、同音異義語・同訓異字の使い分けは自分でしなければなりません。会議や打ち合わせの最中、読んでいる資料の中に読めない漢字が突然出てきたらどうしますか?申込書や問診票、履歴書など、突然文字を書かされる機会だってまだまだあります。
逆の立場でも考えてみましょう。商談相手が「何卒」を「なにそつ」と読んでいたら不信感を抱きますよね?領収書の但し書きに誤字があったらいい気はしないと思います。
このように、ネット社会になった今も、日本に住んでいれば漢字を読み書きする場面というのは急に訪れます。それにも関わらず、多くの人が社会に出るときの日本語マナーとして重要視されるのは言葉遣いや敬語ばかりで、漢字をおろそかにしたままの傾向があります。その結果、思わぬところであなた自身の評価や印象を下げてしまうという悲惨な状況を招くことが起こり得るのです。
そうなってしまう前に、また相手に教養のある人間だという印象を持たせるために、あなたも漢字検定に挑戦してみませんか?
そもそも漢字検定とは
漢字検定(日本漢字能力検定、通称漢検)は公益財団法人 日本漢字能力検定協会が実施していて、漢字の意味を理解し、文章の中で使う能力を様々な視点から測る検定です。これは記述式が中心となり、読み書きだけでなく熟語の構成・意味・誤字訂正・部首など幅広い分野から出題されます。
級は10級から3級までと準2・2・準1・1級の12段階に分かれています。小学校1年生で習う漢字が対象である10級から、常用漢字2,136字全てを対象とした2級、常用漢字表外を含む約6,000字を対象とした1級まで、細かく段階が設定されています。いずれも年齢制限はないため、誰でも、どの級からでも着実なステップアップが目指せます。
3歳から103歳まで5,000万人を超える人々が挑戦していて、これは英検を凌ぐレベルです。また、文部科学省や全国各地の教育委員会からの後援も受けています。
漢検を受けるメリット
・人生が豊かになる
私が漢検を受ける最大のメリットだと思っているのがこれです。前述したように、日本にいる限り「常識として」漢字を読み書きする機会というのは幾度となく訪れます。漢検で漢字能力を身につければ、このような状況下でも自信や余裕をもって読み書きしたり、端的かつ説得力のある表現をしたりすることが可能です。これによって生まれる前向きな姿勢や安定感が社会人基礎力を養い、豊かな人生をもたらしてくれることは言うまでもありません。
・教養のある人として印象づけられる
これは1つ目と少し被りますが、漢字ができる人はすなわち日本語に対する見識のあふれた人と言い換えられます。日本語は語彙の多くを漢字が占めているため、漢字能力が高いほど、深い思考や豊かな表現が可能になると言われているからです。熟語や対義語・類義語等豊富な語彙力を自分の中に蓄えることにより表現の幅が広がり、相手に聡明な印象を与えることができます。
・進学や就職が有利になる
漢検はみなさんご存じの通り履歴書に書ける資格の一つです。つまり、高校・大学の入試や企業の採用試験などで評価されています。具体的には、入試で漢検を評価する高校は全体の51.6%、大学・短大は65%にものぼります。就職の際にも453社で採用時に漢検を活用しています。漢検に合格することで、希望する進路を実現するための武器となるわけです。
受検のしかた
詳しくは漢検ホームページ(https://www.kanken.or.jp/kanken/outline/)をみてください。
①個人受検
全国にある公開会場で受検する方法で、年3回(6月ぐらい、10月ぐらい、2月ぐらい)受検できます。全ての級を受検できますが、逆に1級と準1級はこの方法でしか受検できません。
②漢検CBT受検
CBTとはComputer Based Testingの略で、漢検CBT会場でコンピューターを使って受検する方法です。各都道府県に設置されている会場で受検するのは個人受検と変わりませんが、年3回の検定日に限定されず、都合の良い時に受検できるというメリットがあります。また、結果が検定後10日程度で届く(通常は40日前後、ネット合否照会でも2週間程度)のも良いところです。2級から7級まで受検できます。
③漢検オンライン
