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川瀬巴水『東京二十景』をめぐる①


はじめに

各所で展覧会が開かれているので、美術好きであればこの名を聞いたことがあるでしょう。
私が川瀬巴水の作品と初めて出会ったのは府中市美術館の展覧会「映えるNIPPON 江戸〜昭和 名所を描く」でした。
当時、和田英作や川瀬巴水の作品を見たときは大衝撃で、こんな鮮やかな色彩で日本の風景を描く人がいたのか!と、絵の前で足が動きませんでした。

それからはすっかり新版画の虜となり、散歩の楽しさを知り、タイトルのようなことをしちゃっている。

川瀬巴水『東京二十景』で描かれた地を歩こう!という企画(?)です。

『東京二十景』とはどんなものなのか、全てがまとまっているサイトは見当たらないのですが、気になる方は横浜美術館サイトの『芝増上寺』を参照ください。

なぜ『東京二十景』を巡るのか

きっかけは本当に単純で、川瀬巴水の作品を見るとまるでその景色の中に自分がいるかのような気分になり、実際にその地へ赴きたくなるからです。
プラスで言うと、東京が一番行きやすく、各所への距離が近いから😂
いつかは東海道の方へも進出したいなとも考えており、それまでの準備ということで、『東京二十景』を選びました。

また、これは散歩を始めてから気づいたのですが、川瀬巴水が巡った東京の足跡をこの令和に追うことで、その土地の歴史を感じたり、令和版『東京二十景』ができるのではないか!?というワクワクも、散歩のモチベーションになっています。
この後の写真を見ていただければ分かっていただけるかと思うのですが、川瀬巴水が描いた街と、現在の東京は本当に違うんですよね。
地平線が見えている絵画と、ビルが立ちはだかる現実。
その差にも美しさを感じております。

その興奮が伝わるといいな〜・・・🤲

今回の追跡

秋葉原〜御茶ノ水〜皇居

※すべて徒歩です

秋葉原駅

神田神社(『神田明神境内』)

聖橋(『御茶の水』)

平川門(『平河門』)

桔梗門(『桔梗門』)

桜田門(『桜田門』)

桜田門駅

休憩なしで歩き続け、最終的に一万歩行ってました!


神田神社

秋葉原の喧騒を抜け、少し坂道を登った先にある、神田神社。
初めて訪れました。

結構大きい神社みたいで、結婚式やってました!
神社で結婚式も趣あっていいな〜素敵だな〜と横目に拍手を送りつつ、『神田明神境内』の景色と同じ場所を探します。
『神田明神境内』をご覧になられると分かる通り、この絵は神社のさらに奥まで景色が広がっていて、雲とも近く、"何もない"んですよね。神社以外は。

最初は画面左にある大きな木2本を頼りにぶらついたのですが、それらしいものはなく。。
正確に言えば木はあるけど、こんな立派で大きいものはなさそう。

マップを見ると、どうやら御神殿の裏にも小さな神社がいくつかあるっぽい。
駐車場の先に進むと。

あ!木の横にある白いもの発見!!!

画面中央に同じ形のものが!

うーーん、本当にこれが同じものなのかは不明だけど、ほかにそれっぽいのがない。
でもこの奥にある鳥居の先は、絵画と同じく高台になっているんだよね。
だけどそれ以上に高いビル等あるので空は広く拝めません。

東京大空襲による再建があったとのことなので、過去史料を漁ればもしかしたら近い写真に出会えたかもしれないですね。
資料館があったらしく、また訪れる機会があれば寄りたいところです。

確認できたので、続いて御茶ノ水へ。


聖橋

『御茶の水』は川を見下ろした画角になっており、まあ神田川かな、という予測で御茶ノ水駅近くの聖橋へ。
・・・と行きたかったのですが、行き方を間違え、橋の下に来てしまいました( ;  ; )

駅構内が見える

今思えば、東京でこんなに雪が降っているのは珍しいですよね。
屋根の形も三角型から平型のもの(というよりはビルだよね、やっぱり。。)が増え。
というか駅になり。

ちゃんと当時の地図も見て行ったら正確な場所が分かったのかなーと思いつつ、次へ行きましょう。

皇居まではまっすぐ下って30分ほどで到着します。


平川門

楽器屋が立ち並ぶ御茶の水を通り抜け、皇居を半周して3つの門を見に行きます。
まずは平川門。

朝焼けかな?この空のグラデーションと、川との若干の色味の違いが良い。
そんで今更だけど、これが版画ってマジ・・・・????(白目)
技術がエグすぎる。これだから版画は好きだ。

空と川の色味の違いは再現ならず

橋の色が違う!!!!
ご立派な門は変わらず、橋の色が茶色から白になっている。
千代田区観光協会によると、現在の橋は昭和63年に改修されたものらしく。
そのタイミングなのかなあ、でも原型を留め今もなお残り続けているのは素直にすごい。
門についても木々が増え全容が見えなくなっているのも時代を感じられますね。


桔梗門

そのまま南下し桔梗門へ。

理由が言語化できないけれど、この絵の色合い大好き!!
散歩したらすっごく気持ちよさそうな気候に見える。
できる限り画角を一致させたくて頑張った結果がこちら。

どうでしょう、水面に映る門や木々もちょっとそれっぽいのでは???
もっと天気のいい時間に来ればよかったな〜。
にしても、写真とほぼ変わらぬ絵画、すごい。
そろそろ寒くなってきた。桜田門までも意外とかかるけど、ここで終わったら本当にもったいないので、ひたすら歩き続けます。

桜田門

せっせと20分弱は歩いた気がする。もうこの頃には手に持つ「あったか〜い」お茶も緩くなり、カイロにできるものもなく、限界が近い。
本当は東京駅を越えて京橋まで行きたかったけど断念。
最後は桜田門を実際に通り抜け、写真を撮りました。


これは・・・画角が違うのか?門に続く道が絵画より若干太い気がする。
うーんでも、反対側から見ると同じように石積みの橋ですね。

もっと左に進めばより近い画角で撮れたのかなー、悔しい!!
そして、絵画の方の時刻はいつ頃なのだろうか。暗いけど、水面には門が反射している。明け方なのかな?
静けさと深みにうっとりするばかりです。
昭和3年となると、ほぼ100年。
100年という長い年月、丁寧なメンテナンスのおかげで現代の私が同じものを見れている。
そう考えると、すごいことですよね。

最後に

第一弾の散歩はこれにて終了です。
思った以上の満足感で、これはすぐにでも20箇所巡りきりたい!
そう強く思えました。
何度も通ったことがある場所でも、ちょっと見方を変えれば新しい出会い、驚きがある。
美術に触れるようになって気づいたことです。
もっと歴史や川瀬巴水ご本人についても勉強してから巡っても良いかも。
また行きます。書きます!
ここまで見てくださった皆さん、どうもありがとうございました。
ぜひ皆さんも美術さんぽ、してみてくださいね!

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