無本番・練習日記2021年4月26日~5月2日
2021年4月26日(月)
音階(C-dur , a-moll)
カイザー:36の練習曲 Op.43
ヴュー:音程のための10の練習曲
そういえばモダンヴィオラに最後に触ったのは何日前だっただろう。短い練習時間はモダンヴィオラに充てることになった。楽器を持った上半身の感覚が自分のものではないようで、それだけモダンの方に時間を割いていなかったのだと思い知らされる。
練習時間の大半は音階に費やすことになった。弾けば弾くほど自分の未熟さが露わになっていくような気がして、いつまでも先へ進めなかった。音階でこの状況になるのは久しぶり。耳が慣れた頃ようやくC-durからa-mollへ進み、カイザーの12・13番へ。12番のスピッカートとPoco Allegroの表記に苦戦。時折入る装飾音も置き所が見つからず、自分の音が弾けば弾くほど嫌になる。13番で気分転換を図りつつの練習となった。音符は弾けるようになったけれど、結局納得はせず。
ヴューは7番と8番。8番はオクターブのポジション移動こそ苦にならなくなったものの、曲として弾くにはどうアクセントを入れたら良いのか。アクセントのみならず全体像を捉えきれていない部分が多く、悩む。音符だけ弾けても曲として弾けなければ、いつまで経っても音符に振り回されてしまう。至るところに疑問と課題を残しつつ練習終了。
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2021年4月27日(火)
音階(C-dur , a-moll)
カイザー:36の練習曲
ヴュー:音程のための10の練習曲
シューベルト:アルペッジョ―ネ・ソナタ(1楽章)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
今日の主な練習目的は、しばらくまともに練習していなかったモダンヴィオラの重さに馴染むこと。一向に終息の気配を見せないコロナの影響で年内の本番が次々飛んで行き、新しい楽譜を買うにしても物色しながら探すことが難しいご時世、練習でできることは本番があると疎かになりがちな基礎練習に力を入れておくことなのではないか。
音階を弾き、カイザーの12~14番。どうやら昨日は12番のスピッカートで「弓を飛ばすこと」に捉われていたらしい。こうなると「速いテンポでなければ弾けない」先入観にも同時に捉われてしまうので、道理でPoco Allegroの表示も腑に落ちないわけだ。13・14番は比較的スムーズに練習。ちなみにどちらも4/4拍子。日本人は6/8拍子が苦手と聞いたことがあるが、そういえば12番も6/8だ。
ヴューは昨日の続きで8番(これも6/8)。アクセントの扱い、テンポの感じ方と音楽の進め方、全体的な景色の把握を目指す。とにかくヒントの尻尾を掴むまで、全体を何度も通した。5回ほど通し練習を行って、腕の筋肉が疲れてきたところでようやく何か兆しのようなものを見つけて掴む。その後更に3度ほど通し、9番へ。こちらはこちらで音程の問題がある。次回以降時間をつかってさらおう。
アルペッジョーネ・ソナタは思い出し練習。レッスンするために、初めて弾いた時技術的に難しいと感じた場所、音楽的に弾き方が分からなかった場所、繋ぎがうまく行かなかった場所などを弾きながら思い出す作業。楽譜には学部生時代からの書き込みがたくさんで、元の印刷の景色が見えない。書き込みは諸刃の刃であると、事ある毎に知らされる。
バロックヴィオラはジェミニアーニの8番で音出し。そろそろホフマイスターと、独奏で弾く曲を探して練習する時期が近付いてきた。
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2021年4月28日(水)
他用のため練習お休み。
(備忘録)「気は遣うものではなく、配るもの」「まず見ることを覚えよ」
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2021年4月29日(木)
F.A.ホフマイスター:フルートとヴィオラのための3つの協奏的二重奏曲
レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲第1番
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
思いもかけず楽器を弾く時間が取れたので、バロックヴィオラでホフマイスターのFlとのデュオを音出しし、さらにバロックヴィオラ+モダンの弓でレーガーの無伴奏組曲1番の1楽章を試みに通してみる。
前回出だしだけ弾いた時には気付かなかったことだが、弓と楽器の重さのバランスが違うのか、力のバランスの取り方が悪いのか、弾いているうちに次第に顎の辺りが疲れてきた。顎当てにも意味があるのだと実感。6月末の本番まであと2ヶ月。慣れもあるとは思うけれど他の演奏曲目とのバランスも考え、この組み合わせでこの曲を弾くことはリスクを伴うと判断。となるとやはりホフマイスターのエチュードから取るか?練習曲集から1番と4番(どちらもヴィオラ協奏曲に近い雰囲気)もついでに音出し。あと考慮するとしたら、調性かぶりと演奏時間か。
ひとしきりバロックヴィオラを鳴らした後、モダンヴィオラで同じ曲を弾く。重い(物理的な意味で)。求められるエネルギーの質が違う気がする。
(余談)遅まきながら、幡ヶ谷にあったマイスペース・アスピアの閉館を知る。3月いっぱいで閉館になっていたようだ。交通の便が良く、料金の面でも利用しやすい練習スタジオだったので、閉館になってしまったことが惜しまれる。あの場所はどうなるのだろう。