タブレット端末を使って自宅で受検できるシステムです。基本的に毎週日曜日に行われ、2級から10級まで対応しています。自宅で受検できるのが利点ですが、インターネット環境の不具合や記述問題におけるタッチペンの不具合に弱いのが難点です。
④団体受検
学校や塾や企業がまとめて申し込むやつです。個人では受検できないので割愛。
各級の概要
じゃあ具体的に自分は何級を受ければいいんじゃ!という方に、各級の概要をお伝えします。
10級・9級
10級は小学校1年生修了程度(80字)、9級は小学校2年生修了程度(240字)の漢字が出題されます。出題内容は漢字の読み、書き取り、筆順・画数です。150点満点で合格基準は80%程度となっています。
8級・7級
8級は小学校3年生修了程度(440字)、7級は小学校4年生修了程度(642字)の漢字が出題されます。出題内容は8,7級共通で漢字の読み・書き、共通の部首を持つ漢字、筆順・画数、送り仮名、対義語、が出題され、8級ではこれに加え同じ漢字の読み、7級ではこれに加え同音異字、三字熟語が出題されます。「共通の漢字」が出題されることもあります。8級は150点満点で合格基準は80%程度、7級は200点満点で合格基準は70%程度となっています。
6級・5級
6級は小学校5年生修了程度(835字)、5級は小学校6年生修了程度(1,026字)の漢字が出題されます。出題内容は漢字の読み・書き、部首、筆順・画数、送り仮名、対義語・類義語、同音・同訓異字、三字または四字熟語、熟語の構成で、5級のみこれに加え誤字訂正が加わります。ともに200点満点で合格基準は70%程度となっています。
4級
4級は中学校在学程度(1,339字)の漢字が出題されます。出題内容は漢字の読み・書き、部首、送り仮名、共通の漢字、対義語・類義語、同音・同訓異字、誤字訂正、四字熟語、熟語の構成です。200点満点で合格基準は70%程度となっています。合格率は5割強です。
<問題例>
・投票日に向け舌戦の幕が切って落とされた。
・論説文の要点をテキシュツしてまとめる。
・「舞」の部首(選択式)
・「冷静」の対義語「熱?」(語群選択・書き取り)
・師の遺訓を金科ギョク条とする。
3級
3級は中学校卒業程度(1,623字)の漢字が出題されます。出題内容は漢字の読み・書き、部首、送り仮名、共通の漢字、対義語・類義語、同音・同訓異字、誤字訂正、四字熟語、熟語の構成です。200点満点で合格基準は70%程度となっています。このあたりから資格として使えるところが出てきます。合格率は5割弱です。
<問題例>
・重要問題は会議に諮ってから決定する。
・仲間とシンクの日々を耐え抜いてきた。
・うっかりして秘密をモラス。
・「拘束」の類義語「束?」(語群選択・書き取り)
・半生を振り返るとカンガイ無量だ。
準2級
準2級は高校在学程度(1,951字)の漢字が出題されます。出題内容は漢字の読み・書き、部首、送り仮名、対義語・類義語、同音・同訓異字、誤字訂正、四字熟語、熟語の構成です。200点満点で合格基準は70%程度となっています。このあたりまでは非常によく使う漢字ばかりが出題されるので、合格できないと恥ずかしいかもしれません。合格率は3割強~4割弱です。
<問題例>
・伝記をシリーズとして逐次出版する予定だ。
・少女の善良な行為をホめる。
・「乏」の部首
・四字熟語「?天動地」の書き取りと意味(語群選択)
・理事の再任はこれをサマタゲない。
2級
2級は高校卒業・大学・一般程度(2,136字)の漢字が出題されます。すなわち、常用漢字が全て読み書きできるレベルです。出題内容は漢字の読み・書き、部首、送り仮名、対義語・類義語、同音・同訓異字、誤字訂正、四字熟語、熟語の構成です。200点満点で合格基準は70%程度となっています。ちなみに、2級を取ると新聞やテレビに出てくる単語は全て読めるようになります。合格率は3割弱です。
<問題例>
・不注意に因るミスだ。
・先輩には何かとベンギを図ってもらった。
・「羞」の部首
・四字熟語「??不党」の書き取りと意味(語群選択)
・「残念」の類義語(語群選択・書き取り)
準1級
