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「花とゆめ」という名前が呼び起こすもの

ほかの記事でも少し書きましたが、私は少女漫画のない家庭で育ちました。
きょうだいが兄ひとりだったのと、「漫画は悪書」という風潮がまだ残っていたせいもあると思います。
そんなわけで、少女漫画誌にも自分とかけ離れた世界のようなイメージを持ってきたのですが、今年5月に開催される「花とゆめ展」の知らせを見て、この誌名にずっとひそかな憧れをいだいていたことを思い出したのでした。

花とゆめ。少女の空想世界を、これほど端的に言い表した誌名がほかにあるでしょうか? 文字列から、スイートピーのような淡い色と香りすら感じられるような気がします。画数の多い「夢」がひらがなになっているのも、やわらかで優しい。
少女の私は「漫画は読まない」という態度を取りながらも(何故)、あれには何が載っているんだろう……どんなファンタジックな作品が……と、想像をかき立てられていたのでした。

私はnoteで大正時代の少女雑誌についてときどき取り上げていますが、当時は「少女画報」「少女界」「女學生」「少女の友」など本当にストレートな誌名ばかりで、比べると少女漫画誌の誌名は趣向を凝らしたものが多いように感じます。

りぼん。
ちゃお。
ぶ〜け。
マーガレット。
ひとみ。
少女フレンド・なかよしは、大正時代のようなストレートさがまだ残っているような気がしますが(実際、少女フレンドは講談社の少女雑誌「少女倶楽部」の流れを継いで創刊されたそうです/Wikipedia)、いずれも少女たちに親しみや憧れを持ってもらえるようなイメージを求めた創意工夫が伝わってくるようです。

そういえば、岡田あーみん先生がりぼんのパーティー(新年会か授賞式だったと記憶)に出席された際のエッセイ漫画によると「♪な◯よしなんてつまらない フ◯ンドなんてくだらない」という部歌があったそうですが、80〜90年代はそれだけ少女漫画誌の発行部数も多く、競争が激化していたのだなと振り返って思います。

「花とゆめ展」の展示詳細についてはこれからになるかと思いますが、観られるならぜひ山岸凉子先生の原画を拝見したい……! 佐々木倫子先生のチョビなんて、さぞふわっふわなんでしょうね……。
そして、少女漫画誌を買わずにきた私にはついに縁のなかった、かわいい付録の数々も楽しみです。

公式Xより


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