38億円前、海の中に誕生した生命は30数億年の間、単細胞から多細胞へ・・植物から動物へと進化をとげながらも海中にしか住めませんでした。陸上には太陽からやってくる生命に有害な電磁波(紫外線)が遮られることなしに地上に降り注いでいたためです。しかし、今から約5億年前にオゾンが出来始めました。オゾン層には有害紫外線を吸収し遮る働きがあるため、安全圏とな陸上へ初めて生命が進出できたのです。 ●オゾン層は太古の生命が30億年かけてつくったもの 現在、オゾン層は私たちの上空15,
皮膚は常に外界に接触し、酸素、紫外線、放射線、細菌、アレルゲン、有害化学物質等にさらされながら、生命を守るバリアの役割を果たしています。 皮膚表面は常に酸素にさらされていますが、紫外線を受けると角質中に存在する鉄イオンが触媒となり、猛毒の活性酸素が発生します。活性酸素は、皮脂膜や細胞間脂質を酸化させ、過酸化脂質に変えてゆき、肌の老化を進めます。 皮膚が強い紫外線を受けると、基底細胞にDNA損傷を引き起こすUVBの侵入を阻止するため、UVB到達より先にUVAが基底層ま
●修復と明日への備え 夜になり、私たちが家路につき、生命体が休むときも、肌は休みません。 まず、昼間防御のために活動し、ダメージを受けた細胞や酵素たちを癒してやらねばなりません。肌自らの力で、炎症を鎮め、DNAダメージを修復し、色素沈着を防ぎ、細胞の過酸化を防ぎ、元に戻らない異常事態が発生した皮膚細胞には死の宣告(アポトーシス:細胞の自殺といわれています)をします。 癒しの終わった肌は活力を回復し明日に備えます。 私たち生命体が深い眠りについているとき、肌は活性化
私たちの目は大脳に直結していて、外部の環境を的確に捕らえ情報として大脳に伝達しています。 しかし、大脳では認識されないミクロの外敵や環境を常に監視し見張っている目があります。これが『皮膚の目』です。 例えば、蚊に刺されれば直ちに手で払いますが、ばい菌やウイルスが侵人しても大脳情報系では認識出来ないため手は動きません。しかし、「皮膚の目」には捕らえられ、免疫系が出動して追い払います。 太陽光のうち大脳の目で認識できるエリアは波長で800nm(赤色)から400nm(紫
この化粧品は「自然」ですか?ときかれたとき「いいえ反自然です」と答えたいところですが、あまりに唐突でびっくりされるため、普段は「もちろんですよ」と答えています。 「自然」を思いつくままに表現してもらうと、多くの人は「山すそに開けた田園風景、小川のせせらぎと土手に生えたつくしやタンポポ、見渡す限りの緑の丘陵、のどかに草をはむ羊の群れ・・・」などを想像されます。 この想像風景、実は本当の自然ではないのです。実は、人間自らが都合の良いように変えてきた「反自然」の風景なのです
化粧品は根本的に腐ったり雑菌が繁殖する材料で作られているものなので、そのままにしておけば必ず腐ってしまいます。そのため腐敗防止のため『防腐剤』が配合されています。防腐剤としてよく使われるのは『パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)』や『フェノキシエタノール』などが有名です。 ●防腐剤と刺激 実は『防腐剤』と『肌刺激』には関連があります。なぜならある意味では『防腐=刺激作用』だからです。雑菌の繁殖を抑えて場合によっては殺菌する程度の効果を持つということは、刺激性を持つ可
防腐剤(殺菌剤)は医薬品、医薬部外品、化粧品、食品及びあらゆる生産物を菌(微生物)やカビかの影響から守り、その汚染された製品を使用することによって生じる害から消費者を守る目的で使用します。 殺菌は菌を死滅させ、防腐は菌の増殖を防ぎます。その目的のために使用する製剤は同じ物質であり、濃度の高いものを殺菌剤、低いものを防腐剤として使用します。 ●防腐剤の役割 単純に考えれば菌(微生物)を殺す殺菌剤を選択し、製品に添加するだけのことですが、人体に対し使用する製品における防
水と油は混じり合わないもの、相反するものの代表ですが、水と油の関係は字宙と生命の壮大なドラマの中で展開された生命優位の結果なのです。 石油も含め地球Lに存在する油の全ては生命が造りだしたものです。 一方水は宇宙で出来ました。 字宙は150億年前ビックバンと呼ばれる大爆発から誕生しました。 開闢の始まりは全てが光でしたが、やがて電子が原子核にとらえられ、最初に出来た物質が水素とヘリウムでした。 時を経て初期の星の中で酸素や炭素などの軽い元素が出現し、さらに水素原子と
