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共感より結論!効率的な会議の進め方

会議における「共感型コミュニケーション」の問題点と対策

人間の会話には、大きく分けて二つの目的がある。それは「情報伝達」と「共感」だ。特に、女性に多いとされる「共感型」の会話は、相手の気持ちに寄り添い、話を聞くことそのものを目的とする。プライベートな会話ではこのスタイルが会話を円滑にし、相互理解を深める。しかし、これが仕事の場面、特に会議の場で頻繁に持ち込まれると、議論がなかなか進まず、生産性が低下することがある。

本稿では、会議における「共感型コミュニケーション」の問題点を指摘し、効率的な議論を行うための対策を考察する。


1. 共感型コミュニケーションの特徴

まず、共感型コミュニケーションの基本的な特徴を整理する。

  1. 話の結論よりも気持ちの共有が優先される

  2. 相手に共感を示すことが会話の目的となる

  3. 話の流れが直線的でなく、感情や細かい背景の説明が多くなる

  4. 「だよね」「わかる」「私もそう思う」などの相槌が多用される

プライベートでは、このスタイルが会話を盛り上げ、人間関係を円滑にする。しかし、仕事の場、とりわけ会議では、結論を出し、意思決定を行うことが目的である。共感型の会話が会議の場に持ち込まれると、話が本題に入るまでに時間がかかり、効率が著しく低下する。

2. 会議での「共感型コミュニケーション」の問題点

会議の場では、次のような問題が生じる。

2.1 話が長くなる

共感型の話し方では、細かい背景説明や感情の共有が多くなるため、結論に至るまでに時間がかかる。会議では限られた時間の中で多くの議題を扱う必要があるため、冗長な会話は非効率だ。

2.2 本題にたどり着かない

「共感されること」が目的になると、話の方向性が本来の議題から逸れてしまうことがある。例えば、あるスタッフが「最近、業務の効率が悪い」と話し始めたとする。本来ならば、「ではどう改善するか」を議論すべきだが、共感型の人が多いと、「そうだよね、最近忙しいよね」「私もそう思ってた」と話が共感の方向に流れてしまい、具体的な解決策が出ないまま終わる。

2.3 意思決定のスピードが落ちる

会議の目的は、情報を整理し、迅速に意思決定を行うことだ。しかし、「共感」ばかりが重視されると、意思決定が先延ばしになり、結果として何も決まらないまま会議が終了してしまう。

2.4 会議の無駄はコストの浪費

会議の時間はコストである。参加者全員の時間を無駄にすることは、企業の生産性を下げる大きな要因だ。相手の時間を奪っているという自覚が必要であり、仕事仲間は友人ではない。仕事の場では、効率的に議論を進め、迅速に結論を出すことが求められる。

3. 共感型コミュニケーションを仕事に適用する方法

では、共感型コミュニケーションの特性を活かしつつ、仕事の場での生産性を向上させるにはどうすればよいのか? いくつかの対策を提案する。

3.1 「話し方のフォーマット」を統一する

共感型の人は、話の流れが長くなりがちだ。そこで、「結論→理由→補足説明」の順で話すルールを徹底する。

例:

  • 「この業務の効率を上げるために、〇〇を導入すべきです。」(結論)

  • 「なぜなら、現在のシステムでは△△がボトルネックになっているからです。」(理由)

  • 「例えば、過去1カ月のデータでは□□の処理時間が平均X分かかっています。」(補足説明)

このようにフォーマット化することで、無駄な情報が削減され、スムーズに議論が進む。

3.2 議題の事前提出を義務化する

会議を効率化するために、参加者にフォーマットに則った文章で議題を事前に提出させることが有効である。これにより、会議の目的が明確になり、不要な話が減る。

具体的なフォーマット例:

  • 議題: 〇〇について

  • 現状の問題: 〇〇の課題点

  • 提案する解決策: △△の導入

  • 期待される成果: □□の向上

この方法により、会議の焦点を絞り、無駄な議論を防ぐことができる。

3.3 医療現場における共感と問題解決のバランス

医療現場では、共感が重要である一方で、最も大事なのは問題解決だ。患者に寄り添うことは大切だが、それだけなら医師でなくてもできる。しかし、正確な診断と治療方針を決定することは医師にしかできない。会議と同様に、医療においても「共感」と「解決」のバランスを取ることが重要であり、無駄な会話が診療の遅れにつながらないよう、適切に対応する必要がある。

3.4 制限時間を設ける

会議では、発言の時間を明確に制限することが重要だ。

  • 発言は1人2分以内

  • 話が長くなった場合、ファシリテーターが強制的に打ち切る

  • 「それで、結論は?」と途中で話を区切る

このルールを徹底すれば、無駄な話が減り、議論のスピードが向上する。

4. 終わりに

「共感型コミュニケーション」は、人間関係を良好にするうえで非常に重要な要素だ。しかし、仕事の場では「結論を出すこと」が最優先である。プライベートと仕事では、話し方を切り替えることが求められる。

会議をより効率的にするために、事前に議題を提出させることが、無駄な議論を防ぎ、迅速な意思決定を促す鍵となる。


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