準1級は大学・一般程度で、JIS第一水準を目安とする漢字(約3,000字)が出題されます。出題内容は漢字の読み・書き、故事・諺、対義語・類義語、同音・同訓異字、共通の漢字、誤字訂正、四字熟語、文章題です。200点満点で合格基準は80%程度となっています。ここからは完全に趣味の領域で、合格できたらすごいです。合格率は15%以下~25%超と回によって大きく変わります。
<問題例>
・乃父の遺戒を肝銘せよ。
・仏壇にロウソクを灯し線香を立てる。
・四字熟語「??蜜語」の書き取り(語群選択)
・「筆跡」の類義語(語群選択・書き取り)
・諺「フクテツを踏む」の書き取り
1級
1級も大学・一般程度ですが、JIS第一・第二水準を目安とする漢字(約6,000字)が出題されます。出題内容は漢字の読み(熟字訓・当て字を含む)・書き、故事・諺、対義語・類義語、同音・同訓異字、四字熟語、文章題です。誤字訂正が出ることもあります。200点満点で合格基準は80%程度となっています。ここまでくるともうPCの変換で出ません。合格率は概ね10%弱ですが、1年に1回は5%台の回があります。
<問題例>
・羈軛を脱して別世界の人となる。
・恐ろしい夢にウナされる。
・熟字訓「孑孒」の読み
・四字熟語「菜圃??」の書き取り(語群選択)
・「鴟梟」の対義語(語群選択・書き取り)
・諺「痘痕にエクボ」の書き取り
漢検を受けて日常生活に役立つのは2級までです。逆に言えば、2級に合格できるレベルで漢字を理解していなければ、日常生活でいつか知らない漢字や熟語に遭遇する可能性があるということです。
また、「読み書きさえできればいいから、それ以外も出題される漢検を受ける意味はない」と考える方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。2級~4級に的を絞って話をすると、各級の出題内容で知らなくても困らないものなんてせいぜい「部首」くらいです。四字熟語や対義語・類義語は語彙を増やし表現方法を広げるのに非常に役に立ちますし、熟語の構成は漢字そのものの意味と熟語の成り立ち方を知ることで、未知の熟語に出会ったとき意味の類推がしやすくなります。もし大事な書類に漢字の間違いがあった時、誤字訂正の知識が手助けとなります。漢検の出題内容に、生活を送る上で無駄な問題などほとんどないのです。
ここまで読んでくださった方は、日本で生活をする上で漢字検定は非常に有用な資格だということがわかったと思います。漢検を受けたことがない方で、漢字が比較的得意だよ~という方は準2級や2級から、漢字に自信がない方は4級や3級から、是非チャレンジしてみてください。もちろん5級以下からでもOKです。特に漢字に自信がない人にこそ挑戦していただきたいです!
漢検準1級に2週間で受かった話
ここからは、私が漢検準1級に2週間で受かった話をします。2週間で受かったといっても、休学中で1日中暇な人間が2週間ガチで勉強したら受かっただけの話なので、仕事や学校に行きながら2週間で受かるのはたぶん無理です。まあこの2週間は200時間くらいと置き換えて読んでくだされば、多少の参考にはなるかもしれません。でもやっぱり「セオリーなんて知らんわ!」という感じの、おそらく通常の勉強法とはかなり異なる独自のやり方なので、あんまり参考にならないかもしれません。
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受検に至った経緯
6月にうつ病で大学行くのが厳しくなったので年内は休学にしたんですが、9月ぐらいに症状が改善してきた結果スーパー暇人間が誕生してしまいました。そこで、小学生の時1回受けて余裕で落ちた漢検準1級に再挑戦、というか真面目に挑戦してみようと思い至ったわけです。ただこの時点で次の検定日は10月20日。10月の部活のイベントも参加しようと思っていたためその練習も忙しく、気づいたら試験2週間前になっていました。
使った参考書
・成美堂の頻出度順 漢字検定準1級問題集
分野別で頻出度順に問題が並んでいる上、赤シートで答えを隠せる仕様になっているのでとてもありがたいです。模擬試験も3回分あります。巻末には準1級配当漢字表とかよく出る四字熟語や故事・諺も載っている、取り外し可能の付録もあって便利です。でも試験会場行ったらこれで勉強してる人は私だけでした。なんで?
