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製作知識 プレーンガット弦の太さ選択

 ヴァイオリンは、ボディ中腹をねじるために、
駒右足で魂柱を押し下げ、駒右足でバスバー側を押し下げる。
これらが裏板に伝わり、内転と外転になる。
 


内転、外転は魂柱を支点にした回転であり、
魂柱からの距離が遠いほど回転力は大きくなる。
 
つまり、外転半径が内転半径の2倍あるとすると
外転は、内転の半分の力で同じ回転力を裏板にかけることができる。


そこで、気になるのが駒にかかる4本の弦の張力である。
(G線+D線)の張力を、(A線+E線)の張力の半分にしたい。
そう考えた時、あなたはどういう選択をするだろう。
 
私はこの問題をシンプルにしたいことが理由で
プレーンガット弦を使うことにした。
太さを変えて張力を加減できることは、
私にとって魅力的だったのだ。
 
単純に、一番張力の強いE線の張力を100として
順に0.7倍していけば、左右の張力比が作れる。


難しい計算は飛ばして、直径比率を1.265倍にすれば×0.7が作れる。

E線を直径Φ0.62mmとすると、

A線 = 0.62 × 1.265 = 0.78
D線 = 0.78 × 1.265 = 0.99
G線 = 0.99 × 1.265 = 1.25
 
ここからはヴァイオリンの弦長や調弦A=415Hz, 442Hzなどの環境に加え、
押弦時の感触など演奏都合や、購入のしやすさなども入ってくる。
 
私のこだわりは、丈夫さ、コスト面を重視して、
E線にΦ0.62を使いたかったことで
新作ヴァイオリンの標準よりも20mm短い308mmという弦長で
A=415Hz調弦にしてようやく使えるようになった。
 

 
「細川さんはなぜプレーンガット弦を使うのですか?」
と尋ねられたら、どう答えるべきか。

何か使うのが難しそう、というのがある。
ここまで書いたバランスを作るため、はきれいすぎる。
 
プレーンガット弦を使うためのハードルは高いが
16世紀の初期ヴァイオリン製作者の意図や考え方を理解するには
避けて通ってはいけないと感じた。
 
こんな感じだろうか。
 
 
 
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