化粧品に関わる上でお世話になったある方が、「水」に関する考察を披露してくださったことがありました。 今回はそれをご紹介させていただきたいと思います。 ********************************************************************************* ●日本は資源大国 日本国土には毎年約7千億トンの水がタダで降ってきます。日本は石油や鉄鉱石などの資源は無いかもしれませんが、実は膨大な「水」資源国なのです。 石
「自己」とは何か、の問いは、つい最近まで哲学の問題でした。 人間は考える葦である(パスカル)、我思う故に我あり(デカルト) 哲学では、人の意識の中に自己があり、意識を決定する大脳に自己を決定する機能があると思われていたのです。 しかし最近の生命科学によって、この問題が解決されました。 あらゆる自己でないものから自己を区別し、人のアイデンティティを決定しているのは大脳ではなく、免疫系だったのです。 大脳は意識によって免疫系を拒絶することが出来ませんが、免疫系は
38億年前、生命は海で誕生しました。以来30億年、生命は海にしか住めませんでしたが、やがて上空にオゾン層ができ、有害紫外線の大部分をカットしてくれたおかげで5億年前、ようやく生命は海水から陸上に進出できました。この時、生命は身体の中に「海」を持って上がってきたのです。 私たちの体重は約70%が水で、血液など体液の無機イオン組成が海水のそれと似ていることは、生命が海で誕生したときの海水の組成のなごりとも言われています。 今、私たちの身体は皮膚という容器の中にたっぷり「海
「表皮」は通常0.1~0.2ミリの厚さで全身をくまなく覆っています。 表皮の下には基底層といって角質を造る細胞がずらっと並び、頬1ミリ四方に細胞は約1万個あると言われ、立体的に並んでいるので、少なくとも30~100万個の細胞がその上に積み重なっているわけです。 この表皮中の細胞は外界の環境に対応しながら機能を果たしています。 そのため表皮の上につける化粧品は細胞維持に必要な環境に大きな影響を及ぼします。 化粧品で良い環境をつくってあげるということは、細胞が生き生
スキンケアとは、お肌の様々なトラブルを未然に防ぎ、美しく、若々しく、艶やかで、潤いのあるお肌を維持することです。 そのために必要なスキンケアの基本は、第一にお肌を清潔に保つこと。第二にお肌のバリアを正常に保つこと。 お肌には周囲の環境から付着した汚れや自分自身の老廃物に加え化粧品などの塗布物など様々なものが付いていますが、しっかり一日の終わりにこれらを落とさなければ、これらの汚れがお肌の刺激となったり、感染の原因となる場合があります。さらにこれが酸化することでお肌の老
「化粧品」は、薬機法という法律に「人の身体(皮膚又は毛髪)を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え穏やかに保つため、身体に直接塗布するもので、作用が緩和なもの」と定義されています。 よく読むと二つの要素が混在していることに気がつきます。 一つは「美化し、魅力を増し、容貌を変える」。すなわち美しく変貌させる=化ける装い=メイクアップ化粧品です。 二つ目の要素は「清潔に、健やかに保つ」。健康に装う=スキンケア化粧品です。「化粧」の文字からはこの一つ目の定義のみを連想し
私たちが、美しい光景を思い浮かべるとき、新緑の山々や青い空、岩を分ける谷川の清流、湖面に映る雪山の輝きなど、思い浮かぶ光景は常に健康的で人にとって住みやすい環境ばかりです。どんよりと雲に覆われた空や黒くよどんだ川面を見て、脳は決して美しいとは感じないものです。 人の美を表現する言葉は「美人」「美肌」「美容」「優美」「美白」なと数々ありますが、これらはすべて人の皮膚を見た時に脳が感じる表現で、健康的な肌を美しいと認識するのです。病的で不健全な肌を脳は決して美しいとは感じま
「化粧品」を一言でイメージしたら、どのような表現となるでしょう? 男女、年齢によってさまざまでしょうが、「夢」「美」「憧れ」「身だしなみ」「女性」「端正」「成人」など、女性の持つ一般的なプラスイメージから、それとは裏腹に「化ける」「女狐」「色香」「うわべ外見」など男性が抱きがちなマイナスイメージも存在しています。 このマイナスイメージには「化粧(化ける装い)品」という文字と解釈に問題がありそうです。日本語ではもともと紅白粉などで顔をよそおい飾るものを化粧品と称したの