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2021年4月30日(金)
音階(C-dur , a-moll)
カイザー:36の練習曲 Op.43
ヴュー:音程のための10の練習曲
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ(1楽章のみ)
モダンヴィオラを弾く筋力が落ちている気がしたので、モダンのみに焦点を絞る。音階を弾いてカイザーは12番~16番を順不同で。複数の曲にAllegroの表記あり。この「Allegro」と見ると脊椎反射的にテンポを速いものと思い込んでしまう癖は何とかしたいもの。拍子記号と同じく、曲想を考えるための大事な材料なのだから。
ヴューは9番。音程が曖昧になってしまっている箇所の確認を行うため、気持ちと耳に余裕が持てるスピードで1周目を弾いていく。後半になるにつれ次第に流れが出来てくるのは無理に止めることはせず、流れに任せた。この番号を弾いたばかりの頃は1と4の指で9度の音程を取るのがとにかく苦痛で仕方なかったけれど(それ以前にナチュラルだかフラットだかシャープだか判然としない、崩壊しかかった音程しか出せなかった)、曲に慣れてきたのかそのことにはあまり苦しさを感じることはなくなった。どうやら調性や和声の移り変わりに対して敏感に反応することが、音程を取るための助けにもなるらしい。しかしまだ10番に進む気は起きず。
シューベルトのアルペジオーネ・ソナタは、前回の練習ではまともに弾いていなかった後半にも目を通す。過去に教わったボウイングやフィンガリングに対して疑問が尽きず、時間を取って改めてさらい直す必要を感じた。過去に教わったものは、これはこれで弾きやすく尚且つ一般的なのかもしれないが、今の自分に落とし込むことができない。困った。
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2021年5月1日(土)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
ヴュー:音程のための10の練習曲
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ(1楽章)
昨日のモダン中心の練習に対し、今日はバロックヴィオラ中心の練習。ジェミニアーニの9~11番を弾き、ホフマイスターの1番を洗い直す。ジェミニアーニの教本を活用しきれていない気がして、時折不満に感じることがある。冒頭の番号毎の注釈を読んでいないのが一因か。
ホフマイスターは今まで見て見ぬふりをしていた問題点を解決するべく、譜読みのし直しを行う。繰り返し弾いているうち、モダンで弾いていたイメージをなぞるように弾いていて、楽譜と向き合っていないこと、曲の良さを引き出せていない可能性に思い至った。現在使っている楽譜はペータース版、これ以外の楽譜はどんな景色になっているだろうか。
モダンヴィオラは残り時間の活用として。ヴューの9番は滞りなく弾くことができたので、次回から10番へ進むことに。シューベルトのアルペジオーネはボウイングやスタッカート・アクセントの扱い等の再検討。教わったボウイングはやはり弓の返しが多い気がして、もう少し長いボウイングにしたいと思う。実際に本番で弾くのは自分ではないけれど、これだけで曲に対する印象はかなり変わるのではないか。
驚いたのは印刷だと思っていたアクセントが書き込みだったということ。それだけ思い込みと記憶だけで弾いていて、譜面をちゃんと見ていなかったということなのか。
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2021年5月2日(日)
ヴュー:音程のための10の練習曲
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
駆け足の練習で、モダン→バロックの順にさらう。まずモダンでヴューの10番。強弱記号や松葉(<>)を見ると、その記号を表現することに捉われすぎてしまう傾向があるらしい。これが技術的な足かせの一つになっているようだ。特にクレッシェンドの方は音量という力技で解決を図ろうとするところがある。長年の習慣から出る行動とはいえ、脊椎反射的に行ってしまうことからの卒業は課題の一つ。
「これは、こういうものです。」で音楽をしない。
決めつけない。思考停止しない。常に考えて。常に現状を把握して。
時間と気持ちに少し余裕があったので、10番を弾き終えてから1~4番までをおさらいして、次へ。アルペジオーネはまた次回。
バロックヴィオラはホフマイスターの1番を。どうやってもモダンで弾いている時のイメージが抜けず、こういう曲ではないはずだと頭の片隅では違和感を訴えているのに、出てくる音楽は譜面を棒読みしたような面白味のないもの。何の練習やら判らなくなってきそうだったので、思考の一切を手放し、気持ちだけは初見の頃に戻って楽譜を見直すことにした。
中島敦『名人伝』で主人公が弓の師に「見ることを覚える」よう言われる場面があった。油断すると楽譜への集中力が失われがちな練習で、このシーンを思い出すと身が引き締まる。弾き慣れている曲を練習するというのは難しい。慣れてきた時こそ怖いというのは本当だ。
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