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旅そのものを楽しむように

【だから改革が進まない…?】

この前、6ヶ月間のとある企業の新任マネージャー向けプログラムが修了した。このプログラムは、学びと同時に具体的な変革プランをつくりプレゼンをすることになっている。先週まさにそのプレゼンがあった。
  
最終プレゼンは、社長はじめ役員陣が聴衆だ。中には容赦ない声も飛ぶ。「面白くない!」「それって逃げじゃないの?」「これのどこが変革なの?」
  
役員陣が、変革の旗手になりきれているかどうかはさておき、確かに一理ある指摘が並ぶ。

企業の中で閉塞感を感じている人たちと話すと、まさにこういう感じのシチュエーションの話をよく聞く。たとえば、決裁を仰ぐ相手の無理解、決定プロセスの重さ、社員間の温度差…etc.

そこで思う。これって”企業あるある”で片付けていいことなのか?「だから改革が進まないんだよね~」「企業の限界だよね~」みたいな言葉で、「やはりこういうのは、外に飛び出してどんどんやったほうが早いよ」という方向に結論づけるような話なのか?

閉塞感の話を聞くときに感じるちょっとした違和感。それは、どうも話の矛先が、いつも話し手の”外”に向けられたものだということ…。

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【問題の本質はどこに?】

このプログラムをするにあたり、私がずっと意図していたのが「一人ひとりが、自分の内なる思いにつながり、創りだす」ことだった。

なにかを変えるというのは、文字通り”大変”だ。巻き込まれる人からすれば、いろいろ振り回されて面倒が増えることばかりが想像されてしまうかもしれない。このままいったらマズイことになる!という成り行きの未来を語っても現状維持バイアスが働き「そんなことはない」となったりもする。
   
なにかを変えるというのは、そんな中で周りを巻き込んで、それやりたい!って思ってもらうことなのだ。

そんな大変なことを、「義務感」で出来るほど、人間は強くはない。と私は思う。だからこそ変革の起点は、その人が「本当にそれを実現したい!」「それを実現することに意味がある!」と思えることがとても大事なんだと思う。

仮に企業の外に出たところで、違う種類の逆風が吹いているだけだ。問題の本質は企業の内か外かという話ではない。 
  
繰り返す。当の本人(達)が、どれだけそれをやりたい!と思っているかどうかなのだ。

ダイブ

【やりたいことの解像度は徐々に上がる】

この人生で見てみたい世界、味わいたい感覚、形にしたいこと、どんなことでもいい。仮に命を炎に例えるなら、その炎を燃やしきる何かに出会うことが、人の幸せやエネルギー(元氣)とつながっている。

「でも、そこまで炎を燃やし切れるものは、自分にはないよ…」

と思う人は多いかもしれない。であるならば、どんなことでもいい。自分を活かせそうなことをやってみる。小さくてもいいから、それをやった先のビジョンを描き語ってみる
  
進めば、やがて違う景色が見えてくる。見えたところで、また訪れた機会を活かし、やってみる。そのことに対してのビジョンをまた描き語ってみる
  
そうやって、行動していくと、ビジョンは育っていく。自らのあり方や視座も変わっていく。はじめは”自分”を満たすことからはじめても、やがてそれが満たされると自然と視座はあがり、あり方は変わっていく。より大きく高く。
   
私はよく、自分の”来し方行く末”を考えるために山にこもることがある。でも山にこもるだけでは、それは見えない。やっぱりそれは日常の中にある。こもるのはその日常で得たものを、整えてクリアにするためだと私は思っている。

植える

【私の”実現したい!”】

私がこの命の炎を燃やしたいことは、一人ひとりの「本当にそれを実現したい!」を育てていくナビゲートだ。

それを育てていくのにとっても有効なことは、その思いを描き語ること。その思いを他の人と分かち合うことだと思っている。 今やっていることも、書いた本も、発信するメッセージも、つくっている場も、そしてこれからやっていくことも、全てそこにつながっている。

冒頭に書いた6ヶ月のプログラムに参加してくれたメンバーは、口々に言ってくれた。

・「自分が何を本当にやりたいのかをあらためてじっくり見つめる時間になった」
・「これは絶対にやりたいと思っている」
・「これから具体的にこれをやります」
・「最初は営業の新しいネタがほしいくらいに思っていたけど、考えれば考えるほど”やりたい”気持ちが強くなっていた」etc.

このプログラムに参加してくれた23人は、みんな矛先を外ではなく内に向けていた。自分(たち)を起点に話をしていた。その一人ひとりの思いが、何よりも私の心を熱くしてくれた。その一言一言が、私自身の中に強いエネルギーを生み出してくれている実感があった。
  
今の私のエネルギーは、「到達」を求めていないのかもしれない。それよりもその「過程」の中に生まれる素晴らしさにときめいているのかもしれない。旅の目的地よりも、その旅そのものを楽しむように

ハートのランプ

【やり続けること】

未来は誰も予測が出来ない。そうしたいと思っても出来ないことも多々ある。変えられないものを受け入れる心の強さが必要な時が何度もある。しかしその中で変えられるものを変える勇気をもって、自分が本当に実現したい!と思うことに進んでいくことが、とっても尊いと思っている。

先述のプレゼン会の中でこんなやり取りがあった。それは非常に実現難易度の高いテーマだった。プレゼンの後に役員が質問をし、それにプレゼンターであるメンバーが答える場面。

役員:「もしこれを宣言して、出来なかったらどうする?」 

メンバー(達):「確かに実現は難しいかもしれません。でもそのために努力し続け変化し続けるプロセスこそが、この会社にとっては大事なことなんです!私はそれをやりたいです。」

そういうメンバーの表情がとても力強かったのが印象的だった。そしてこれを問いかけた役員が、笑顔でうなづいていたその顔もまた印象的だった。

そして、このメンバー達の多くがこの本を愛読してくれたことと、この出来事はきっと無関係ではない(笑)。


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