「逆イールド」とはざっくり
借金の種類
借金には種類があって、すぐ返す借金と、時間をかけて返す借金とがあります。それぞれ借金なので金利を支払わなきゃいけないのだけれども
両者の金利は、一緒ではなくて、ばらばらで、かつそれぞれに変動します。
すぐ返す借金につく金利は短期金利で
長年かけて返す借金は長期金利です。
ふつうは、短期金利<長期金利となります。
なぜそうなるのかについてです。
経済成長
ふつうは経済は成長します。成長期の子供のように
経済という身体をつくるのに、身体のもとになるものを日々体内に常に取り込まないといけませんから、モノやサービスが成長期でない経済に比べて
必要となり、たくさん買われます。
物やサービスを買うのが、身体でいうと食べる行為に相当します。体内に取り込んで経済はさらに成長することとなります。
そうすると何が起きるかというと、モノやサービスの供給がだんだん追いつかなくなります。
ものが不足気味になるので、お金を余分に出すので、買わせてくれという人が現れるようになり、物の値段が上がります。インフレってやつです。
それは、逆に言えばお金の価値が下がったとも言えます。
したがって
成長している経済においてはお金の価値はどんどん下がっていきます。
金貸し屋の目線
経済成長してるときはお金の価値はどんどん落ちていくので
お金を貸し付けている側からすれば、貸してる間に
自分のお金がどんどん価値が下がっていくことになります。すぐに返すタイプの借金ならば
そこまで影響は大きくないけど、長年に渡って貸すとなると、目減りが
大きくなります。そうなっては、返済とともに金利をもらったとしても、損なのでたまったものではありません。
なので長期の借金には、インフレによる目減り分を想定して
その分金利を高くして損しないようにするわけです。
借りる側も、モノがよく売れるので品切れで機会損失が起きないようにするために多少金利が高くても
お金を借りて供給力をあげようとするので高金利でも妥協してその金利で成立します。
その結果 短期金利<長期金利 となるのです。
ちなみにこの大きさ関係のことを順イールドといいます。
将来経済成長→順イールドになる。
経済停滞
経済停滞期においては、何らかの理由で食欲が
落ちて、食が細く栄養が身体に入らないので余計弱るという悪循環に陥ります。
ものを買う意欲が無いので、売り場がほこりかぶった売れ残りだらけになります。
全く売れないよりは、値下げして少しでも、資金を回収しようとします。
そうするとこの場合は、お金の価値が上がります。デフレです。
この悪循環においては、お金は寝かしたら将来むしろ価値が上がるので
長期金利に上乗せする必要がなく、借りる人も少ないので、借りてもらえるように金利安くしますよと貸し手が妥協します。
その結果相対的に 短期金利>長期金利 となります。
これこそが逆イールドの状態です。
イケイケのアメリカ経済の陰り
歴史に残る世界的な、流行病が猛威を振るう中、各国は
経済を守るために本気モードの経済対策を行った結果
病の混乱とは裏腹にアメリカ経済は、絶好調な数字を叩き出してきました。
それがここに来て、陰りの兆しを見せています。
順イールドだったのが徐々に 短期金利=長期金利 に近づいているとのことです。イールド(金利)カーブのフラット化です。
つまり逆イールドに近づく方向に進行しています。