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隻眼の紅蓮丸〜りたあんずの章〜振り返り②スタッフワーク

○スタッフワークについて
ここでは舞台に関するスタッフワークについて振り返ろうと思います。
とは言え、劇団Z・Aは照明と衣装は専属スタッフがいるため、俺が何かすると言うことはほぼなく、イメージやビジョンを伝えてあとは自由に作ってもらうようにしています。
照明も衣装も長年一緒にやっている団員なので、ある程度「隻眼の紅蓮丸」シリーズの世界観は理解してくれているので、今回もそれほど大きな要求はしなかったかなと思います。
衣装に関しては、「隻眼の紅蓮丸」としては珍しく外国人が出てくるので、そのイメージを伝えたくらいでしょうか?照明に関しても、切り替えのタイミングなどは打ち合わせでも会場でも何回も確認して役者・音響と息を合わせる時間をとりますが具体的な照明の使い方は任せています。
なので、今回俺が主にやったスタッフワークは「音響」「舞台セット」でしょうか。
□音響
Z・Aには音響スタッフも在籍しているんですが、現在は体調不良で療養中のため不在。なので、オペレートは外部の方にお願いして、プランや設営は全部こちらでやると言う形をとりました。
自分が企画する他劇団やプロデュース公演などではこれまでも何回も音響プランを担当したこともありますが、Z・Aで担当するのは本当に久しぶり。おそらく15年以上やっていなかったんじゃないでしょうか?なので今回の音響の雰囲気の違いに気づいた人がいたらものすごいZ・Aマニアか、音響のスペシャリストでしょうね。いつも担当していた団員ほど細かい音の流し方や切り方、スピーカーの配置やゲージの調整などまでは手が回っていませんでした。
俺ができるのは無限に存在する音源から選曲をすることと、立ち回りのSEを打ち込むことくらいでしたね。
で、音響プランに関しては俺はいつもテーマを決めてから探し、決定していくのでそれほど苦ではなかったです。今回の「隻眼の紅蓮丸」でいくと作品の世界観的に「和風」の曲と「BLEACH」の曲を軸に選曲していきました。音響のコンセプトを決めておけばある程度統一感が出せるので、ここは自分的には大切かなと思っています。
「和風」に関してはこれまでのシリーズでも使用していた楽曲も使いながら新しい曲も稽古中に何曲も合わせながら役者の演技とマッチするかを確認していきます。台本とにらめっこだけしていても意外と役者の演技がハマらなかったりするし、逆に音響に影響受けすぎて役者の演技がぶれてしまうこともあるからですね。もちろんいい方向に転がる場合もあるので、こればかりは稽古場所で流してみないと本当に分かりませんね。曲をINするタイミングも頭で考えていても、稽古場所で合わせた時に変更することが多々あります。
「BLEACH」の曲に関しては、今作がアニメ「BLEACH」オマージュが取り入れていたので、それなら曲も行っちゃおう、と。世代の人には曲で刺さるので。実際、音響でクスクス笑ってくださった方も多かったらしいです。ありがたいですね。
ところで、音響に関していろんな方とお話をするとよく「歌入りの曲は劇中では使用しない」と言う考えの方も多いと思います。それはそれでいいと思いますが、俺は容赦なく採用します。
これはもう好き嫌いや感性の問題なので、気にしていないんですが昔から演劇よりもアニメや映画を見て育ったので(演劇と出会ってからも)そっち寄りの音響の使い方になるんですよね。
アニメや映画ではクライマックスやいいシーンでメインテーマが流れたり、エンディングテーマがかかり始めてそのまま芝居続いてエンドロールやスタッフロールまでいく場合があるじゃないですか?俺その演出がとても好きなので、演劇でも昔からその使い方をしているんですね。
なので、今回もラストに行くにつれ「歌ありBGM」が多くなりました。
俺にとって「歌ありBGM」のメリットは「芝居の展開と歌詞がピタリとハマる瞬間がある」と言うことですね。セリフだけで表現できなかった部分を歌詞が補填してくれるというか、より想像を膨らめてくれるというか。
今回で言うとラストのシュウとバンの別れの回想シーンが終わった時に流れてる「Re:pray」の歌詞がちょうど「恋しくてただ恋しくて、でも望んでいた場所はここじゃない」と言う歌詞が無言の中流れるんですが、実はすごい好きなんですよ。シュウ、ヒヤの心情が現れているとも取れるし、バンの後悔が感じ取れる方もいらっしゃるかも知れません。
