蒼と碧 .1

六月。梅雨時の、雨が降り続ける日々の中、ミドリは胸の奥が拡がり、楽になっていく感覚を味わっていた。しっとりと水気を帯びた空気が、こんなにも息をしやすくしてくれるとは、少し前の自分なら感じなかったことだろう。

(アオ。元気ですか。)

薄暗くぼんやりとした室内。窓を開け、ベランダ越しに届く雨音。
ミドリはじっと耳を傾けていた。

(アオ。どこにいますか。)

ミドリはソファから立ち上がり、テーブルの上のいくつかのキャンドルに火を灯した。ぼんやりと薄暗い部屋に、ぽわんとした明かりが灯り、ますます雨音が耳に心地よく届いた。

大きく深呼吸をして、ミドリはソファに戻った。

そう言えば、昨日は夏至だったな。

さーっと風とともに、雨が流れていく。


七月。急な梅雨明けと同時に、気温は一気に上昇した。最高気温は30度を超え、湿度の高さで息が苦しい。

しっとりとした空気も、適度な温度までか。

社内の利きすぎた空調にイライラしていた日々が懐かしいな。

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