重篤な依存者が意志の弱さについて改めて考えてみた

アルコール依存性には歴史があり、貧困、体質や性格、感情、習慣、精神的な弱さなど、さまざまな原因解明が行われ、医学的な原因の主張は時代の変遷と共に変化してきました。
そこで今回は、原因の一つとされてきた精神的な弱さの中に含まれる意志の弱さについて改めて考えてみたいと思います。

そもそも、意志に強弱ってあるのでしょうか?
意志自体は誰にでもあると思います。では意志に強い弱いってあるのかなということ。
結論、僕は意志の強弱は自信の有無からくることなんじゃないかなと思います。自信は意志があって行動した結果生まれますよね。行動する意志があり行動した結果、成功したのか、失敗したのか。この成功と失敗が自信の強弱を生み、すなわち意志の強弱になるのではないか。とすると意志の強弱は結果論なわけで、意志自体に強弱はないですよね。意志があり行動した結果、成功し自信がついたので意志が強くなった。反対に意志があり行動した結果、失敗し自信がなくなったので意志が弱くなった。ということは、意志の強弱には行動と自信の結果が伴うということに帰結します。
しかし、こう考える人もいるかもしれません。
行動と結果が伴わない意志もあるのではないかと。いわゆる「根拠のない自信」的なやつです。
「とりあえずやってみます、なんかよくわかんないけどやりまーす」みたいに、とりあえず行動してみる根拠のない意志の持ち主。
こういう人は、過去に行動と結果が伴った自信の蓄積がある人です。初めてのことだけど、過去のあの経験があるから今回も大丈夫だろうといった自信です。反対に、過去に行動せず実績のない人は「根拠のない不安」を抱きます。

さて、ここから本題に入りたいと思います。
アルコール中毒になり依存者となった人は意志が弱かったからなのでしょうか。
反対に、アルコール中毒にならない健常者は意志が強い人なのか。
先述した意志の強弱の結論からこの問いを考えると、アルコール中毒に至るまで飲酒を繰り返し行動した結果自信がついた。すなわち意志が強くなった。飲酒行動を繰り返した結果、飲酒、そしてアルコールへの耐性ができた。つまり、アルコール依存者は意志の強い人だったのです。
健常者の場合は、アルコール中毒になるまで飲酒行動を繰り返しません。行動する意志はあるけど、中毒に至るまでの耐性がないので重篤な依存者にもならない。飲酒行動の繰り返しの経験が依存者に比べ少ない健常者は、依存者よりも意志が弱いということになります。

ここで改めて意志の強弱について考えてみたいと思います。僕は精神科病院に三度入院経験があり、「アルコール依存症は意志が弱いからなる病気ではありません。」と教わった記憶が今でもあります。ですが、病院で教わったことと、いま僕が出した意志の強弱についての結論は全く違う観点からの結論かなと思います。
意志についての考え方として、意志の強弱には行動と自信の結果が伴うと結論づけました。
大切なことは意志の強い、弱いではなく、自分が意志の強い人間なのか。弱い人間なのか。ということを理解することです。前述したように意志自体は誰にでもあります。意志の強弱は個人の経験値、実績に値する。意志の強弱の特性を理解できれば、アルコールに対しての向き合い方も変わってくるのではないか。実は、この記事を書いている最中にアルコール依存者は意志の強い人だったんだ。と僕自身が気づきを得ました。

意志の強い人は強い人なりの解決策を見い出す。意志の弱い人は弱い人なりの解決策を見い出す。
そして実際に行動した結果が新たな自信を作り出し、新たな意志が生まれる。この意志の構造の特性を理解することで新たな知見が生まれれば幸いです。

それではまた

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