・漢検準1級 無料練習問題
スマホ1つあれば勉強できるので便利です。読み・書き・四字熟語・対義語類義語・故事諺の問題が全部で2,380問解けます。上の問題集より問題数が少ないですが、なぜか故事・諺に限ってはこっちの方が豊富です。
ちなみに3級~2級版もあるのでそれらを受ける人にも有用かも。
これだけです。本当に。
参考書の使い方ですが、私は
①一周目に何も知らない状態で問題を解く
②間違えた単語に印をつけるなり書き出すなりする
③次のページに進んで①②をやる
④前のページに戻って①で間違えた問題を解く
⑤それでも間違えた問題は書き出す
⑥5ページ分ぐらい①~⑤を繰り返したら総復習として全問解きなおす
⑦⑥で間違えた問題は壁に貼る
これを2周して覚えました。
大問別試験対策
ここでは、重要度別に大問別試験対策を紹介します。
まず全体を通して言えることは、漢検準1級は読み問題(含表外読み)が40点、書き取りが40点、四字熟語が30点の配点があり、大問的にはこの4つだけで110点、全体の55%と大きなウエイトを占めているわけです。そのため、時間がない人はまずこの4つの大問でしっかり得点することが重要になります。
大問一・二 読み(表外の読みを含む)
重要度 ★★★
読みは先述の通り配点40点です。内訳は音読みが20問、訓読みが10問、表外読みが10問の計40問、1問1点です。得点率は9割~満点を目指してください。ここで得た知識が大問三 熟語の読み・一字訓読みや、大問十 文章題の読み問題にも使えることがあり、さらに多くの得点源ともなることがあります。この読み問題は、量こそ多いものの比較的とっつきやすく、普段見慣れないであろう準1級用漢字に慣れるのには最適だと思うので、まずはここから始めてみましょう。
勉強方法としては、まず無料漢字練習の読み問題1,090問を全てやり完璧に覚えたあと、頻出度順を使って足りない知識を補充しましょう。表外読みは頻出度順の巻末に載っている表を覚えられれば尚良いです。音読みに関しては、準1級までの配当漢字は形声文字(漢字の一部が音読みを表している文字)が多いので、意外と初見で読めてしまうこともあります(菊・掬・鞠=キク、葺・輯・揖=シュウなど)。基本的に準1級の熟語は見たことも聞いたこともないようなものであるため、この時熟語の意味をなんとなくでいいので知っておくと後々楽です。訓読みは普通に覚えるしかありませんが、音読みで熟語の意味を知っておくことで漢字そのものの意味も理解でき、訓読みが想像しやすくなるかもしれません。表外読みは漢字こそ馴染みのあるものばかりですが、意味のわからん読み方をさせてくるので力業で覚えるしかありません。頑張ってください。
大問五 書き取り
重要度 ★★★
ここの配点も40点ですが、1問2点で計20問、最後の2問~4問は同音・同訓異字が出題されます。得点率は9割くらいを目指してください。読み問題よりは簡単な熟語が出ることが多く、「よく耳にするけど漢字で書けない」単語も多いです(ロウソク、ハシゴ、カンキツルイなど)。そのため十分な得点源になりますし、漢字が得意だったりクイズ番組が好きだったりする人はすんなり頭に入るかもしれません。ちなみに1級は全然そんなことないらしいです。
勉強方法は読み問題と同じで、まず無料漢字練習の書き取りと同音・同訓異字問題計420問を全てやり完璧に覚えたあと、頻出度順を使って足りない知識を補充です。読み問題と書き問題を先にやって準1級用漢字を読み書きできるようにすることにより、短い時間でも見たことのない漢字たちにじっくり触れる機会が作れると思っています。また、ここでの知識が大問十 文章題の書き取り問題にも活きるかもしれません。
大問七 四字熟語
重要度 ★★★
ここは配点30点です。空欄で示された四字熟語の上もしくは下の2字を、後のひらがなで書かれた選択肢から選んで漢字に直す問題が10問と、示された意味に合う四字熟語を後の選択肢から選び、傍線部の読みをひらがなで答える問題が5問からなっていて、どちらも1問2点です。得点率は8~9割を目指してください。準1級、というか漢検受検者は口を揃えて四字熟語が大事と言いますが、私もそう思います。というのも、出題される四字熟語のうち問題集に載っていないようなものは毎回1問~2問くらいしかないため、400個弱覚えれば確実に8割~9割取れてしまうからです。
勉強方法は、まず無料漢字練習の四字熟語問題270問を全て解いて覚え、その後頻出度順の四字熟語問題も全て解いて覚え、さらに巻末の四字熟語リストを意味も含め全て覚えることです。これでだいたいカバーできます。重要なのは、問題に出てきた上もしくは下の2字だけ覚えるのではなく、意味を見たら四字熟語を4文字全て書けるようになることです。こうすれば本番でどっちの2字を訊かれても対応できますし、意味も同時に覚えられます。意味は、その四字熟語ができたストーリーを調べながらやると覚えやすいかもしれません。
