無本番・練習日記2020年12月7日~12月13日

2020年12月7日(月)
ヴュー:音程のための10の練習曲
 時間が限られていたため、モダンヴィオラのみ、浚うものもヴューの10番一つに絞る。何だかんでこの練習曲集最後の番号。3周目となる今回も譜面と臨時記号に振り回されている有様なので、この先も他の練習曲同様長いお付き合いになるのだろう。
 さて10番。移弦やポジション移動など演奏者の都合でどうしても「tranquillo」からは程遠いものが出来上がってしまうのが、昨日出てきた課題だった。これを解決すれば他の不都合も何点かは解決されるはずなので、まずは最初の1段のみと向き合うことにする。
 騒々しい印象を与えてしまう一番の原因は移弦だと思い、演奏する音量を考え直すことにする。よく見ると楽譜には「tranquillo」「dolce」と書いてあるだけで、冒頭には特に強弱記号は書かれていない。そうなると両方を実現できれば格別弱い音にする必要はない訳で、むしろ弱い音で演奏することで移弦の衝撃を際立たせてしまっているのではないかという結論に至った。「tranquillo」に用語に捉われすぎていたようだ。この考え方が功を奏し、移弦もの問題も、途中出てくる強弱記号の問題も、演奏者の都合と言える問題点は粗方解決に導くことが出来た。あとは左手指が途中で混乱しないようにするだけだ。
 バロックヴィオラは安否確認のみ。明日から数日ケースを開けられない日が続くので、少し心配。
 (余談)ボウイングの大切さや重要さを説く際に、「漢字の書き順」を例に挙げてみた。納得してもらえたが、これ漢字を日常的に使ってない人には何と説明しよう。表現の引き出しはいくら増やしても足りない。

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2020年12月8日(火)
他用のため練習お休み。

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2020年12月9日(水)
他用のため個人練習お休み。
 (余談)本日のオケ授業はR.シュトラウスのオーボエ協奏曲。今回からソロが入る。コロナの影響で本番がないのは残念だけれど、学生さんにとって大切な時間であることに変わりはなく、そのことを思えば手は抜けない。
 それにしても楽譜の音間違いが多い。弾きながら首を傾げ、後で訂正をしようとするも、どこを確認しようと思ったのか忘れるくらいには数が多かった。曲は難しいが、甘い雰囲気で和声が素敵。一人で弾いていては、これは味わえない。リヒャルトにはオケスタの嫌な印象と苦手意識しかなかったけれど、少しは心のバリアが薄くなるだろうか。
難しさの原因に関しては、音間違いを含む譜面の見づらさが一役買っていると推測。視覚からの情報が演奏に与える影響は大きい。

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2020年12月10日(木)
他用のため練習お休み。
バロックヴィオラの蓋を丸3日開けていない。大丈夫だろうか。
安否も気になるし、兎にも角にも楽器に触れたい。音が出したい。

