人材マネジメントの動向⑪
みなさん、こんにちは。
「人の強みを引き出す」ってどういうことでしょうか?
僕の場合、自身のマネジメント観に欠けているだろうということぐらいしかわかっていません。
マネジメント観を「再考」する材料にしようと考えました。
「人の強みを引き出す」ことについてイメージするところからスタートします。
手掛かりとしたのは松尾先生の『部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ』です。
元同僚から紹介してもらった本です。人材マネジメントに関連する書籍を紹介し合っていました。
まず、「なぜ強みを引き出すことが重要になるのか」について、学術的な背景が説明されていました。
引き込まれました。
人の強みを引き出すってとても大切なことだと思いました。
そして、「人はその人ならではの才能や特性を持っている」という人間観をもっていなかったのかもしれないと思いました。
まだ、うまく言葉にできないのですが、「持っている」内にあるというとらえ方ではなく、外にある、正解は外にあるととらえていたから、こういう人間観を持ちえなかったのかもしれません。
次に、育て上手なマネジャーの指導法が明らかにされています。
1の「潜在的な強みを探る」ことから、考えたことを示していきます。
「部下や後輩の強みを見極める際、どこを見ていいかわからないという人もいるでしょう。」
その通りで、僕もわからない人のひとりです。
そこで、3種類の強みのリストが紹介されています。
ストレングス・ファインダーにおける34の資質をみたときに、しっくりこなかったんです。
理解不足が主な原因だと思いますが、個人の強みを引き出す指導法の意義と比べるとしっくりこない。
強みって何だろう?自分で考えるしかないなと思いました。
そのとき思い浮かんだのが、金井先生、高橋先生が『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』で解説されていたコンピテンシーでした。
何度も読み返しているのですが、あらためて読み返しました。
「コンピテンシーの構築手段にはいくつか取りうるアプローチがあり、ハイパフォーマー・モデルだけに依拠しなくてよい」ということで、その一つが「経営理念型モデル」でした。
結果的にはいっしょなのかもしれませんが、ストレングス・ファインダーにおける34の資質のリストでは会社の大切にする考え方、価値観との重なりのプロセスが見えなかったので、しっくりこなかったんだなと思いました。
そして、アメリカンモデルのコンピテンシー・コンセプトに対する以下の文章があります。
ストレングス・ファインダーにおける34の資質がこれに当てはまるかは調べていませんが、人間味や温か味のようなものを感じられなかったのです。
経営理念型モデルでは、人間味や温か味も反映されうると思います。
人材マネジメントの動向⑧でふれた組織開発の人間尊重の価値観や、質的研究の人間観と関連するのかもしれません。
大切なものが、くみ取れていない感じがしたのです。
さらに、「日本的パースペクティブからコンピテンシーの理論化を試みると、その答えの一つは「コンピテンシー・ラーニング理論」に求められる。」と、いうことでした。
この考え方と重なります。
松尾先生の「経験から学ぶ力」の方が、ストレングス・ファインダーにおける34の資質よりも強みにフィットすると感じていました。
「でも、これって強みと言わないのかも」という思いもありました。
「では、コンピテンシーの学習を通じて、最終的にわれわれは何を得ることができるのだろう」という問いかけがあり、それは、「コンピテンシーの学習が、瞬間的には楽しみに、生涯発達的には、自分らしさの実現につながることが理想」ということでした。
この自分らしさの実現につながることが、強みを引き出すことと重なるのではないかと思いました。
いや、強みを引き出すことと違うのかもしれません。
自分らしさの実現につながる学ぶ力を引き出すことが、僕自身のマネジメント観の一つかもと思いました。
学習プロセスを明らかにしていくことと重なると思っています。
そして、このあたりに❛さきみ❜が着目している「ユニークネス」が関連するのかもしれないなと、思いました。
❛さきみ❜からは、「『人間味・温か味が感じられなかった』のは、私がいつもお話している、類型論的な整理や理解で抜け落ちる『個別性』に重なるのかなと思いました。
そして、例えば、同じ『理性的』と類型される人たちも、『理性的』の背景=経験=物語によって、異なる理性的な性質を持っていて、それが『ユニークネス』なのだろうと考えると、重なるところがあるのかなと思います。」
というフィードバックをもらっています。
僕の中で温めていて、マネジメント観の「再考」に活かしていきます。
また、3種類の強みのリストの一つであるストレングス・ファインダーにおける34の資質に対して、しっくりこない感覚を金井先生、高橋先生に代弁してもらった形になっています。
自分の言葉で語りきれていないので、「自己」との対話を続けていきます。
「人の強みを引き出す」ことについてイメージできるところまでには至っていませんが、成果を出すためのやり方はハイパフォーマー・モデル以外にもあり、それを探究しているのだとあらためて感じました。
自分にフィットしたやり方がきっとあるはずです。
そのためにまずは自分の学習プロセスの現状を自らの手で明らかにし、その上で自分にフィットしたやり方を探究していくことではないかと思いました。
それは、経験学習を学ぶことにつながります。
そして、その支援がその人らしさの実現につながるのではないかと考えています。
次回は、顧客との接点でも感じたこと、「組織社会化はとても大切」という話をしてみます。
■ プロフィール
小西 定之(こにし さだゆき)
ビジョン・クラフティング研究所 シニアコンサルタント
産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、証券会社で企業金融に従事、その後、独立系コンサルティング会社において人材マネジメント分野のコンサルティング業務(主に人事評価制度)に従事、そして株式会社ジャパンEAPシステムズで会社におけるメンタルヘルス対策のあり方について探究。