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上から言葉にはみんなすぐ気づく:施策が ‘落ちない’ ワケ
こんにちは、自分らしい幸せなキャリア実現パートナー、佐藤千鶴です。
NOTEでは、30年以上にわたって日本企業や外資系企業で働いてきた中で、「先にこれ知ってたら、もっと楽しく仕事やれてたかも」という、自分らしい幸せなキャリアづくりのヒントを紹介しています。
第26回目のテーマは「上から言葉にはみんなすぐ気づく:施策が ‘落ちない’ わけ」です。
なぜ戦略が「落ちて」いかないのか?
マーケティング部で働いていた時、「どうして施策が営業に落ちていかないんだろう?」と何度も悩みました。事業企画部にいたときも同じことを思いました。「なぜ戦略がジョイントベンチャーに浸透しないんだろう?」
何度もミーティングして説明をする。相手からの質問を聞いて、データを使って提案の根拠を説明する。でも、全然響いていない。「はいはい」と受け流されてる感じで、だからすぐ忘れられ、実行されない。この繰り返し。
戦略・施策を立てる企画系の仕事をしている人なら、同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか?
あるとき、営業部出身で今はマーケティング部にいる先輩に愚痴をこぼしました。
「なんか、全然施策、営業に落ちていかないんですよね。いろいろ落とすための説明会もやってるんですけど…」
すると先輩はこう言ったんです。
「落とすからだよ」
言葉が生む上下関係
「落とすという言葉を使う時点で、マーケティングは営業の上にいると思ってるでしょ?」
「そんな上からの説明、聞く側は面白くないよね。しかもその説明会を『ガス抜き』と呼ぶ人もいる。これじゃあ、ミーティングは一応形だけ不満を聞く場で、結局『このままやれ』ってことだよね。だから営業、やらないんだよ」
その言葉を聞いて、一発パンチをくらったようでした。私も、部門のみんなも、何の疑問もなく使っていた言葉が、営業部からはそう受け取られていたなんて。
組織心理学の創始者エドガー・シャイン先生も言っています。
「自分が相手よりも一段高い位置にあると証明したい態度が現れた時、信頼関係は崩れる」
私たちは、相手がどんな立ち位置で話しているか、すぐに見抜きます。 そして、「論理的には正しいかもしれないけど、あの人が言うと嫌だ」と思った瞬間、動かなくなるんです。
言葉の選び方に、隠された気持ちが表れる、言葉って心して使わないと危ないと気づかされました。
言葉を変えると、関係が変わる
そこで、次の戦略説明会はいつもより早めに開催することを部長に提案しました。施策が固まりきらないうちに営業部と意見交換をして、その意見をプランに反映できるスケジュールに変えたのです。さらに、説明会という名前も「ブラッシュアップミーティング」に変えてみました。
すると、営業部からも売り場づくりの意見や、私たちが見落としていた現場の視点を教えてくれるようになりました。カスタマーに提案する時の新しいアイデアももらえるようになったのです。
このプロセスを繰り返すうちに、「マーケティング部のプランをやらされている」から、「マーケティング部と営業部の共同プランを実行する」に変わっていきました。そして、マーケティング部内からも「落とす」「ガス抜き」といった言葉が消えていったのです。
言葉は心を映す鏡
何気なく使っている言葉を、もう一度見直してみましょう。その言葉が、お互いの協力体制をつくるどころか、壊しちゃう原因かもしれません。
言葉は、私たちの心を映す鏡。
シャイン先生はこうも言っています。
「あなたの言動はすべて、人間関係の先行きを左右する介入である」
信頼を育む第一歩として、言葉を大切にする。言葉の影響力を意識して日々行動することで、周りは知恵をかしてくれて、サポートのしてももらえるようになる。それは自分らしい幸せなキャリア実現に大きな助けになってくれるはずです。
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