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2020年12月11日(金)
セヴィシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
ジェミニアーニ:The Art of Playing Violin
J.S.バッハ:マニフィカト(ヴィオラパート)
音階(C-dur , a-moll)
ヴュー:音程のための10の練習曲
レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲第1番
 3日ぶりにバロックヴィオラのケースを開ける。10分ほど置いてから練習開始。楽器屋さんが教えてくれた通り、ケースの中はそれなりに湿気が籠る。バロックヴィオラに関しては、今日は基礎練習に徹することにする。セヴィシックで3番のロングトーンと6番。ジェミニアーニは9番。1時間半は基礎練習に費やしただろうか。一瞬でも「良い音を出そう」「上手く弾こう」と妙な欲が出ると、途端に音が引っくり返ってドキリとさせられる。見栄を張ることもいい格好をすることも諦め、真正面から自分の出した音を受け止めることから始まる時間だった。
基礎練習のみで終わらせるつもりだったが、一昨日届いたバッハの『マニフィカト』の譜面が嬉しくて楽しみで、復習も兼ねて音を出す。ところがヴィオラパートに関しては何度も弾いているはずの作品が初見のように感じられ、一瞬戸惑った。動揺していてもしょうがないので、初見の状態に戻り、一音一音、音の居場所の確認を行う。和声のイメージは出来るので、作業はスムーズ。こういう時作品に対する経験は強みになるのだと感じさせられる。学生時代先輩に指摘されたあれやこれやが、今更ながら腑に落ちていく。
戸惑いの瞬間は、自分の演奏に関して大いに反省させられる瞬間でもあった。今まで私はどんな演奏をしていたのか、振り返り、ゾッとした。この感覚の変化が吉と出るか凶と出るか、合わせる段にならなければ判らないので、怖くもあり楽しみでもある。
腕を休めてモダンヴィオラへ。こちらは音階の後、ヴューの10番。少しずつ曲の景色が見えてきて「tranqiollo」など指示も腑に落ちてきたが、指定テンポで弾くと一か所二か所は引っ掛かってしまう。流れを止めずリカバーは出来るようになったものの、危なっかしい。終盤で「ええい!とりあえず楽しんでしまえ」という思考に行き着いた。この考えはレーガーの無伴奏ヴィオラ組曲第1番の3・4楽章の練習中も頭の中で響き続けた。大体こういう考えが出てくる時は半ばヤケになった状態なので、弾き散らかした状態にしないよう心に留めておこう。

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2020年12月12日(土)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
ヴュー:音程のための10の練習曲
レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲
 モダンとの合計時間を1時間ほどに収める必要があったため、バロックヴィオラの練習はジェミニアーニの9番のみ。「良い音を出す」ことは二の次にして、ひたすら自分の出した音を真正面から受け止める練習。指やボウイングというよりは、耳のためのもの。
コロナ禍の少し前、ヴァイオリン奏者(モダン&バロック)の先輩からアドバイスを頂いていた。「手の感覚に頼らず、音をよく聴いて、モダンとの差を詰める」
自分の楽器を手に入れて、コロナの影響で本番が軒並み無くなって、ほぼ毎日バロックヴィオラと向き合うようになって半年あまり。先輩の言葉が知識としてだけでなく、ようやく実感を伴って沁みてきた。
モダンヴィオラは音階を省略して、最初にヴューの10番と1番。どちらも音符を追いかけるのではなく、「楽しむ」目的のためにも、音の進行に注目して演奏していく。楽譜にかじりついていた状態から脱し、心なしか楽に弾けるようになった気がする。指のもつれで1か所2か所どうしても間違えていた10番も、何とかこの方法で問題は解決。10番然り1番然り、何を弾くにしても共通の事柄ではあるが、無理矢理押し通ることのできない練習曲集だ。
ヴューを弾いて少しレーガーの無伴奏ヴィオラ組曲第1番の2楽章Vivaceをさらう。音は覚えていたが、細かいアーティキュレーションに関しては記憶違いが多く、レッスンする前に楽譜を改めて見直す必要性を感じた。初めてこの曲を弾いた高校時代に悪戦苦闘していた記憶が身体にしっかりと残っていて、そのイメージに引きずられてしまう。脳内に菅沼先生のヴィオラの音色と声も響いて来る。演奏は常に、過去と現在の自分の記憶の綱引きだ。

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2020年12月13日(日)
音階(C-dur , a-moll)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(ヴィオラ編曲版)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
 外出の用事があったため、時間を絞っての練習。モダンヴィオラから開始。
 音階を弾き、レッスン(やる方)の予習も兼ねてバッハの無伴奏チェロ組曲第1番を頭から通し、各曲の繋ぎ目の確認を行う。次の曲へ移る間合い・タイミングは演奏者と演奏の回数だけあるけれど、一定の条件があれば、何となくの感覚ではなく言葉で伝えたい。ついでに演奏時間を計測。
 バロックヴィオラはジェミニアーニの9番。掘り下げるには時間が足りなかったため、不発音が出た場合のみ返しを行うことにする。気を抜いていても無意識でも、自分の出した音を真正面から受け止められるようになろう。

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