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シャンプーの香り【百合小説】

「ねぇお風呂あがったよ!早く入らないと風邪引いちゃうから・・・」
せっかく二人で買い物をしていたのにゲリラ豪雨にあってしまい、近くの晶の家へと避難してきた。
 
本当なら二人とも温まってしまったほうがいいのに、香織は恥ずかしいからと首を縦に振らない。
しかも、家主が先に入るべきだと頑なで、仕方なく晶が先に浴室に入った。
できる限り早く上がってきたのにやはり香織の唇は紫になりかけていた。
 
タオルを被ってプルプルとする香織を立たせて浴室に連れて行き、ドライヤーとタオルを準備する。
短い自分の髪はとうに乾いてしまい、時計のカチコチという音と、外の雨音のミックスを聞きながら彼女が上がってくるのを静か待っていた。
 
「あの・・・ありがと・・・」
しばらくしておずおずとでてきた彼女は身体の大きい私のシャツを着て、ちょっと袖が余っていた。
「こっちにおいで?」
晶はクスクスと笑いながら自分の前を指さして座らせる。
 
顔を真っ赤にしながらも素直にペタッと座る香織の髪の毛を丁寧に乾かすと、
そっと抱きしめ愛おしそうに髪の毛を撫でた。
(私と同じ香りがする・・・)
鼻孔をくすぐるシャンプーの香りと、抱きしめた腕の中で恥ずかしそうに肩を揺らす彼女が可愛くて思わず耳元で「可愛いね」と呟いた。




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