また頻出度順の問題パートで、意味から四字熟語を答える問題の語群の中には、上記3つのどこにも存在しない四字熟語がしれっと入っているので、余裕があればそれらも意味とともに覚えましょう。
大問八 対義語・類義語
重要度 ★★
ここの配点は20点、1問2点で計10問です。示された単語の対義語(5問)と類義語(5問)を後のひらがなで書かれた語群の中から探し、漢字で答える問題です。得点率は8割を目指してください。四字熟語ほどではないものの、同じか似たような問題が何問か出題されます。そのため四字熟語ほどは簡単に正解できませんが、重要度はそこそこ高いです。
勉強方法は、まず無料漢字練習の対義語・類義語問題200問を全て解き、足りない分を頻出度順で補強してください。無料漢字練習の問題数が少ないので、頻出度順もしっかりやりましょう。ここで肝になってくるのが、一単語にたくさんの対義語や類義語がある単語と、対義語を訊かれる場合と類義語を訊かれる場合がある単語です。一対一対応の単語(例えば全豹↔一斑)はそのまま覚えればいいですが、そうでないもの(例えば聡明・慧敏・犀利など↔迂愚・魯鈍など)は、「聡明」の$${\underline{対義語}}$$として「迂愚」が出る場合と「魯鈍」が出る場合もあれば、「聡明」の$${\underline{類義語}}$$として「慧敏」が出る場合も考えられます。このようなものは、語群のひらがなから漢字のイメージを想像できるようになると解けます。読み・書き問題で培ったスキルがここで活きてくるわけですね。
大問九 故事・諺
重要度 ★★
ここの配点は20点で、傍線部を漢字で書き取る問題が10問出題されます。1問2点です。得点率は8~9割を目指してください。
勉強方法は、無料漢字練習の故事・諺問題400問を全て覚えましょう。頻出度順は頻出度Cに目を通すぐらいでいいです。というのも、なぜかこの分野だけ無料漢字練習の問題バリエーションが非常に豊富で、しかも本試験で変な問題があまり出ないからです。故事・諺は四字熟語と違って意味は訊かれないですが、四字熟語と同じくその故事・諺ができたストーリーとともに意味も覚えれば覚えやすいかと思います。
大問三 熟語の読み・一字訓読み
重要度 ★★
ここの配点は10点、熟語の読み(音読み)とその熟語に使われている漢字の語義にふさわしい訓読みを答える問題で、音訓2問×5セットの計10問です。完答ではないので1問1点です。得点率は8割を目指してください。
勉強方法は、頻出度順の問題に載っているものは全て覚えましょう。この分野は問題の種類が多く、高得点を狙おうとするとそれこそ準1級配当漢字の音読みと訓読みを全て覚えなければいけなくなります。ただ、ここでも読み・書き問題で培った熟語の意味・漢字のイメージが使えます。そのため、時間がないなら多少手を抜くべきですが、くれぐれも読み・書きの勉強をするときに単語や漢字の意味調べを怠らないようにしましょう。
大問四 共通の漢字
重要度 ★
ここの配点は10点です。文章の括弧内に入る常用漢字1字を、後のひらがなで書かれた選択肢から選んで漢字に直す問題が5問出題され、1問2点です。答えが常用漢字なので、2級以下の漢字に対する知識が求められますが、答えるべき熟語が「常用漢字+準1級用漢字」で構成されていることもよくあります。
勉強方法はないです。正直運ゲーです。強いていえば頻出度順や過去問の問題を解きましょう。対義語・類義語問題のときと同じように、常用漢字に対しても語群のひらがなから漢字のイメージを想像できれば解けますが、かなりの語彙力と閃きを必要とするので、そう簡単に得点できません。6割取れればいいですが、上振れと下振れが激しいのでこの大問で点は取れないと考えたほうがいいです。
大問六 誤字訂正
重要度 ★
ここの配点は10点で、文章中の誤字を正しい漢字に直す問題です。1問2点、計5問出題されます。
これも勉強方法はないです。運ゲーその2です。たまに頻出度順の問題に似たやつが出るのでやっておきましょう。たくさん勉強した人なら、意味を考えながら注意深く文章を読めば一発でわかるような問題かもしれません。しかし、時間がない人にとっては読みや書き問題で学んだ単語や知っている単語が誤字になっているかどうかの運ゲーです。語彙を増やしましょう。得点率は6割ぐらいが目安ですが、大問四と同じく上振れも下振れもします。
大問十 文章題
重要度 ★
ここの配点は20点です。明治~昭和初期頃の著名な文芸作品から抜粋された文章中の漢字の読み、あるいは書き取りを行う問題で、読みが各1点×10問、書き取りが各2点×5問出題されます。
