「人と会う約束、仕事、なくなりて静かな三月、四月、来月」 by京大生もーりー#7
VFBA✖︎ジブン episode1 紡ぎ手: もーりー@京都大学
人と会う約束、仕事、なくなりて静かな三月、四月、来月
この31字に込められている想いや情景を、みなさんもありありと思い浮かべることができるのではないだろうか。俵万智さんの最新の短歌集『未来のサイズ』で印象深い一首だ。
僕が短歌や詩といった散文に触れてみたいと思うようになのは、この「空白の数か月」がきっかけだ。コロナによって生まれた時間は僕にとって、自分の想いに向き合い言語化する貴重な時間になった。今まで触れてこなかった純文学や料理に挑戦する機会にもなった。
しかし、コロナの到来により日常に変化を強いられることになったのも事実。部活の練習が再開するまでに半年。対面授業はいまだに再開していない。祖父母とは感染リスクの観点からなかなか会うことが叶わない。
もちろんこれらは、僕にとっての身近なことだ。仕事や生活に直結する影響を受けた人。新生活を心待ちにしていた人。僕の想像を超える様々な世界で、コロナの影響を受けている人がいる。
ニュースや新聞、SNSで、コロナによる影響を僕は知っている。しかし、僕が知っていることは「事実」や「データ」にすぎない。失業率が。感染率が。それによりオリンピックが。内閣支持率が。僕にも知っていること、見たり聞いたりすることはたくさんある。しかしどれも、個別具体的に生きる人を捨象した数字や情報として僕の頭の中をすり抜けてしまうのだ。
そんな中、「コロナによって前提の変わった」農家さんとの出会いがあった。VFBAの今月の企業さん野口ファームさんとのご縁だ。緊急事態宣言がでた三月。そして、約束や仕事がなくなりて静かな四月、来月。淡路島の農家でもコロナ禍の衝撃に直面していた。営業できない飲食店。しかし、野菜は順調に栽培され収穫されていく。野菜はどうなるの??
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野菜は無事出荷することができた。しかし、このコロナによって収入源が偏っていることの危うさが浮き彫りになった。野口ファームでは、野菜と米を主に出荷しており収入源となっている。コロナという予測不可能な危機が訪れた時、出荷先である飲食店が営業できない影響から買い手が突然消えてしまった。幸いにして、今回は買い手を見つけることができたが、そもそもの脆弱性を感じる機会になったのだ。
そして、野口さんから出された課題の一つがこれだ。
「野菜の栽培以外での利益のあげ方を考えること」
コロナによって明らかになった問題意識。コロナによって変わった前提。その一端を僕たちは担うことになったのだ。僕たちが取り組む対象は、無機質な数字や字面ではない。そうではなく、顔がはっきりと見える人のためのプレゼンをするのだ。遠い世界のままかもしれなかった農業の世界を自分事として捉える。考えて、表現する。僕にとって、とても幸せなことなのだと思う。
1期生 もーりー
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