総じてこういう小さなこだわりは気づかない人が多いんですが、それでもいいんです。製作側の自己満足的な部分もあるんで。もしかしたら気づくかな?と言うささやかな楽しみ方です。
□舞台セット
セットに関してはZ・Aは基本的に大掛かりなものは仕掛けないので、あまり参考にならないと思いますが、振り返りなので書いていきます。
まず大掛かりなセットを作らない理由としては、前提として「俳優が動き回る芝居」を創るので舞台上に物をあまり置きたくないと言うことがあります。あとは普通に予算的な面や倉庫の問題などが挙げられるのですが、いろんな場所で公演を打つことを想定している団体なのであまり大掛かりなセットとは縁がなさそうです。いつかタイミングがあってそういう公演も打てたらいいですね。
趣味で言えば、俺は抽象的なセットが好きなので今回使った赤い枠程度が好きですね。
今回作ったのはその赤い枠(柵)位ですかね?あとは平台と箱足を使って台を組み立てただけなので。作ったのも今回は俺ではなく、衣装の木村が作ってくれました。今回人手が足りなくて、俺がセットまでやっている時間がなかったのでお任せしたんだけど、赤い枠はイメージだけ伝えて、ミニチュアで何パターンか作ってもらって大体の形を決めてもらいました。
なんだかんだ結構好きなデザインになったと思います。少しずつ数を増やして舞台をあの抽象的な赤い枠で埋め尽くせたら面白いなとも思っています。
□照明
照明に関しては先述したように基本は団員に任せています。ので、俺が口出しするのは明るさや、色味、アクティングエリアとの兼ね合いなどの当日だけですね。あとは一番打ち合わせするのは暗転明転や照明変化のタイミングなどのきっかけについてが多いです。
演劇はリズムが大切だと思っているので、こちらも音響同様役者との呼吸や、観客へどんな意図を伝えていくか、が大切だと考えています。どれだけ場面の雰囲気を残すのか、それともしっかりと切り替えていくのか、それが出来るのが音響と照明の力だと思っています。
これは当日オペだけだとなかなか伝えづらいのでやはり常に稽古場所にスタッフがいるZ・Aの強みかなと思います。
□小道具
小道具に関しては毎回Z・Aメンバーで手分けして作ったり集めたりしていますね。役者の粥川が手先が器用なので色々と作ってくれたりすることも多いです。
今回は都は異国の文化が入ってきていると言う設定だったので、比較的集めやすかったですね。なかなか和風のものだけで統一しようとすると結構難しいんですよ。
椅子とテーブルも出てくるんですが、これも全部俺の私物を活用しました。一つすごいなと思ったのは、コーヒーを飲んでる設定だったのでおしゃれな紙コップを用意してもらったんですが、そのコップをどうやって処理しよう(はけさせよう)かって話になった時に、アンサンブルのみんなで余った磁石を使って、コップに磁石を仕込んで椅子の足にくっつけてそのままはけさせると言うアイデアを出してくれて感心しましたね。考えていなかったので、だいぶ助かりました。
人がいればそれだけ発想も出てくるのでやはり仲間の力は偉大ですね。
あとは、お約束(では困るんだけど)今回も本番中に俺の刀が折れましたね。怪我や客席への被害などはなかったんですが、結構頻繁に起こるので改善したい点です。トラブルは慣れているし、折れてもアドリブで立ち回りを続けることはできるんですが、いつか事故が起きるかもしれない危険性を孕んでいるのでここは早急に改善していきたいと思っています。
□衣装
これもスタッフに丸投げですね。俺が口出すのは色のバランスと完成形を確認してフォルムのチェックくらいですかね。完全な新作の場合はある程度衣装のイメージやモデルの提案などはしますが、紅蓮丸シリーズは先述した通りある程度世界観が伝わっているので改めて擦り合わせることはないですし、俺はデザインやファッションのことはあまり詳しくないのと木村の作る衣装の評判がいいので任せています。


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HIROKI KIDA
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