これも勉強方法はないです。配点が大きいですが、総合問題的な立ち位置なので、今までに学んだ漢字の集大成がここに表れます。まあ運ゲーといえば運ゲーです。ここまでそれなりに勉強していれば6割ぐらいは取れると思います。昔の文芸作品に独特な表現や言い回しに慣れておくといいですよ。
だいたいこんなところです。ここで示した目標得点率の下限を全部合計したらぴったり160点なので、こんな感じで勉強することができれば合格です。
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受かっての感想
2週間で漢検準1級に合格するなんて不可能だと思ってましたけど、意外となんとかなるもんですね。おそらく小学生の頃から漢字が好きで、難しい漢字にも触れていたから合格できたというのもあると思いますし、間違いなく問題運は良かったです。2週間の勉強で172点も取れるなんて、やっぱり準1級まではちょろいです。 さて、次は漢字検定の最高峰・1級ですが、そもそもこの準1級への挑戦は1級を受けるためにやったと言っても過言ではありません。ただ漢検1級というのは、前述した通り合格率は10%未満で非常にハードルが高く、過去に合格した人でも落ちることがあるほどの難易度を誇っています。よく考えてみてください。準1級までの漢字が約3,000字で、1級までの漢字が約6,000字ということは、10級~準1級の間に覚える漢字の量と1級で新たに覚える漢字の量が同じということです。しかも1級配当漢字はほぼ全てが見たことのない漢字です。つまり、今回のような勉強法で合格するのは限りなく不可能に近いでしょう。ということで、1級の勉強は1年かけてゆっくりやって、来年の10月ぐらいに取れればいいかな~という気持ちで頑張っております。
さいごに
文化庁が調査する「国語に関する世論調査」では、国語への関心があると答えた人は8割を超えました。しかし、関心がある点(複数回答)については、「日常の言葉遣いや話し方」が約80%と抜きんでていて、次点で「敬語の使い方」が50%弱、その次にやっと「文字の表記の仕方あるいは文章の書き方」が40%強と続いています(令和5年度)。この点から、やはり現代人は日本語を書くことよりも話すことに重きを置いていることがわかります。さらに、「情報機器の普及で言葉や言葉の使い方が影響を受けると思うか」という問いに対し、「思う」と答えた人が9割を超えました。その影響について、「手で字を書くことが減る」「漢字を手で正確に書く力が衰える」とした人がともに90%弱となりました(令和3年度)。この点からは、読めても書けない漢字が増えたと感じている人が多いという現状が読み取れます。実際、ネット上のブログを見ていても、pixivでSSを読んでいても、YouTubeで動画を見ていても、漢字の間違いを発見することがたまにあります。
パソコンやスマホなどの情報機器は非常に便利だし、私も今こうして恩恵にあずかっているため、これらが普及することは社会にとってとても有益なことだと思います。その反面で、これらは日本語という言語そのものによくない影響も及ぼしかねません。だからこそ今、全ての日本人に漢字の勉強、特に書く訓練が必要であると私は考えます。
先述したように、社会に出ると漢字を読み書きする機会は幾度となく訪れます。パソコンやスマホを使っていても同音異義語・同訓異字などは自分で使い分ける必要があります。表現力や造語力を鍛えるためには、漢字そのものが持つ意味やその漢字を使った熟語を学習することが不可欠です。加えて、繰り返し漢字を手書きすることは視覚・触覚・運動感覚などが複合してかかわり、脳の前頭前野を活性化させるという研究結果が出ています。また、日本語や漢字を知り習得することは、文化の継承という面でも大切だという考え方もあります。日本に住む者として、また日本人として、漢字を学習する意義・メリットというのはこんなにもたくさんあるのです。
英語や数学ができなくても日本では最低限生活できますが、漢字ができなければ日本での生活は成り立ちません。私たちが日本語を使い続ける限り、漢字は情報を伝えるために必要不可欠なものであり、それはデジタル化が進んでも不変です。身近すぎる存在だからこそ、絶対におろそかにできない勉強こそが漢字の勉強だと私は思います。
長々とした記事をここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。全部読んだあなたは、きっと漢字の重要性を理解していただけたことでしょう。さあ、あなたも教養のある人間として人生を豊かにするために、漢字検定を受けましょう!
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ありがとうございました。