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新規事業心得

〜創業のススメ〜

今までの仕事業を思い返し、新規事業についての気づきをまとめてみました。
新規事業に携わる方、創業を考えている方の参考になれば幸いです。

Contents
1.企画発案
2.市場環境
3.自社環境
4.成功のストーリー
5.成功判断の時期
6.成功事例の活用

1.企画発案

 新規事業における第一歩にし重要な活動は、企画発案であるといえる。
アイデアを日常生活の中で、生み出しそのアイデアを膨らませて、そのアイデアの可能性を見つめカタチにしていく。

この段階では、自由な発想を優先し、発想自体に規制を加えないことが重要と言える。この時点で、現実的な規制を当てはめ出すと、企画発案に無限の可能性は消え失せて万人が想像できる程度の陳腐な企画となり果てる。

つまり、企画発案とは、何の規制もない自由な発想の中で、醸され発展性を生み、誰もが想像し得ない領域の事業計画が生まれる。
何かを生み出したいと願うなら、このプロセスを大切にしたいものである。

2.市場環境

 新規事業の事業領域に関する、市場環境を調査することは、企画発案した事業が発展可能なものか、事業規模がどれくらいになるのか、計画するための重要な活動といえる。

その企画発案の市場がまだ存在しない場合は、近似するビジネスモデルの市場環境を調査することで、市場を予測する。

市場環境の調査のポイントは、総務省統計局のデータの中から参考可能なデータを抽出する。または、富士総研の業界データを活用するのが、一般的な方法であるが、業界データの詳細は、業界関連企業内のデータを抽出するのが、より正確で現実的なデータ活用となる。

市場環境を分析し、環境規模を理解し新規事業としての具体的なシェア獲得のストーリーがこの段階では重要で、そのストーリーづくりが論理的整合性と相反する夢のあるストーリーであるかが肝となる。この点については、次章以降に解説したい。

3.自社環境

企画発案して環境を調査したら、次は、現実的な自社環境認識が重要となる。事業計画を立案するに当たって、自社の環境を理解していないと、事業がスタートしてから、理解不能な問題に出くわす。

何故、新規事業が必要なのか、何をもって事業成功と言えるのか、本当に現時点でこの事業が必要なのかと、ここでは、現実的に自問自答して活動を進めて行くことが重要といえる。

この時点で、多くの新規事業担当者は七転八倒し、企画発案した頃の情熱を失い、事業計画の問題点ばかりを探そうとする。担当者が持つ日本的責任感、成功しなかった時の自身の立場、責任の取り方と、およそ、新しい事業を、自社の今後の発展のために成し遂げるという行動力がここで失速するケースが多い。

それでも発案した事業計画を信じ、冷静かつ大胆にこの計画を実行していく者にのみ、成功という果実が与えられる。

何も生み出さず、他者を批判する者が、組織に溢れている状態では、その組織は崩壊の道を進むこととなるのは歴史的に知られている事実である。

4.成功のストーリー

ここで、原点に帰ろう。
何故、新規事業が必要なのか。その成功のストーリーとは何か。
ここに、事業計画に大義名分が必要な理由がある。

その事業が持つ大義が、担当者の活動にチャージしてくれる勇気を与える。そして、パワーアップした担当者は、勇気の伝播者となり、その事業がもたらす夢を、成功のストーリーを語れる人となる。

この担当者のストーリーが、多くの賛同者を生み出し自然と協力者が集まり始めた時点で、事業計画は成功の一歩を踏み出すことになる。
この事業計画に関わるすべての人が、この事業について熱く語れる時、この事象が、よく使われる「コンセプト」の本来の意味である共通認識となる。

新規事業が、自社が獲得していなかった新しい顧客層、新しい市場を生み、売上、利益ともに本体事業に大きく貢献する。

自社の従来顧客層の生活向上に役立つ新規市場を生み出し、顧客の囲い込みに貢献し、売上、利益ともに本体事業に大きく貢献する。

あるいは、本体事業とは無縁ではあるが、高い利益率を生む新規事業として、売上、利益ともに本体事業に大きく貢献する。

ストーリーはそれぞれ違うが、新規事業が本体事業に貢献し、企業の安定成長のささえになれば、成功のストーリーとして社内を活性化する原動力になることを経験上、お知らせしたい。

5.成功判断の時期

事業計画を具現化する。計画通りに順調に事業が進行する。
あるいは、計画通りに進まず、予想していなかった問題が発生する。

計画通りに進めばいいが、多くの場合は、計画通りに進まず対応に苦慮する。計画が甘かった、市場と乖離していると、多くの批判が担当者に集まる。何故、こうなったのか、どう対処するのか、責任を取れとまで担当者は追求される。
ところがである。

この事業計画は、担当者が独断で、勝手に会社の金を使って適当にやったのではない。企業である以上、事業計画を承認し決裁したのは、経営陣でありその責任を担当者に押し付けるような企業に、この後、決して新規事業は生まれない。その顛末を、担当者以外の組織に属するすべての人が見ているからである。

本当に、企業の将来の屋台骨の1本にしたいと思うのであれば、担当者を信じ、問題点の対策を講じ、軌道修正を理解し、最適軌道に乗せる担当者を支援し、事業化の芽が出るまで、せめて起業から1年くらいは見守る覚悟が必要である。

それくらいの覚悟がないなら、はなから新規事業には手を出さないことである。

6.成功事例の活用

企画発案し、事業計画化し、順調に成功を収めた事業は、
直ぐに、成功ビジネスモデルとして、標準化し成功パターンを整備して、拡大展開を目差す。

資金的な余裕があれば、資金を投じ規模拡大展開を進め、資金的な余裕がなければ、ビジネスモデルとしてフランチャイズパッケージ化し、そのモデルの権利を販売するFC事業展開で、日本全国に店舗展開することもできます。

そして、自社の経営安定化に新規事業が貢献したその効果を内外に知らしめることが企業の信用創造上、きわめて重要な活動であると考えます。



あとがき

近年、企業における新規事業の成否を、3ヶ月、半年と『 短期間で結果を出せ』と担当者に伝える経営者をよく見かけるが、3ヶ月で結果の出る事業に大したものは生まれないと私は思う。

以前、大塚製薬の課長と話した際、「新規事業ブランドを立ち上げたら、その事業の売上が1本行くまでその事業を見捨てず投資します。」と聞いた事がある。
私が、「1本とは、いくらですか。」と尋ねたら、「100億です。」と即答された。

ご存知の通り、大塚製薬には、ボンカレー、オロナミンC、ポカリスウェットとロングセラー商品の開発で有名である。

人々の生活に役立つ素晴らしく夢のある事業が生まれる事を期待して。

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