
人前での演奏は聴き手を楽しませて(自分が楽しむのではなく)
ヴァイオリンを教える側として、ヴァイオリンを大いに楽しんで欲しいと思っています。けれども、人前での演奏は聴き手を楽しませるもので、演奏者自身が楽しむものではないとも常々お話しています。
聴き手を喜ばせる演奏は必ずしも演奏者が自分で楽しい演奏とは限りません。「自分が楽しんでいるから他人も楽しい」という考えは、自分で笑っちゃっているコメディアンのようなものでは否定的に考えています。
人前での演奏は厳しい事。最低限のレベルでも、ルールから逸脱した演奏は誰にも聴いてもらえませんし、演奏者自身も虚しい。他人に聴いてもらえるほどにルールに準拠した演奏ができるように己を磨き上げることが練習の必然性です。ルールとは主に音色、リズム、音程です。それすら完全にできることは無く演奏者が楽しんでいる場合ではありません。
例えるなら家庭菜園で作った野菜を自分が食べるだけなら責任は生じませんが、他人に食べてもらうには危害を与えないよう細心の配慮が必要です。無料であげるから免罪というものではありません。そのためには食中毒や毒性など最低限の知識を学ぶ必要があります。
ヴァイオリンの演奏も「アマチュア」が免罪符になるわけではない。聴き手を楽しませると同時に聴き手に精神的な危害をも与えうるもの。そう考えて練習をすると上達するし、結果として聴き手も自分も楽しめると思います。
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↓以下宣伝で恐縮です。
大人向けのヴァイオリン教室を東京都と愛知県で行なっています。
2005年より20年間「ヴァイオリンがわかる!」というインターネットサイトにてヴァイオリンにまつわる記事を書き続けています。
だいぶ前ですが、出版社さまからご依頼頂き「まるごとヴァイオリン」青弓社という書籍を出版させて頂きました。