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竈炊飯治郎 第04話 嫁の体を蝕む癌


飯治郎です。

前回書いたように、デザイナーの先生から二億円の豪邸のお仕事をいただけるようになってからと言うもの、あずきさんが少しずつ狂いはじめました。

まず、どんどんと言い訳をつけて約束を守れなくなってきました。先生のアトリエで施主様(クライアント様)用のプレゼン資料に載せるため、プロのカメラマンや照明さんを呼んで、設計士としてあずきの写真を撮るためにスタンバイしていただいたのですが、急遽、子供の風邪を理由にドタキャン。

何人スタッフの方もお待ちいただいている所に平気でドタキャン!!

自分が親戚の仕事に行くときなんかは、子供が熱を出していようと平気で預けて出かけるくせに、ドタキャンです。そんな事が2〜3回続きました。先生は顔に出さず、いいよいいよとおっしゃって下さいましたが、内心は相当ムカついていたのではないかと思われます。

挙げ句の果てに、自分でやりたいと言った仕事も放り出す始末。その上お金にもならない仕事をとってきて、それが終わるまで他の仕事はしないと駄々をこね始めました。あずきさんはいったん言い出すと、どんなに自分に非があっても譲らないのですが、今まではそんなに理不尽な事で駄々をこねた事はありませんでした。でも今回はまさにクレイジー状態。今思うとこれが鬼化の始まりでした。

もう、私のメンツは丸潰れで、頭を地面につけて額が擦り切れるまで謝りました。あずきメンバーに入れないでやることになり、事なきをえました。

そんなことをしている私たちにさらなる悲劇が襲い掛かりました。

なんとあずきの癌が発覚したのです

しかもステージ3。リンパまで転移していて、5年後の生存率は65%だと宣告されました。

すぐ抗癌治療にかからないと危ないと告げられました。このとき私は目の前が真っ暗になりました。よく目の前が真っ暗になると例えられますが、例えではなく、本当に真っ暗になります。1歳の子供を残して、あずきがどうにかなったらと思うと、もう絶望しかありません。これから、自分の起業や2億円の仕事、どうしたらいいか、親に相談しようにも、親も「どうしたらいいか、私たちもわからない。」と言われ途方に暮れてしまいました。

あずきの義理の兄にあたる人がお医者様なのですが、やはり相談しても、抗癌治療をするしか無い、少しでも延命できるように…と言われました。仕事のこともあり、デザイナーの先生にもお詫びに行ったのですが…

「ああ、ステージ3ならすっかり良くなるかもよ。うちのクライアントも癌の人多いからw」

え?ガンて治るものなのですか?

えええええええええええええええええええ!!!

確かに先生のクライアントは億万長者が多いことは知っていますが、お金があるとガンは治るものなのでしょうか?またそれは途方もない大金がかかるのでしょうか?

謎が謎を呼びます。

※この話は実話です。

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