キングダムとビジョンフレーム
■結構マンガってバイブル
知ならない人には全く響かない、でも知っている人は「おー!!!!」となるかなと思ってこの記事を書いています(笑)
私は、マンガから、心にグッとくるフレーズをもらったり、あり方を考えさせられたりすることが多く、結構いろいろ影響受けてます。
スラムダンク、バガボンド、ワンピース、火の鳥、etc.
そして最近読み込んだのがキングダム。映画化もされたのでご存知の方も多いと思いますが、秦の始皇帝の中華統一をテーマにしたストーリーです。
時代が春秋戦国時代だけに、戦いに明け暮れているのですが、このマンガの魅力の1つは主人公の信や嬴政、他個性豊かなキャラクターたちの発する”言葉”だと私は思っています。
■嬴政の語るビジョン
そんなグッとくる”言葉”の1つが、嬴政が語る中華統一のビジョンです。39・40巻の呂不韋とのやり取り、そして45巻の斉王とのやり取りは本当に胸に迫るものがありました。
それがビジョンフレームと重なる!とふっと思い書いてみると、やっぱりピタッとはまりました。それがこちらです。
(※PCからだと写真をクリックすると拡大して見ることができます)
嬴政(後の始皇帝)は、戦乱の世に生まれ皇子にも関わらず不遇の少年時代を過ごします。人間の醜さ、戦争の恐ろしさと虚しさを骨の髄まで味わった嬴政は、そんな中で自分を守ってくれた恩人の中に「光こそ人間の本質だ」という姿を見出します。
青年となった嬴政は、この戦乱の世を自分の代で終わらせ、二度と人が人を殺さなくて済む世界をつくるというビジョンを描きます。それは多くの人が望み同時に無理だと諦めていた中華統一です。
■懐疑的な相手の心を動かす
しかし、その言葉を聴く多くの人は、そんなことは無謀だと断じます。
当時、中華にあった七国の1つ斉の王もまた、それを訝しがる一人でした。
嬴政の語るビジョンは確かに魅力的だが、それを実現させるために、一体何がキーアイディアなのか?が全く見えない状態だったのです。
中華を統一するまでには、多くの血を流し犠牲を払わなければならない。見方を変えれば、無謀な暴君が支配欲に駆られて他国を攻め滅ぼし、残るのは統一どころか、人の恨みや憎しみだけではないか?と。
その斉王に対して嬴政は、1つの構想を語ります。このビジョンを実現するために必要な視点、そしてそれを踏まえたキーアイディアです。それによって斉王の心が大きく動きます。その一連の流れがこちらです。
(※PCからだと写真をクリックすると拡大して見ることができます))
嬴政は、人が人を支配するということへの不完全さを、法という手段を持って変えるという構想を伝えます。そしてそのために、一度七国が解体し同盟ではなく真に1つになる必要があると説きます。つまり中華統一は秦国が他国を滅ぼしその上に立つものではなく”新国建設”のためなのだと。
そして、今までに無い新しい世界観を提示したのです。それを聞いた斉王は、嬴政に中華の舵取りを託してもよいと思うに至るのです。
■ビジョンを育てる
未来を語り、なぜそれをしたいのかを語る。その先に現れる価値を語り、それを可能にする鍵となる手段を語る。
おそらく嬴政は、はじめから全てを描いていたわけでは無いと思います。「もう人が人を殺す世界なんてたくさんだ」という思いから、理想の世界を描き、その実現への道を模索し続けていくプロセスの中でいろいろと見出していったのだと思います。
おぼろげながら見出したキーアイデアを「本当にそれで可能なのか?」と何度も問うことで研ぎ澄まし、ビジョンの解像度が上がっていく、つまりビジョンが育っていきました。
そのビジョンは、実現したいという強い思いととも語られることで、心を動かし、人を動かし、そして歴史を動かしたのです。
※キングダム39・40・45巻より引用
ビジョンフレームについて詳しくはこちらの本をぜひ!